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日本が異世界に転移する話 作者:ペペロンチーノ
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第0話 会議

 「……これをどこで手に入れたのですか?」

 某所にある研究所、そこでは研究員たちと一人の軍人風の男がとある【焼け焦げた物体】について話し合っていた。

 「それは教えることはできない。とりあえず君たちはこれをどう見る?」

 「は、はい。ええとですね、これを分析にかけた結果なのですが、この物体は一種のナノクリスタル複合材のようです――――それも超高圧で圧縮されたものですね。これは我々が見立てた限り、あまりにも技術的難易度が高すぎてこの国では到底作れない代物ですよ。どうやら破損しているようですが、こいつは元のサイズもかなりの大きさと見ます。これだけの素材をここまでのサイズに加工できるとか造った奴はどれだけ頭がおかしいんですか……。」

 「……つまり、これに匹敵する素材は製造できない、と?」

 「ええ、悔しいですがそうなりますね。10年、いえ20年ほど時間をかければ模造品はできるでしょうが、現時点での実用化はほぼ不可能でしょう。」

 「わかった、協力に感謝するよ。分かっているとは思うが、この件に関しては他言は一切禁止する。もし喋ったら……どうなるかわかるね?」

 「ええ、わかっておりますとも。」

 「よろしい。」

 男はそう言うと【焼け焦げた物体】を取り、この件に関し自らの上司に報告するために研究所を離れるのであった――――。


☆☆☆☆☆


 男は早速、自分の上司に対しこの物体に関する報告をし、これを作り上げたとある国家について話し始めるのであった。

 「では何かね、この物体は我が国の技術力では到底再現できないのか!」

 「ええ……申し訳ございません。」

 「せっかく日本軍が残した車両の残骸から入手できたというのに、これでは無駄足だな。それで、この素材はいったいどういうものなのかね?」

 「はい、研究所が出した結果では、これは超高圧で圧縮された大型のナノクリスタル複合材である、とのことです。貴重なサンプルによると、これが厚さ150mmほどあれば500~600mm級HEAT-MPでも十分坑堪しうる、と出ております。APFSDS弾でも500mm級であれば恐らくですが充分耐えられるでしょうね。これほどの装甲は既存の重金属系複合材での達成は困難であり、もしもこの素材を戦車の正面装甲に用いれば対徹甲弾防御で優に1000mmは達成でき、なおかつ戦車自体の重量も大幅に抑えることができるであろう、とのことです。」

 「ふむ……日本軍の戦車をただの1両も撃破できなかった理由、なのか。」

 「恐らくはそうでしょう。こちらの、日本で手に入れることができた軍事系書籍によると新開発されたセラミックス系の複合装甲により直接防御力は強力なものである、とされています。また、試験時には自車の砲弾を正面装甲で複数弾の直撃さえ耐えることができるということと、そして我が軍の戦車がまるで歯が立たず、そのうえ正面装甲ごと撃ち抜かれて撃破されたことを踏まえると、現時点ではこの【10式戦車】、そしてほとんど確認はされてはいませんが一部戦線で目撃されている【31式戦車】には到底敵わない、と思われます。」

 「それに、日本軍の戦車は【モジュラー式装甲】であるというのもまた厄介な点であるな。」

 「ええ、先ほどの書籍によると、これらの戦車は外観をわかりづらくするためにカバーがつけられております。側面や上面に増加装甲を装備する幾つかのバリエーションがこの戦車にはあるようですが、これをカバーで隠すことによってどのモデルなのかを認識させ辛くしているようです。そしてこれはにわかには信じられないのですが、わが軍の対戦車部隊が側面を対戦車ミサイルで完全に直撃させたのに全く効いておらず、逆にこちら側の偽装された対戦車陣地に反撃すら行ってきた、との報告もあります。」

 「……すると何かね。日本軍の戦車は正面からでは貫徹困難、むしろ不可能であり側面も歩兵が持つ程度の対戦車ミサイルでは貫徹不能、そして偽装した陣地を軽く見破るほどの高性能なセンサーが大量に付いている、という訳かね。」

 「はい、我々が日本軍の戦車部隊と戦うには軍神を量産することになってしまうでしょうね。……といっても現に大量に量産されてしまいましたが。」

 「その国の工業パロメータともいえる戦車ですらこれなんだ、恐らくだが他も似たようなものだろうな。――――こんな国と戦争を起こしてしまった政府上層部にはほとほとあきれ返るな。一国の首脳とは思えん。」

 「閣下、さすがにその発言は……。」

 「おっといかんな。諜報部がどこで聞いてるかわからんのにこれは軽率であったな。」

 「ええ、気を付けないといけませんよ。諜報部の監視もそうですが、この国と日本との戦争が起こってから国内が色々ときな臭くなっています、正直言ってこれはかなりまずいですね……。これでは何かの拍子に一気に爆発して市民による暴動が起きかねません。」

 「これも日本による諜報活動だったりしてな。」

 「冗談にもならないことを言うのをやめてくださいよ……。」


 だが、あながち冗談でもなかったりする。――――事実、この「ニシル国」には日本陸軍の特殊部隊が多数潜入しており、国内の反乱分子を焚き付けてデモなどを引き起こすように誘導している。その上、国内に点在している資源の貯蔵庫や工場などを放火・爆破するなどの散発的なテロ工作を仕掛けているのだ。

 事態は10年前までさかのぼる。


先進国同士なら安易に戦争しないよなーと思ったけどやっぱり戦争しないと面白くないからしゃーないよね、と言うわけで第0話です。


感想待ってマース
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