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北天の星々
作者:鈴音
秋風が涼しい山。この山を6人の人間が歩いていた。
「博士・・もうヘトヘト・・。休憩しようぜ・・」
「元太くん。さっきから休憩ばっかりだよ。頂上まであとちょっとだから頑張ろうよ。」
「しょうがないですね。これあげますから頑張りましょう。」
光彦が取り出したチョコレートを見て元太の目に輝きが戻る。
今日は探偵団恒例のキャンプなのだ。


「でもよーなんで今日は車で来なかったんだ?」
まだ元太はぼやいている。
「今日のキャンプはこの間ペンションで星を見るはずだったのに事件でゆっくり見れなかっただろ。
そのために来た山に車で来れる道があるわけないだろ。」
呆れた声で言うのはコナンだ。
「すげー。」
頂上の雄大なパノラマに思わず歓声を上げる。
必死で登ってきたかいがあった。
「これからテントの準備じゃ。」
博士が声をかける。
しかしこの中で暗い顔をしている人間がいた。
灰原哀は悩んでいた。


哀の悩みの原因は一週間ほど前にさかのぼる。
「あの・・哀ちゃん。相談したい事があるんだけど・・・。」
教室で歩美にこう切り出された。
「わたしコナンくんが大好きなの。どうしたらいいと思う?」
哀は答えられなかった。何故答えられなかったのか解らない。
それを見て歩美は悲しそうな顔をした・・。
「やっぱり哀ちゃんもコナンくんのことが好きなんだね。」
「えっ・・・。」
一瞬時が止まったかの様な錯覚をした。

私が彼の事を好き?

「でも哀ちゃんとはずっと友達だからね。」
そういって歩美は自分の席につく。
しかし哀はそれすら気付かない。

わたしがかれのことをすき?

その単語だけがぐるぐる回る。
前から薄々感じるものがあった。
組織への恐怖は今では自分が殺されるからじゃない、彼を危険にしないためであること。
杯戸シティホテルでの時、バスジャックの時。彼が助けてくれたとき本当に嬉しかった。
「私が彼の事を好き」この単語はその事実を認めたくなかっただけ・・
でも私は勝てない。彼には蘭さんがいる。
彼女がいる限り私の思いは実らない。

私は彼の事を好き

今なら断言できる。でも・・


「おーい灰原お前も手伝えよ!」
哀ははっと我に帰る。
「どうしたんだ?最近元気ないけど調子でも悪いのか?そうなら手伝わなくていいぞ?」
「いや大丈夫よ。それより何をしたら良い?」
平静を装った。この事は心に秘めておくべきこと・・


「さあ。お楽しみの天体観測じゃ」
もうすっかり辺りは暗くなりたくさんの星が輝いている。
「あっちで見よっと。」
みんなバラバラに散っていく。
哀も少し離れたところで空を見上げていた。
北斗七星、カシオペア座、名前も知らない星々
どの星もはっきりと見える。
哀は心のなかでまわりの人々を星になぞらえていた。
あの星は歩美ちゃん、あの星は博士、そしてあの明るい星は蘭さん。
「灰原きれいに見えるな。」
コナンがすぐ隣りで星を見ていた。
そのまま空を見ている二人。
「灰原。あれが北極星だ。」
ふいにコナンが話し掛けた。
指を指す方角明るいとは言えないが一つの星があった。
その星を見たとたんその星は自分だと思った。
それが口を突いて出る。
「あれが私の星・・」
「どうしたんだ灰原?」
コナンの声は耳に入らない。
「明るくはない。そして他の星が夜空を動いても私は出来ない。動いてはいけないそんな宿命を背負った星。
そしていつまでも他所者なの。そっくりでしょ?」
コナンは何も言わない。風が木々を揺らす音だけが聞こえる。
「灰原。確かにお前は北極星だ。北極星は北を示すそれが希望となるときだってある。それに北極星は動くんだ。おまえの考え方を
使うなら他所者なんかじゃない。仲間だ。」
哀が何か言おうとした。その時
「おーいそろそろ時間じゃ。」博士の声が聞こえた。
テントに戻る二人。


夜みんなが眠った頃灰原はコナンの横顔を見て一人想った。
「ありがとう。私とっても嬉しかった。私が北極星ならあなたは北斗七星であって欲しい。いつまでも私のそばから離れないで・・」
二つ目の投稿になります鈴音です。
初めてこういうスタイルの小説を書きました。
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