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FBIから来た女:5〜逆鱗・黄の章
作:ユーリ



ファイル483:地獄必至!!山岳マラソン『1』


コナン
「マラソン?」

コナンが読んでいた小説を閉じ、刃の方を振り向く。


「そう。けどただのマラソンじゃなくて、東京都山岳マラソン。コンクリートしかない都会の東京ってイメージを払拭(ふっしょく)するために企画されたらしいんよ。高尾山から県境沿いに進んで、白岩山まで走るんやて。それで、アタシと一緒に出てくれへん?ユリは丁度予定があって出られないんよ。けど、誰かと一緒の方やないと心細いし。」

実際の人間ではとても走れません。

白岩山は標高が1000メートル以上あります。

コナン
「フーン、けど興味ないな。」

秋も深まり、寒くなっているのにわざわざさらに寒い標高の高い所に出向いて走る気などコナンには毛頭ない。

しかし、刃には秘密兵器があった。


「ちなみに、優勝商品はロンドン5泊6日間の旅、ペアチケットやて。」

ロンドンと言う言葉にコナンは強く惹かれた。

コナン
「ロンドン!?」


「そやで。コナン君行った事あったっけ?」

記憶をたどるが、そういえば現実には行った事はない。


「魅力的やと思わへん?しかも、ペアって事は哀ちゃんと一緒に行けるで。」

ここまで来ると誘導尋問みたいだが、コナンは不覚にもそれに気づかなかった。

コナン
「哀と一緒に・・・ロンドン・・・」

ボーっと何かを考えるコナン。

彼の頭の中には既に哀と一緒に行っている風景が思い描かれているかもしれない。


「どないする?出るん?出えへんの?」

刃が最後のダメ押しをする。

すると。

コナン
「出る出る!!」

コナンは地獄の入り口へと足を突っ込んだ。





一方、練馬区某所では。

ハヤテ
「東京都山岳マラソンか・・・」

綾崎ハヤテが商店街の一角に張られたポスターを見て呟いた。

ハヤテ
「商品はロンドンへのペアチケット、それに副賞として賞金100万円か・・・」

ハヤテには今悩みがあった。

それは、咲夜とつき合い始めたというのに、彼女に1度もプレゼントを渡していない事だった。

ちょうどそんな時、このポスターを見つけたのだ。

ハヤテ
「咲夜さんはロンドン行きは興味ないかもしれないけど、100万円あれば何か買えるよな。」

彼は賞金の100万円に惹かれた。

ハヤテ
「よぅし参加しよう・・・」

咲夜
「何に参加するんやって?」

ハヤテの後ろにヒョッコリと咲夜が現れた。

ハヤテ
「うわ、咲夜さん!!何で今いるんですか?」

咲夜
「イヤちょっと遊びに来たんやけど、ハヤテ面白そうな物見とるやん。ハヤテこれに参加するんか?」

ハヤテ
「え!?まぁ。」

そして、咲夜は少し考えて言った。

咲夜
「よっしゃ、ウチもこのマラソンにオマエと参加するで!!」

ハヤテ
「え!?」

咲夜
「そやかてオマエとおったら面白い事が起こるに決まってるやん!!」

こうして、ハヤテは咲夜と共に山岳マラソンに出る事となった。





そしてマラソン当日、コナンと刃の姿はJR高尾駅にあった。


「さ、コナン君。あっちの広場でエントリーするから行こ。」

コナン
「ああ。」

刃に促され、コナンはエントリー会場に向かう。

しかし、実はコナンはここ数日違和感を覚えていた。

誘われた時は興奮していて気づかなかったが、刃の友人には自分より体力に自信のある人間がいたハズである。

なのになぜ自分に白羽の矢を立てたのか。

また、不必要なほどに、他人へ言わないように口止めをされた。

コナン
「(刃ちゃんは何を企んでいるんだ?)」

そんな疑問が生まれたのは至極当然の事であった。

コナンはそんな疑念を抱えつつ、エントリー会場に着いていた。

コナン
「ヘェ、結構参加者いるんだな。」

ざっと100人ぐらいはいそうだ。

その中に、コナンは見知った顔を見つけた。

コナン
「あれはハヤテ君に咲夜ちゃん。それに、潤治君に七槻さんもいる。皆出るんだ。手強そうだな。」

コナンが辺りを見回し、他にも見知った人間がいないか探している中、刃が呼ぶ。


「コナン君、早くエントリーするで。」

コナン
「ああ。」

その直後、刃の足が止まった。

コナン
「どうしたの?」


「コ、コナン君。ちょっと人が多いから後にしましょ。」

その声は明らかに何かに怯えている。

しかも、エントリーするテントの周りには確かに人は多いが、後回しするほどではない。

コナン
「何で?そんな事する必要ないじゃん。」


「え、ええから!!」

完全に焦っている刃。

それを(いぶか)しげにみるコナン。

そんな2人に声がかけられる。


「コナン君!?」

コナン
「え!?」

コナンが声をした方に顔を向けると、哀が立っていた。

「哀、何でここに!?」

確か哀は今日用事があるハズ。

どうしてここにいるのかコナンにはわからなかった。


「ユリちゃんから、マラソンに出ないかって誘われて。ちょうど刃ちゃんが急用で出られないからって・・・」

コナン
