扉絵:Mickさんに描いて頂いた戒と荒汰の素敵イラ。
Mickさん、ありがとうございました!!
あえての黒学ラン、たまりません…(学ラン好き)
chapter1:fanatic love
#4 bad omen
七〇一号室は、この上なく静かだった。
荒汰の奴、まだ帰ってないのか。
戒が制服を脱ごうと手をかけた時、静まり返った部屋にインターホンの音が響いた。手早く制服の上着を脱ぎ、ソファーの上に放り投げる。
玄関用のモニターを覗くと、体格のいいスーツ姿の男が二人、何やらこそこそと話をしながら立っているのが見えた。一瞬、訪問者が紅流だったらどうしようなどと考えていたのだが、杞憂に終わったようで、戒はほっと胸をなで下ろした。
訪問者へモニター越しに声を掛けると、大抵の者がモニターに顔を近づけてくる。モニターのカメラのすぐ側にマイクが付いているのだから、それは仕方のないことなのだろうが、戒はこのモニターいっぱいに広がる訪問者の顔を見ると、いつも吹き出しそうになってしまう。
今日も例外なく同じ場面に遭遇し、戒は中年男のアップを見ながら、腹筋がぴくぴくと痙攣したがるのを抑えた。
「はい、誰ですか?」
「神楽坂警察署の者ですが。先日の事件の事で、ちょっとお話したいことがありまして……」
「今開けます」
小走りに玄関へと赴く。
鈍い音を発するドアを押し開けると、警察官の片割れが、慣れた手つきで警察手帳を開いて見せた。
警察手帳には、よくわからない刻印の彫られたメダルがはまっていて、その不可解なものに一瞬気を取られた戒には、手帳に書かれていた警察官の名前や顔写真を確認する暇がなかったのだが、いかにもベテランといった感じの恰幅のいい警官は、気にも留めずにそそくさと手帳をしまい、早々と用件を話し始めた。
「あれから何か変わったこととか、ありませんでしたか? 不審な人物を目撃したとか」
「いえ、何も見てないですけど。犯人、まだ捕まらないんですか?」
蓮条が受けた傷のことも考えれば、恐らく動くのは荒汰だ。荒汰が動くのなら、きっと自分も協力することになるのだろう。
警察に今回の事件の犯人をつきとめられるかは甚だ疑問だったが、ここは一般市民らしい反応を返しておくのが得策だと思った。
「いやー、恥ずかしながら、実はまだほとんど手がかりがない状態でねえ。だからこうやって皆さんにご協力をお願いしてる次第で」
申し訳なさそうにぽりぽりと頭を掻き、警官は苦笑いを浮かべた。
「また何か気づいたこととか思い出したことがあったら、署の方まで連絡してもらえる? どんな些細なことでもいいから」
「わかりました」
遠ざかっていく警官たちに軽く会釈をし、扉を閉めようとしたとき、突然声をあげて先程の警官が戻ってきた。
「あ! ちょっと、言い忘れてた!」
「な、何ですか?」
閉まりかかった扉に体をねじ込んで来た警官の勢いに驚き、戒は思わず体を仰け反らせた。
「殺された被害者の身元なんだけどね、実はこのマンションの三階の人なんだよねえ。そちらは、三階の人とのお付き合いなんかは?」
「ありません。他の部屋に誰が住んでるかなんて、全然知らないし。三階なんていつもエレベーターで素通りだし、全くわかりません」
紅流のことを話すか迷ったのだが、戒はシラを切ることにした。彼のことを知っているかと聞かれれば、ほぼ何も知らないに等しいからである。
「あー、そうですか……やっぱりマンションの近所付き合いって、そんなもんなのかねえ。あ、ご協力ありがとうございました。戸締りには注意してね」
残念そうに肩をすくめ、ぺこりと一礼すると、警官はすごすごと引き下がった。
また戻っては来ないかとしばらく様子を見ていたが、隣の部屋のインターホンを鳴らす姿を見届けると、戒は扉を閉めた。
リビングに放ったらかしておいた制服を拾い上げた瞬間、ポケットに入っていた携帯電話が着信音を鳴らしているのに気付く。
今日は落ち着かない日だなあなどと考えながら携帯を開けると、そこには見慣れない番号が表示されていた。
番号の主は、蓮条だろうか。荒汰と一緒にいる以上、可能性は大いに有り得る。
何故なら、見慣れた荒汰の携帯電話が、ソファーの上に置き去りにされているのを見つけたからである。
「もしもし?」
知らない番号からの着信だと思うと、自然と声のトーンが変わってくる。
いつもより少し押し殺したような声で応答すると、戒は相手の反応を待った。
「――今――居る――」
「え?」
とても聴き取り辛い声だった。やけにドスの聞いた低い声だ。
「今、四階に――居る」
こちらの反応を窺う様子もなく、電話が切れた。ツーツーという耳慣れた通信音を聞きながら、戒はしばし凍りついていた。
何だ、今の――?
