キリアの黒騎士(38/122)縦書き表示RDF


キリアの黒騎士
作:二輪草



#3


「そんなことより、落ち着いたんだったら服を買いにいくわよ」

(そういえば、デート用の服なんて持ってないや)

少年はまだこのリビドーの高まりから解放された訳ではないのだが、下の階には家族もいるし、不埒なふるまいに及ぶこともできない。

「美容院にも連れてった方がいいかな?」

樹理は両手の親指と人差し指でファインダーを作って、片目を閉じた。

「んー、まぁ、髪の長さはそんなもんでしょ。明日出かける前にわたしがセットしてあげる」

彼氏のファッションは樹理の沽券に関わる問題らしい。

いくつかの店をのぞきながら、最終的にデパートで服を買うことになった。

「いいって、ぼくが払うって」

そう言う小見尋を押しのけて、樹理は財布からクレジットカードを取り出した。

「いいのいいの。わたしのためにお洒落するんだし、あんたとわたしじゃ小遣いの額が違うもんね」

高校生がクレジットカード? レジで先に会計をしていたサラリーマンがぎょっとした顔で二人を見る。

樹理の父親が一族の出世頭と前にも書いたが、もっとはっきり言うと樹理はセレブなのだ。

お金の使い方ひとつも勉強だと父は考えているらしい。

男物の服を女子高生にカードで決済させている。こちらを見る店員の目が冷ややかに感じたのは、小見尋の妄想だろうか?

口元こそにこやかだが、なにか詮索されているような気がする。

父は樹理のカード明細でなにを買ったかチェックしていて、使う金額については文句を言わないそうだ。

ただ、しょうもないもの、センスの無いものを買うと、ぶちぶちと小言を言われる。









ネット小説ランキング>異世界FTシリアス部門>「キリアの黒騎士」に投票





ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




BACK | TOP | NEXT


小説家になろう