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FBIから来た女:5〜逆鱗・黄の章
作:ユーリ



ファイル485:地獄必至!!山岳マラソン『3』



「イヤァ、スゴい事になっていますね山口さん。」

山口
「ええ。しかしまだ先頭のチームさえ中間地点に着いていません。レースはまだまだどうなるかわかりません。」


「そうですね。けど、既に4分の3の参加者が脱落しています。この後一体何チームが残るのか心配です。」

泉が参加者に同情する。

山口
「そうも言っていれませんね。また2チームが接触してバトル状態に入った模様です。」


「ええと、これはヒナ・・・失礼。桂ヒナギク・花菱美希選手のチームと、江戸川コナン・灰原哀のチームのようです。」

山口
「ホホゥ、最強生徒会長と小さな名探偵の戦いですか・・・これも見物ですね。」



潤治と七槻が一時後退し、また彼らに足止めを喰らったハヤテと咲夜の両チームは先頭グループから脱落していた。


「ただ今現在の順位が入って来ました。トップは桂ヒナギクと花菱美希選手のチームです。それと、ほとんどのチームが脱落し、現在残っているのは他に江戸川コナン・灰原哀、そして時津潤治・越水七槻と綾崎ハヤテ・愛沢咲夜の計4チームのみとの事です。」

泉が最新の情報を伝えた。

山口
「これはまた厳しいレースですね。しかも、急速に発達した低気圧が近づいています。選手達大丈夫でしょうか?」

山口の不安を裏付けるように、先ほどまで晴れていた空は急速に暗くなっていた。





さて、丁度その頃コ哀はというと。


「私達2位だって。」

今通ったばかりのチェックポイントで順位を聞き、自分達が大分1位に近づいている事がわかった。

コナン
「ああ。このまま一気に1位になって、ロンドン旅行を手に入れようぜ!!」


「ええ!!」

と2人が決意を新たにした瞬間であった。

「そうはいかないわ!!」

突然まるで横槍を入れるように女性の声がした。

コナン・哀
「誰!?」

2人が前を見ると、自分達の元の体である時と同年代と思える長く綺麗なピンク色の髪を持つ少女が1人木刀を持って立っていた。

道が少し上がっているために気づかなかった。

コナン・哀
「あなたは?」

ヒナギク
「私は桂ヒナギク。白皇学院の生徒会長・・・ってちょっと待って!!」

そう言うとヒナギクはその場を離れる。

何だろうと思ってコナンと哀が道を進んでみると、理由がわかった。

ヒナギク以外にもう1人、水色の髪でカチューシャをつけた少女、花菱美希がいた。

ただし、木の根元に腰を降ろして息も荒い様子を見ると、完全にダウンしているようだ。

美希
「ヒナ、私もう・・・走れない・・・水・・・」

ヒナギク
「あ、はい水。」

という会話も聞こえてきた。

コナン・哀
「(人選間違っているんじゃないかな?)」

2人はそんな事を思った。

ヒナギク
「待たせたわね。まあこういうワケで、あなた達を通すワケには行かないわ。」

木刀をコナンと哀に向けて構えなおすヒナギク。

すると、哀が前に出た。


「ここは私が相手になるわ。」

すると、彼女はリュックの中から何かを取り出した。

次の瞬間には、それは哀の背丈にあった竹刀になっていた。


「博士が作ってくれた私用の折り畳み竹刀よ。」

コナン
「哀、1人で大丈夫か?」

それを見ていたコナンは心配である。


「ええ、まかせて。」

哀は自身満々だ。

ヒナギク
「あらあら随分な自信で。その小さな体で私に勝てるかしら?」

ヒナギクが挑発するように言う。

それに哀は少し怒りを覚えた。

好き好んで小さな体で暮らしているワケではない。

そこでこう言い返した。


「あなたこそ、胸の成長は遅れているようで。」

言ってはいけないその言葉。

ヒナギクの怒りの弾薬庫に火をつけたも同然である。

ヒナギク
「何ですって・・・子供と思って手加減していれば調子に乗って・・・許さない!!」

ヒナギクマジモードに突入!!

一方、哀も怖気づくどころか顔に不敵な笑みを浮かべて勝つ気満々である。

その瞬間、コナンと美希は見た。

2人のバックに虎と獅子の姿が浮かび上がるのを。

そして、同時にこう思った。

コナン・美希
「(この2人はマジモードにしちゃいけないな。絶対に。)」

こうして、対決は始まった。

最初に動いたのはヒナギクであった。

一気に哀に襲い掛かった。

しかし、その攻撃を哀は見事止めた。

ヒナギク
「やるわね。私の一撃を止めるなんて。」


「あら、そんな事言ってると・・・ケガしますよ!!」

今度は哀が攻撃に出た。

しかし、こちらもまたヒナギクがジャンプしたためかわされた。


「く!!」

哀が舌打ちした。

ヒナギク
「そんな攻撃程度じゃケガなんかしないわよ。他人の事を心配している余裕があるなら、自分の事でも心配したら!!」

再びヒナギクが哀の真上から襲い掛かった。

しかし、哀は際どいタイミングでそれをかわした。

こうして、2人の闘争心のメーターはグングン上がっていく。


「やるじゃない!!こうなったら手加減しないわ!!」

ヒナギク
「こっちだって!!」

2人は全力を出してお互いに攻撃をかける。

ヒナギクは力が大きい事を生かして、多少強引とも言える力技を連続して繰り出す。

一方の哀はその小柄な体を生かし、素早く動き、小回りを利かせた技でヒナギクに挑んだ。

ヒナギクが飛びかかれば、哀は除け、隙をついて襲いかかろうとする。

しかし、ヒナギクも鍛えているだけあって哀の攻撃を食い止める。

両者共に決定打を欠き、戦いはどんどん激しくなっていく。

しかし、2人は戦いに夢中になっていたため気づかなかったが、そのために周りの木々はキズつき、さらに最初は見物よろしく見ていたコナンと美希にも衝撃波が襲い掛かっていた。