順当に考えれば、単なる悪戯電話だと考えるのが妥当だろう。
しかし、この妙な胸騒ぎはなんだろう。電話の向こうの誰かが、とてつもなく禍々しいもののような気がしたのである。
胸騒ぎ以外に何も感じることは無かったが、少なくともあれが蓮条や荒汰であるはずが無いということだけは確かだった。
額に手を当てると、大量の汗が滲んでいる事に気が付いた。背もたれに仰け反るようにソファーに倒れ込み、開きっ放しになっていた携帯電話を閉じる。
「おい、どっか具合でも悪いんか?」
その時、ソファーの後ろから突然覗き込んできた荒汰と目が合い、戒は感電でもしたかのように大きく体を震わせた。
「び、びっくりした! いつ帰って来たんだよ、お前」
心配そうに見つめる荒汰を睨み返し、戒はソファーから立ち上がった。
「さっき普通に帰ってきたやんけ……何やねん」
よく見れば、荒汰の後ろにはすっかりお馴染みになった蓮条の顔もあった。
「蓮条、お前さっき俺の携帯に電話しなかったか?」
「するわけがないだろう。私はお前の電話番号など知らんぞ」
蓮条は、突然何を言い出すのかとでも言いたげに、怪訝な表情で戒を見た。
「だよな」
「何かあったんか? お前、ホンマ顔色悪いで?」
よほど先程のことが顔に出てしまっているのだろうか、荒汰はしきりに戒の心配をしている。
「誰かから電話があったのか?」
すたすたと歩み出た蓮条の問いには答えず、戒はおもむろに携帯電話を開き、着信履歴画面を呼び出した。
「この番号に見覚えないか?」
奇妙な電話の主がこの二人のどちらかだとは到底思えなかったが、忌まわしい感触を一人で独占していることに耐え切れず、戒は電話のディスプレイを、二人によく見える位置にかざした。
「これは――」
意外にも、反応を見せたのは蓮条だった。
「これは、私の電話番号だ」
「お前、いつの間に戒の番号――」
横槍を入れようとしてきた荒汰の体を押しのけ、蓮条は食い入るように戒の携帯を見つめている。
「誰が拾ったんだ? この携帯は、昨日落としたっきり、まだ見つかっていない。今日あたり契約を切るつもりでいたんだ」
そういえば蓮条の奴、昨日携帯無くしたって言ってたんだっけ。
部屋に一人ではないということが、ようやく戒に安心感を運んできたらしい。
戒は、無くしたと言わず、見当たらないの一点張りでぎゃあぎゃあ叫んでいた昨日の蓮条の様子を思い出し、あれから一日で随分おとなしくなったもんだ、などと呑気に考えた。
「お前、電話に出たんか?」
「ああ」
しかし、呑気な気分に浸れる時間はわずかでしかなかった。荒汰の質問に答えようとすると、どうしてもあの不気味な声音が脳裏に蘇ってくる。
「何か、変な電話だった」
「何を言っていたんだ? 早く言え!」
電話の持ち主である蓮条は気が気でないようで、早く話を進めようと必死になっているようだった。やや強い口調で言って、蓮条は戒の双肩を揺さぶった。
「“今四階に居る”とか言ってた。一方的に喋って、一方的に切られたから、どういう意味なのかさっぱりわかんなかった」
これ以上ないくらいに端的に言った戒に、荒汰と蓮条は返答することが出来ないようだ。
二人は腕を組んだまま、次に紡ぎだす言葉をどうしようか決めあぐねている様子であった。しばし部屋中を沈黙が包んだ。
「四階に居る、とは――携帯を取りに来いという意味か?」
