無関係者
「高田さんの事件を調べていらっしゃる刑事さんですか?」
呉と柴田は、後ろからかかった声に振り返った。振り返った先には、萌と同じ高校の制服を着た女子高生が立っていた。
「君は?」
「私は不知火唯、永山萌さんの友達です。今日は付き添いで来ました」
萌は家族を失って、今親戚の家にいると言っていた。萌としては、付き添いは友達の方が良かったと推測できる。
呉はじっと唯を見た。しっかりしている女子高生のように見えるが、しっかりし過ぎている気がした。まるで大人と話しているようで、呉は唯から視線を外せなかった。
呉の隣で、柴田は何も感じていない様子でにっこりと笑った。
「萌さんの友達なら話してもいいかな。そうだよ、高田さんの事件を担当してる」
「そうですか…名前を伺ってもよろしいでしょうか?」
柴田が呉に指示を仰ぐと、唯の視線は呉に移った。透明な瞳だった。その瞳は『しっかりしている』印象に不釣合いだった。何が彼女をそうさせているのか、呉は興味を持った。
「俺は呉秀、隣は柴田耕平だよ」
「呉さん、柴田さん…永山さんを助けてください」
「萌さんは犯人じゃないってこと?」
柴田の疑問に唯は辛い顔をした。友達を信じたいから、という理由じゃないように見える。そんな不確定なものではなく、唯は何かを知っているようだと、呉は思った。柴田も何かを感じたようで、続く言葉を待っていた。
唯は呉に近付き、袖を軽く握った。それは縋っているのではなく、何かを伝えようとしているかのように呉は感じた。遠慮がちに引かれた袖から、手が離れた。
「このままだったら、永山さんは…。呉さん、わかっているんですよね? この事件を、悪い結果で終わらせないでください」
「…君は」
「私のことなら、全てが終わったときにお話します。今は答えられないんです。すみません、失礼します」
唯は一礼して走っていった。呉は追いかけなかった。柴田は呉が追いかけないなら動かない。そのまま呉の指示を待った。
「不知火唯、ね。耕、彼女はまた現れるよ。だから、彼女が望む結末を迎えてあげないとね」
呉の穏やかな笑みに、柴田は頷くことで答えた。 |