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痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。 作者:ユーキャン
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防御特化と勧誘。

六人は三層のギルドホームに入り部屋や内装を確認する。
しばらくして構造を把握した全員がオープンスペースに集まってきた。

「おっ、メイプル!ちょっと話したいことがあったんだ」

「何ですかクロムさん?」

「今届いた運営からのメッセージだ。期間は空くがギルド対抗の戦闘イベントがあるから準備しろってな。それでなんだが…」

「何ですか?」

「時間加速があるらしい。当日欠員が出る可能性を考えるとギルドメンバーを増やすのも……まぁ、アリだと思う」
クロムの言うことももっともだった。現状【楓の木】は非戦闘員のイズを含めて六人である。
欠員が出ればイベントが厳しくなることは間違いない。

「うーん…そう、ですね。はい、私もそれがいいと思います」
メイプルはクロムの意見に同意した。
メイプルにも人数が少ないことによる弊害を理解することは容易だったのだ。

「俺の知り合いを呼ぶことも出来るが…ギルドマスターに任せるべきだからな」
知り合いにはメイプルを陰で見守る掲示板の人達も含まれていたが、クロムはギルドマスターではないため無理を通すつもりはなかった。

「じゃあ、明日私と一緒にスカウトしに行かない?」
サリーがそう言ってメイプルの肩を叩く。

「んー…そうだね!行こう!」
メイプルとサリーは明日誰か新しいメンバーを探しに向かうことにした。



翌日、二人は人材発掘のために町を歩いていた。

「どうやって探そう?」

「取り敢えず掲示板を見に行こう。ギルドの勧誘とかパーティー募集とか色々書いてあるよ」

「じゃあ、そこに行こう」
メイプルはサリーの後ろをついていくようにして掲示板のある場所に向かった。


掲示板のある場所にたどり着くとメイプルは書かれている内容を流し読みしていく。新着の項目から目を通していくとそこには【攻撃特化募集】【毒耐性必須】などの文字が大量に並んでいた。

「今は攻撃特化が人気なんだね。やっぱり爽快だもんね!」

「……まあそうだね」
サリーも掲示板を見てみるものの即戦力になるような人はそもそもここでパーティーを募集していたりはしない。

「んー……駄目か。一層の低レベルプレイヤーくらいしかいないや」
サリーがそう言って掲示板を見るのを止めるとメイプルも同様に止めた。

「じゃあ、一層に行ってみない?どうかな……?」
サリーは一層に行くことで戦力を得られる可能性は低いと思ったが、何かをしなくては得られる物もないと分かっていた。

「うん、行こう。ここにいるよりはいいと思う」
二人は三層に入ってすぐに一層へと舞い戻ることとなった。



メイプルとサリーが久々の一層の町を歩いているとメイプルがとあることに気づいた。

「何だか…足遅い人多くない?」
メイプルの言うように足の遅いプレイヤーがあちこちに見られるようになっていた。

「それはメイプルの影響で極振りにした人が多いからかな」

「えっ?そ、そうなの?」

「そしてその多くが極振りのデータを諦める」
サリーは現在の状況を把握していた。
メイプルは当然そんなことはないのでその言葉に驚く。

「えっ!?何で?」

「まともに回避も出来ない、なのにHPも低い、他にも色々あるけど…一番大きいのは極振りのプレイヤーが何も出来ないことが再認識されてギルドやパーティーに入りにくくなったからかな。楽しみが半減しちゃうしね」
現状極振りで生き残っている強力なプレイヤーはメイプルただ一人である。
メイプルを再現することは不可能なため増殖した極振りプレイヤーは誰一人としてメイプルに追いつけないのだ。

「ちょっと悪いことしたかな……」

「気にすることないよ。誰だって強い人に憧れる。今回はそれが上手くいかなかっただけ」

「うん…仕方ないね」

「あー…取り敢えず掲示板に私達も募集書いておこうか」

「うん、そうしておこう」
そう言った作業はメイプルよりサリーが向いているためサリーが掲示板の方へと向かっていった。
一人になったメイプルはたまたま空いていたベンチに座ってサリーを待つことにした。

「あー…私が影響してたのかー……」
メイプルは極振りプレイヤーの件について気になっていた。
そのためそれに関する単語に敏感になっていたのである。

「うう…またパーティー参加を断られてしまった……やっぱり極振りって駄目なのかなぁ…」

「元気出してお姉ちゃん!…まだそんなにやってないしデータ作り直そうか?」

「でも……」
右から聞こえたその声にメイプルがそっちの方向を見る。
メイプルは立ち上がっていまだ話し続けている二人の少女に近づき声をかけた。

「こんにちは!えっと……ちょっといいかな?」
メイプルが声をかけると二人が同時に振り返る。
二人は背の高さと顔と武器が完全に一致していた。誰もが双子という第一印象を持つだろう姿だった。
違う点は励ましていた方のプレイヤーが白髪で励まされていた方のプレイヤーが黒髪な所だけだ。
白髪の方のプレイヤーがメイプルに返事をする。

「えっ…な、何ですか?」

「えっ、えっと……」
メイプルはそこで言葉に詰まってしまった。そもそも声をかけた理由が曖昧なのである。取り敢えず極振りに嘆くプレイヤーを引き止めたかっただけだったのだ。

「私達、急いでるので…」

「あっ、えっと……そ、そうだ!私のパーティー、いやギルド!ギルドに入らない!?」

「……え?いや、ありがたいですけど…あなた高レベルプレイヤーですよね?装備からしても……いいんですか?」
少女はメイプルに対してほぼ初期装備の自分達が釣り合わないと感じていた。

「いいのいいの!私ギルドマスターだから!それにまだまだ空きもあるしね」
一応メイプルの一存で加入メンバーを決めることが出来るのだ。
二人を入れて文句を言うようなプレイヤーも【楓の木】にはいない。

「ただいまメイプル……ってその二人は?」

「あっ、おかえりサリー!この二人は私がスカウトした二人!」

「なるほど……メイプルがいいなら私もいいかな。それに、メイプル一人での選択が普通だったことってないし」

「えっ……そ、そう?」

「うん。それじゃあ一層のギルドホームに行こう。そこで話をしようよ」

「そうだね。二人共、着いてきて?」

「「は、はい」」
歩き出したメイプルとサリーの後ろを二人が着いていく。

諦めるギリギリの所だった少女二人に差し伸べられた天からの救いの手。
それは唯一の極振り成功者との邂逅であった。

そりゃあ極振りも増えます。
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