「まあ普通に考えたらそうやろなあ」
しかし、戒が先程感じた恐怖の度合いは、いまいちうまく伝わっていないようであった。
実際にあの声を聞いていないのだから仕方ないのだろうが、二人にはまだそれほど困惑したような様子はない。
「まあいい、掛け直すぞ」
「お、おい……」
乱暴な手つきで、蓮条が戒の手から携帯を奪い取る。
恐怖のせいか、戒にとってはあの声の主に電話を掛け直すなどとは、思いもよらない発想だったのだが、よくよく考えてみれば至極当然の行動のような気がして、怖さ半分、興味半分といった複雑な心境で、戒はおとなしく事の成り行きを見守ることにしていた。
「でも、何か普通じゃないような様子だったけどな。掠れた声で、それこそ幽霊みたいな雰囲気だったし」
「幽霊、ねえ」
陰陽師という職業柄、聞き捨てならないフレーズだったらしい。荒汰の表情が瞬時にして強張った。
「お前がそういう例えを出してくるっちゅうことは、実際何かあるかもしれへんな」
「まさか、昨日の一件に何か関わりのある者からということか!」
匂わすような台詞に著しく反応した蓮条が、鼻息を荒げた。
用の済んだ携帯を受け取った戒が、どうだったのかと目で合図を送るも、蓮条は面白くなさそうに首を横に振るだけであった。
「蓮条。お前、携帯がどこで無くなったのか覚えてないのか?」
「ぎりぎりまでは持っていたはずだが。ここに来る少し前に使用人と通話した覚えがある」
使用人というフレーズにはあまり聞き覚えはなかったが、蓮条の話し振りは澱みなく確信に満ちていて、曖昧な発言ではなさそうである。
「その時どこにいたんだ? 駅とか電車の中か?」
「私は登校する時、乗り物は一切利用しない」
一瞬、戒と荒汰は蓮条が何を言っているのか分からなかった。
蓮条の家は豪邸も豪邸で、そこそこの都会であるこの神楽坂市に建てられていることを考えると、いったいどのくらいの値段が付くのだろうと思わず邪推したくなるほど、広く豪奢な邸宅である。見晴らしの良いこのマンションの窓からでも、天気のいい日に目を凝らせば見ることが出来るほどの目立つ建物なのだが、それは明らかに蓮条邸の持つ巨大な佇まいの成せる業であって、実際には電車を乗り継がなければ軽く一時間くらいはかかってしまうほどの距離があった。
「徒歩、にしてはメッチャ遠いよなあ?」
「徒歩だ」
「ほ、ホンマに?」
語尾をひっくり返らせ、荒汰が素っ頓狂な声を上げた。一方の戒も驚きに表情を歪ませている。
交通手段の多いこの街でわざわざ徒歩で登校している生徒など、よほど理由のある者でもない限り、おそらく蓮条以外にはいないだろう。
一体こいつは毎朝何時に起きてるんだろうと、戒は思わず昨日の蓮条の足取りを分析してみたくなった。
「足腰を鍛えるためにやっているだけだ。何が言いたいんだ、貴様」
甲高いトーンが癪に障ったのか、怒りの形相で荒汰に凄む蓮条。
「い、いやぁ。全国レベルのアスリートは、やっぱ鍛え方がちゃうねんなぁって」
「馬鹿にするな! 冗談は見た目だけにしておけ!」
「思いっきり本気やねんけど……」
毎朝結構な時間をかけてあれこれ工夫しているであろう容姿について、“冗談”の一言で一蹴されてしまった荒汰は、この世の終わりを見たかのように意気消沈し、愕然と両肩を落としていた。手厚いフォローを求めて視線を泳がせるが、戒が笑いを堪えて肩を震わせているのを目の当たりにし、結局さらに落ち込んでしまった。
