不意打ち
受信メールを知らせる携帯の光で夜中に目が覚める。
忘れていたかったあの人からのメール。
傷跡をはがすかの様に、でもちょっと嬉しい自分がイヤ。
中身は、携帯電話の番号を変更しましたという味も素っ気もないビジネス的文書。そうだよね、もう他人だしね…。
とりあえず、了解しました…と送信しかけて、化粧でもするかの様に文面を整える。気の利いた事でも言ってやろうとか、色々考えて当たり障りのない事だけしか書けない自分に凹む。
返事は返ってこないだろう…。でも、返って来たらちょっと嬉しいなと思ってしまう自分が女々しくてヤ。
程なく返事。そうそう最新機種に変えたんだ~という内容。よかったじゃんと顔文字ひとつ。そして帰ってこない返事。期待させないでよ…とか思いつつ、何を私は期待しているんだろう…。もう終わったじゃん…。
女性は上書き、男は保護かけて保存…なんていうけど、結局フッタ側がさっさと気持ち切り替えて、フラレタ側が引きずるだけじゃん。上書き保存したくても相手いなかったら出来ないし。視界がキラッとしたのはきっと加湿器の所為。窓から見える月の光の所為。知らない…知らないもん…。
期待してもいけないし、自分から行くのも出来ないし、何やってんだろ私。
いいんだ。こんないい女フッタ誰かさんが後悔する様に女磨くだけだもんねー。知らないもんねー。
そう言い聞かせて、携帯と瞳をパタンと閉じた。ある日の夜。
思いつきでサクッと書いた感じです。