「それってオレと同じ・・・あ、さては!!」

コナンはここである結論に行き着き、刃とユリの方へと視線を変える。

コナンが顔を向けると、刃とユリの2人がコッソリと逃げ出そうとしている所だった。

コナン
「どこへ行くのかなぁ・・・?刃ちゃん、ユリちゃん?」

明らかに怒りが含まれたその声に、2人はビクッとする。


「べ、別にどこにも。」


「フーン・・・私達をだましておいて説明もなしに?」

哀の声も怒りが混じっている。

しかも、その背後には明らかにダークオーラが見える。

ユリ
「そ、そんな!だますなんて人聞きの悪い。」


「そ、そやよ。アンタらを(たぶら)かしてマラソンに出場させて、どっちが勝っても最後に優勝商品をネコババしようなんて考えとらんかったから・・・あ!!」

バカ正直に話してしまった刃。

ユリが慌てて口を塞いだが、既に後の祭りだった。

コナン・哀
「刃ちゃん!!ユリちゃん!!」

コナンと哀の周りにすさまじい怒りのオーラが現れている。

刃・ユリ
「あ、あ・・・」

刃とユリの顔はこの世の終わりでも見るかのように怯えきっていた。

コナン・哀
「許さない!!」

刃・ユリ
「キャアアア!!!」

2人は悲鳴を上げた。





数分後、刃とユリはロープでグルグル巻きにされ、口にはガムテープを貼られた。

刃・ユリ
「ん〜、ん〜!!」

コナン
「これで良し。」

コナンが結び目を確認しながら冷ややかに言う。


「5分後に探偵団の誰かにでも電話かけておくから、それまでここで頭冷やしててね。」

哀も笑いながら言う。

刃とユリには、『彼と彼女の背後に悪魔が見えた!!』というぐらい冷酷な微笑だったという。

コナン
「よし、2人へのおしおきも済んだ所で、行くぞ哀!!」


「ええ!!」

こうして、マラソンに参加するのはコ哀となった。



コ哀がエントリーを終えると、スタート前のセレモニーになった。

司会者である女性が出て来て、レースの説明を始めた。

笑顔がよく似合う16〜7歳ぐらいの少女が屈託のない笑顔でしゃべる。

「本日は当マラソン大会に出場していただきありがとうございます。このレースはここ高尾駅前をスタートして、県境沿いの影信山、陣馬高原、生藤山、丸山のチェックポイントを通って、ゴールがある三頭山の都民の森にまで行ってもらいます。」

これらの山々は標高が1000メートル前後ある山々である。

結構体力を消耗しそうである。

「それでは注意事項を言います。まず、命の保障はされていません。なので責任は自己責任となります。」

その言葉に、コナンはずっこけた。

コナン
「何考えているんだ!!」

「次に、一切の特殊能力は使えません。今回、名立たる巫女の家系である鷺之宮一族の力を借りて、そのような力が使えないよう妨害していただいております。」

その言葉に、参加者達がざわめく。


「じゃあ:RINGとかも使えないってワケね。」

コナン
「まさに本当の体力勝負って事か。」

もちろん、今まで数々の戦いを潜り抜けた2人には体力だけで行ける自信がある。

「それと。他の競技者を妨害する事は認められているので、思いっきり戦ってください。」

再びズッコケそうになるコナン、イヤ今回は哀もだ。

これではバトル・ロワイアルである。

コナン
「ハハハ・・・レースじゃなくてバトルじゃん。」


「しかも、とびっきり強烈ね。さっき時津さんと越水さんを見かけたから。」

コナン
「え!オレもハヤテ君と咲夜ちゃんを見たけど。」

お互いの言葉に、少しばかり心が重くなる。

あの4人と戦うなんて考えたくもない。

しかし、2人共だからといって今更辞退などはしない。

その後、空を飛んではいけませんなどの諸々の注意事項の説明があった後、いよいよスタートとなる。

「それでは、皆さんの御健闘を祈ります!!よーい、スタート!!」

こうして、地獄のマラソンはスタートした。





丁度その頃。

刃・ユリ
「助かった。」

コ哀に電話で呼ばれた成美先生によって、刃達が解放されていた。

成美
「けど2人がいくら怒っているからって、あなた達がこうも一方的にやられるなんて変ね。」


「ええ、何でか知らんけど力が使えなくて。けど、そんな事まぁええわ。」

刃が立ち上がる。

その目には尋常でない程の怒りが含まれていた。

完全な逆恨みである。

成美
「え!刃ちゃん?」

成美がヤバイ空気を読み取ったが、既に時遅し。


「行くでユリ!あの2人に今度はアタシらが天に代わっておしおきや!自分達が思い上がっとる事をその身を持って教えたるわ!!」

ユリ
「そうね、このまま負けたままじゃ格好つかないもんね。こうなったらあの2人のレースを徹底的に妨害してやるわ。絶対にあの2人許さない。ロンドンの変わりに絶望と言う名の地獄へと行ってもらうわ!!」

2人のあまりに過激な言葉に慌てる成美。

成美
「ちょ、ちょっと2人共、落ち着いて!!」

だが、次の瞬間には2人は既に彼女の視界から消えていた。

成美
「ど、どうしよう・・・」












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