しょぼくれた荒汰の後姿に、どうやって声を掛けたらいいものかと悩んでいると、戒は再び自分の携帯電話が無機質な電子音を鳴らしていることに気付く。全員の視線がその携帯に集まっていることは、その場に張り詰めた鈍重な空気が物語っていた。
息を呑んで携帯電話を開く。戒の心は、電話の相手があの不気味な声の主でないことを祈るばかりであった。
「ん?」
しかし、ディスプレイを見た瞬間、戒は一気に緊張感から解放されることになる。
「ごめん、瑛時だった」
「瑛時?」
「紅流だよ、紅流瑛時」
何の必要があるのかわからなかったが、戒の口からは咄嗟に謝罪の言葉が漏れていた。明らかに不服そうな表情の荒汰を尻目に、携帯を耳に近付ける。
「もしもし?」
「あ、戒! 悪いけど、今すぐ四階に来てくれない?」
「四階に?」
復唱した戒の言葉に、荒汰と蓮条は弾かれたように顔を上げた。
「四階で騒いでる人が居て……僕だけじゃどうしようもなさそうだから、早く来て! じゃあ、切るから!」
紅流の声は、先程の彼の様子からは考えも付かないほど、酷く焦っているように感じられた。
その様子は電話越しにも伝わったようで、戒の目配せに頷いた二人は、先を争うように玄関へと駆けていく。ねじ込むようにして制服のポケットに携帯電話を突っ込んで、戒もそれに続いた。
玄関を飛び出し、すぐ近くに見えた階段の踊り場へと飛び込む。いつの間にか荒汰を追い抜いていた戒は、半ば飛び降りるような勢いで階段を駆け抜け、蓮条の背中を追った。
七階から四階まで辿り着くのに、さほど時間はかからなかった。
それは、目標の紅流が、踊り場のすぐ側の通路に立っていたからでもあった。
「お、落ち着いて。すぐに来ますから、ね?」
紅流は一人ではなかった。
「早く! 早く誰か呼んできてって言ってるでしょ!」
見れば、若い女性が何かを喚いている。どうやら紅流は、憑かれたように喚き散らすその女性を宥めようと必死になっているらしい。
彼女の様子が普通ではないことは、その金切り声と、血の気の引いた顔色を見れば一目瞭然なのだが、もっと目を引くのは、女性の全身に染み込んだ鮮血と思しき赤い液体だ。紅流が必死に取り押さえなければならないほど暴れている様子からすると、彼女自身が負傷しているわけではないようなのだが、全身血まみれで半狂乱になっている姿はまさに鬼女のようで、戒も蓮条も、紅流に言葉をかけることすら忘れ、しばしその光景に圧倒されてしまっていた。女性と揉み合いになっているおかげで、紅流が着ている制服のカッターシャツも、白いところを探すのが困難なくらいに真っ赤に染まってしまっている。
「な、何や? 何があったんや?」
肩で息を切らしながら、ようやく荒汰が追いついてきた。
「あ! みんな、来てくれたんだね」
声をかけられるまでこちらの存在には全く気付いていなかったのか、紅流は顔を上げた途端泣きそうに瞳を潤ませ、すがりつくように駆け寄ってくる。
「この人がね、そこの部屋で誰か死んでるって……僕、どうしたらいいのか……」
紅流の言葉を聴くことで現実感を得たのか、それとも逆に更に混乱しているのだろうか。先程まで怒鳴り散らしていた女性は突然静かになり、糸の切れた操り人形のようにぺたんとその場にへたり込んだ。生気の宿らない虚ろな瞳からは、大粒の涙が零れ落ちている。
