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僕はまるで石ころのようで、星みたいな君。
作:松の慎



第57話【ヒーロー】


「あれ、金星さんだ」
「え?」


デパートを出て、ぶらぶらと歩いているときに人ごみが激しくて蒼ちゃんと離れてしまった。
携帯にも出なくて、しょうがないから探している最中後ろから声をかけられた。


「あの・・・?」


だれだっけ。
でも向こうが知ってるってことは知り合いなんだよね。

うそ・・・全然覚えてない。


「今日は大谷と一緒じゃないんだ」
「あ、うん。今日は」
「じゃあ俺らと一緒に遊ばない?」
「でも綾今日は人と遊んで・・・」


見覚え・・・あるような気がする。
同じ学校かな。

2人の男。


「いーじゃん、ちょっとくらい。な?」
「だめっ。久しぶりに蒼ちゃんと遊んでるんだからっ」


綾は男の手を振り払った。


「てめっ・・・・ちょっと来いよ!」
「ちょっ・・・」


腕を引っ張られ、すぐそばの路地に連れていかれた。

振りほどこうとしたけど、男の力には勝てない。


いつだっけ・・・・
たっちゃんが言ってた。

いくら綾が強くてもこういう場合、絶対に女じゃ勝てないって。


体中がゾクッとした。

人気のない場所。
2人の男。

危険だってすぐに分かったけど、手を振り解けない。


「・・・離してっ!」


力いっぱい振り切った。
その拍子に男から手が離れられたから、急いで逃げようとした。


「あっ!」


2、3歩歩いたところで転んだ。
そうだ、今日は高さがあるミュールを履いてたんだ・・・

ちょっとだけ足をひねってしまった。


「逃げんじゃねーよ」


肩にポンッと手を置かれた。

サーッと血の気がひくのが分かった。


逃げようにも逃げれない。
大声出してもここは人が来ない。


「さ、触らないで!」
「強気じゃん。今日は守ってくれる男もいねぇのに?」
「たっちゃんがいなくたって大丈夫だもん!」


うそ。
こんなに震えてる。

でも、今はいないんだから綾1人でどうにかしなきゃいけない。

どうすれば・・・


「おい内田、やっぱまずいって」
「うるせぇな。大丈夫だって」
「でも・・・」


男たちが口論を始めた。

男の1人のほうがやめようと言い出した。
この隙に逃げるしかない。

そう思って立ち上がった。
幸いそんなに強くひねってないみたいで、歩ける。


「おい!」


けれどすぐに見つかってしまった。


「な、なによ」
「逃げんなって」
「あ、あなたと一緒にいたって何の利益もないでしょ。だいたい綾あなたのこと知らないんだからっ」
「・・・なに?」


その瞬間、頬をバシッと叩かれた。


「いっ・・・」


ふらっとよろめいて、足で踏ん張ろうとしたけどひねった足では踏ん張りきれずにその場にドサッと倒れてしまった。


「さすがだな、男たらし。告白された男の顔も覚えてないってか」
「え・・・」


告白・・・?
あ、そういえば去年の秋くらいに告白された・・・ような。

でもそれっきりで他になんか接点があったわけじゃないし・・・
でもやっぱり覚えてないってひどいよね。


「ご、ごめん・・・」


頬がジンジンする。
でもこの人も同じくらい痛いのかな。
綾がこの人を覚えてなくって。


「待てって、内田!しょーがないじゃん、金星さん色んな人から告白されんだからさ」
「しょーがない?じゃあお前も好きな奴に忘れられても仕方ないって思うか?」
「そ、それは・・・」


確かに綾ひどいことした。
前は慎ちゃんしか好きじゃなくて、慎ちゃん以外の人なんてどうでも良いって思ってた。

それが悪いの?
それがいけなかったのかな・・・


怒ってる男の人が、止めようとしてる男の人の胸倉を掴んだ。


「あ・・あの!綾謝るからっ・・・だからその人離して!」
「謝る?謝っただけで済むと思ってんの?」
「じゃ、じゃあどうしたら・・・」
「じゃあやらせろよ」
「えっ・・・」
「どうせ大谷とやりまくってんだろ?1回くらい他の男とやっても良いだろ」
「なっ・・・やだよ!」


拒んだにも関わらず、その人は詰め寄ってきた。


「やっ・・・」


綾を抱きしめて、首に口をつけてきた。


「いっ・・・痛いっ」


カプッと音がした。

そのまま綾を押したおしてきた。


「やっ・・・助けて!」


綾はそばにいる人に助けを求めた。

その人は、綾からその男を引き離した。


「内田!ほら、そろそろ帰ろうぜ!」
「これからが良いところだろ」
「お前好きな奴強姦して楽しいのかよっ!」
「うるせー!」


内田という男が、その人をおもいきり殴り飛ばした。


「お前には分かんねぇよ!」


そう言って、内田はその人を蹴り続けた。


「うっ・・・・うち、だ・・」


なに、この人・・・
友達なんじゃないの?

なんでこんなこと・・・・
そうだ、この隙に蒼ちゃんにメール入れよう。

すぐにメールを打った。
送信し終わってもなお、内田は蹴り続けている。


「やめて!それ以上やったら死んじゃうよっ・・・」
「うるせぇな!じゃあお前が俺とやるか、俺がこいつを蹴り続けるかどっちか選べよ」
「そ、それは・・・」


なんで綾ばっかりこんな目にあうの?

でも綾のせいであの人は関係ないのに蹴られてる。
そんなの・・・だめだよね。


「金星・・・俺平気だから・・・逃げ・・・ぐっ・・・」


やだ、血まで吐いてる・・・
もうこれ以上やったらほんとに死んじゃうよ・・・


「・・・分かった!綾を好きなようにして良いからその人から離れて!」
「き・・んぼし・・・・」
「綾は大丈夫」


その人にニコッと笑って応えた。

きっと大丈夫・・・
蒼ちゃんが来てくれる。


「へぇ、自分が犠牲になるほうを選らんだってか。守ってくれる人もいねぇのに」
「あなたなんか誰からも好かれない」
「は?」
「あんたみたいな自分勝手な人、絶対誰からも好かれないんだから!」


蒼ちゃん、はやく。

はやく来て。


「良い度胸じゃん。さすがだな」
「あんたなんかにビクビクしてやんないからっ」


ほんとだね、たっちゃん。
綾なんにも出来ない。

いつも迷惑かけてばっかり。

これでも守ってくれるの?


「う、ちだっ・・・」


蹴られてた男の人が、よれよれに立ち上がった。


「だっ・・・だめ!死んじゃうっ・・・」


その人はゆっくりと歩く。
そして右手をぎゅっと握った。


「なんだよ新田。お前にもう用はねぇって」
「俺にはあるんだよ」


新田と呼ばれたその人は、握り締めた右手で、おもいきり内田のお腹を殴った。


「ぐぇっ・・・」


内田はその場に倒れこんだ。


「俺の右、けっこう強いんだ」


その人は弱弱しく笑った。
そして、その場に崩れた。


「だっ・・・大丈夫?!」


2人とも倒れてしまった。

どうしよう・・・
せめて新田くんだけでも助けたい。

しどろもどろしてると、蒼ちゃんが来た。


「綾!」
「あ、蒼ちゃんっ・・・」
「この状況は・・・」


蒼ちゃんはこの光景を見て驚いている。


「あ、あとで説明するからとりあえず一緒にこの人運んでっ」
「お、おう」


お願い。

どうか無事でいて。


絶対絶対死なないで・・・・



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