さすがに危ないと感じたコナンと美希が声をかけるが、全く聞く耳をもたない。

美希
「あの、コナン君だっけ!?このままだとヤバくない!?」

美希がコナンに言った。

コナン
「ヤバイどころじゃないですよ!!あの2人、山を吹き飛ばすまで戦い続ける気ですよ!!」

2人を戦わせておくのは非常にマズかった。

勝負どうこうの前に、恐ろしい環境破壊になりかねなかった。

そこで、まず美希が懐から銃の様な物を出して言った。

美希
「あの、私今回猛獣に出会った時に備えて麻酔銃持っているんだけど。」

コナン
「奇遇ですね、ボクも持ってますよ。」

と、コナンは時計型麻酔銃のフタを開けた。

2人はお互いの麻酔銃を発射できる態勢にする。

そして、顔を見合って1回頷くとその照準をヒナギクと哀に合わせた。

パシュ!!

パシュ!!

2人の麻酔銃の発射音が響いた。

だが、恐るべき事にそれを哀とヒナギクはちゃんと聞いていた。

そして2人共麻酔針を避けてしまった。

コナン・美希
「えええええ!!!」

コナンも美希も絶叫してしまった。

そんなバカな!!と思ったにちがいない。

そして、戦いを途中で邪魔された2人は、その闘志の矛先を変えた。

ヒナギク
「美希!!!」


「コナン君!!!」

2人を見つめるその表情は笑っていた。

そう、最強最悪の怒りの笑顔だ。

コナン・美希
「あ・・・あぁ・・・」

コナンと美希は震えながら後ずさる。

絶体絶命だった。

しかし、次の瞬間・・・

「どいてどいて!!」

乱入者が現れた。

乱入してきたのは、マリア達の追跡を振り切ろうと懸命に逃げていた七槻と潤治の2人組だった。

コナン・美希・哀・ヒナギク
「え!!」

4人共さすがにこんな事が起きるなんて予想できなかった。

ちょうどこの時、七槻と潤治はマリアが放った矢をかわしたのであったが、この流れ矢はそのままヒナギクと哀めがけて突進した。

哀・ヒナギク
「わっ!!」

2人とも寸前のところで避ける。

一方、コナンと美希もただではすまされていなかった。

彼らにはナギと千桜が放ったペンとブーメランが襲いかかったからだ。

コナン
「うわ!!」

美希
「キャア!!」

2人も何とか避けた。

4人がそれら一連の攻撃を跳ね除けたちょうどその時、マリア達がその場に現れた。

もうこうなると、哀もヒナギクもコナン達への攻撃どころではなくなっていた。

哀・ヒナギク
「何が何だかわからないけど、私達を襲う者は皆敵よ!!」

こうして頭に血が上った哀とヒナギクの暴走は始まった。

2人は誰かまわず無差別攻撃を開始した。

コナン・美希
「哀が(ヒナが)壊れた!!」

こうなると、もう手のつけようがなかった。

それぞれは自分の身を守るために動くしかなかった。

コナンと美希は麻酔銃を乱射し、マリアやナギ達はありったけの道具を使い、七槻と潤治も残ったダーツを投げつけ、そして哀とヒナギクは相手が誰であろうと目の前に現れた人間に斬りかかった。

この戦いはおよそ15分ほど続いたが、具体的にどのような事が起きたのか、定かではない。

なぜなら、後に9人全員にこの時の事を聞いても、全くちがう答えが返ってきたからだ。

つまり、9人全員が自分を守るのに精一杯で、一体何が何だかわからぬままに戦っていた事になる。

戦いの最中に豪雨になった事さえ全く気づかなかったぐらいだ。

結果、この戦いが終わった時には9人全員が切り傷、擦り傷、青アザだらけの姿になっていた。

これらが戦いのすさまじさを物語っている。

まあ、死者はもちろんの事、骨折などの重傷者も1人たりと出さなかったのはさすがである。

人間がそんな状況であるから、道具の消耗もすさまじかった。

マリアの弓とナギのペンは全て折れ、千桜のブーメランに哀の竹刀とヒナギクの正宗もボロボロ、コナンと美希は麻酔針を、七槻と潤治は持っていたダーツすべてを使い切っていた。

ちなみに、正宗だけは後日鷺ノ宮家の手によって修理される事になる。

ところで、このすさまじい戦いは15分ほどで終わったと書いたが、それは決して人間と道具の消耗だけが原因ではなかった。

実はこの戦いに終わりを告げたのは、下の一言である。

「キャアアアア!!リアン!!!」

少女の悲鳴だった。

コナン・哀・美希・ヒナギク・マリア・ナギ・千桜・潤治・七槻
「何!?」












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