紅流の言うそこの部屋とは、おそらく戒達から一番近い位置にある、開きっぱなしになった扉のある部屋のことを言うのだろう。
頭では理解しているのだが、誰もその扉へ近付こうとする者はいない。
「う――あああ……」
頭を抱え、女性が嗚咽を漏らした。
恒久のように感じられた短い沈黙が破られたとき、最初に動いたのは蓮条だった。
「私は、行くぞ」
お前達は行かないんだな、と釘を刺されたような気がしたが、体はなかなか動いてくれそうもない。
無言のまま荒汰がその後に続いたのを見て、戒はようやく我に返った。
「逃げるな……」
掠れた声で自らを鼓舞し、戒は扉へと近付いた。
中途半端に開きかかっていた扉に、蓮条が手を掛けた。それとほぼ同時に、むせ返るような悪臭が戒の鼻腔を刺激する。
紛れもなくそれは、あの厭な匂い――昔は嗅ぎ慣れてさえいた、血の匂いだった。
短い廊下を抜け、奥の部屋に辿り着く。一同が足を止めたその時、目の前には、つい最近目にしたばかりの惨劇と酷似した光景が広がっていた。
「う――」
戒の住む部屋と全く同じ間取りの部屋だった。
部屋の端には、真っ赤なベッドがある。もしかしたらそのベッドはもともとは全く違った色だったのかもしれないが、今となってはもう、そんなことは思考の対象ですらない。
戒の視線は、血の海と化したベッドの上に横たわった死体の方に釘付けになっていた。
その死体には、頭と足以外の部分は残されてはいなかった。
一瞬にして目の前の人間全員の視線を虜囚としたその死体は、横たわっていると言うよりは、ただ置いてあるという表現が一番合っているのかもしれなかった。
その頭部はまるで無造作に放り投げられた後のように床に転がり、足部もかろうじてベッドの上にはあるものの、左右それぞれが全く別の方を向いている。頭部の顔面が部屋の奥を向いているせいで死体の表情がわからなくなっていたのは、ある意味救いだと、戒は心から思った。
戒は既に、指先すらも動かすことができなくなっていた。それどころか、先程聴こえてきた呻き声の主が自分だったのか、他の者だったのか、それすら正常に認識することも出来なくなっていた。
また、この感覚だ。
現実感が消失していく感覚。ふわりと体が宙を舞っているような、妙な感覚。目の前の光景が、直接視覚を通じて認識されているものなのか、モニターを通して何かの記録映像を見せられているものなのか、突如としてわからなくなる。
頭と足だけになった死体、血まみれのベッド、鼻をつく死臭、へたり込んだ女性。
血の海の中で胴だけになった死体、吹き出る血液。
銃声、荒野の真ん中で佇む人影、血まみれの手、折り重なる迷彩柄の死体。
あれ? 今目の前で起きてるのは、どれだったっけ――?
「戒っ!」
心地良い気配がする。少しだけ、薄ぼんやりとした世界に輪郭が戻る。
蒼ざめた顔で必死に何か叫んでいるこの顔は、荒汰だ。混濁した意識の中で、戒はか細く彼の名を呼んでいた。
――駄目だ、もう限界だ。
瞼が重くなっていくにつれ、次第に意識が全てのものを排除しようとしているのに気付く。
戒は心地よく眠りに堕ちていくような感覚をおぼえ、抗うことなくその誘惑に身を委ねていた。
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