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痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。 作者:ユーキャン
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防御特化と暴虐。

三層が追加された日から少ししてメイプル達一行は三層に続くダンジョンにやってきていた。
イズも含めて六人のパーティーである。
パーティーは最大八人なので今のメンバーならば全員が一つのパーティーに入ることが出来た。

このメンバーならば現状どのダンジョンも蹂躙出来るだろう。
実際、道中はサリーとクロムとカスミの三人をカナデが支援する形で十分過ぎたのである。
道中メイプルは一切戦闘に参加することはなく、イズを守ることにのみ集中していた。

「よし、ボス部屋っと」

「ちゃちゃっと攻略するか」

「ああ、そうしよう」
そう言ってカスミが扉を開けると全員が中に入る。
すると部屋の奥にボスが出現した。
ボスは樹木の姿をしており、幹の部分が顔になっていた。
一層を突破してきたメイプル達は一層のボスのように木に果実があるかを確認したが、それらしきものはなかった。

「じゃあ、私が行くね。【挑発】!」
メイプルがボスの方へと向かっていく。
ボスは伸ばした根や枝で攻撃してくるがメイプルにはそれらは通らない。
そうしている内にメイプルがボスの真下まで近づいた。

「【捕食者】【毒竜ヒドラ】【滲み出る混沌】!」
メイプルの周りから化物が姿を現し、毒竜が幹をぐちゃぐちゃに汚染し、最後に打ち出された化物の口が幹を喰らった。
HPバーがガクンガクンと減少する。
二匹の化物の攻撃も止むことがない。
樹木のボスは怒りを露わにし、二匹の化物に攻撃を仕掛ける。

「【身捧ぐ慈愛】!」
メイプルのHPが減少し天使の翼が顕現する。メイプルは二匹の受けるはずだったダメージを引き受け無力化した。
メイプルは素早くポーションを取り出すとHPを回復させる。
五人はこの姿を部屋の隅で見ていた。

「あれは何だ?どう取り繕ってももうモンスターよりだろ……俺はそう思う」

「そうかー……そんな感じかぁ……」

「見る度に付属品が増えているのは何でだろうか……」

「平常運転で安心したよ」

「もう味方ならいいわ…味方なら」
そう言って今回のメイプルの進化を受け入れようとしていた五人だった。

しかし、メイプルにはまだ一つ残されたスキルがあった。
メイプルは今回それを試してみるつもりだったのだから使わずには終われない。

「よし……【暴虐】」
小さく呟いたメイプルの体を黒い輝きが包み込む。
そして、真っ黒な太い光の柱が天井に向かって伸びるとメイプルの両サイドにいた化物に似た姿になる。
違う点は何本もの手足が生えている点だった。
メイプルの両サイドの化物は消えてしまった。


化物が樹木のボスに突進して掴みかかり、その口から炎を吐き出す。
木に炎はよく効いたようで、化物を倒すためにと根や枝さらには魔法まで使って攻撃する。
しかし、樹木のボスは化物を倒すに至らないどころか傷一つつけることが出来なかったのである。
化物は爪で幹を割き、蹴りつけて陥没させ、口しかない頭部で喰らいつく。
しばらくそうして戦っていた二体だったが、結局耐えきれずに樹木のボスが倒れてしまった。
化物はサリー達の方に向かってのしのしと歩いてくる。
警戒する五人に向かって化物が口を近づける。

「いやー……これ操作難しいよ!」
そう言った化物を見て流石に全員の思考が停止した。

「め、メイプル?」

「うん、そうだよ?」
ノイズ混じりの声で話す化物の正体はメイプルだった。
皆が困惑する中サリーが元の姿に戻れるかメイプルに聞く。

「んー…ちょっと待ってね」
そう言ってから数秒後腹部が裂けてメイプルが落ちてきた。
メイプルが化物から出てくると化物の姿は崩れて消えてしまった。
五人が近寄ってくる。

「出来る範囲で説明してくれると嬉しいんだけど……」
サリーも今回は流石に許容範囲を超えてしまったらしい。

「えっとね…あれは装備の効果が全部無くなる代わりに【STR】と【AGI】が50増えてHPが1000になって、HPが無くなっても元の状態に戻るだけっていう…」
デメリットは装備の能力値上昇や装備のスキルを使えなくなること、それに一日一回しか使うことが出来ないことくらいである。
このスキルによりメイプルは死にかけた際の緊急回避が可能になった。

「ああ……遂に本当に人間を辞めたのか」

「ああ、 辞めたな。これはもう間違いない」
比喩などではなくメイプルは化物になれるようになってしまったのだ。

「操作が難しくて…何ていうかすごい大きい着ぐるみの中みたいな感じ?」
メイプルはあの状態で細かい操作は出来ないのである。

「まあ…それ以前のもかなりおかしかったけど」
サリーは化物が二匹生えた辺りから既に今回もまずそうだと感じていた。

「私でもこれが普通じゃないことくらい分かるわ……」

「んー…シロップに乗るより速い……」

「僕はそれで移動するのは止めておいた方がいいと思うよ」
それはもうモンスターを引き連れた少女という光景ではなく、醜悪なモンスターが急にフィールドを駆け回り始めるというものなのである。

「山奥で練習して戦闘で使えるようにしておくね」

「見たやつが誤解するだろうな……」
取得してしまったものは仕方なかった。
三層に向かって歩き出すメイプルを追って残りの面々も歩き始めた。



三層の町は曇り空に覆われた、機械と道具の町だった。
【楓の木】の面々が三層の町に辿り着き気づいたことがあった。
それは明らかな違いであり、誰でも気づけることである。

「皆、空飛んでるね」
メイプルが言うようにプレイヤー達のほとんどが多様な機械によって空を飛んでいた。

「何かのアイテムか?」

「んー……あれじゃない?」
サリーが指差す先にはゴールドを支払って買うことの出来る様々な種類の機械があった。見ているうちにも一人のプレイヤーが購入して青い光の灯った機械を背負って空へと舞い上がっていった。

「また、変わった階層になりそうだな」

「確かにな。私達も空を飛んで探索するのだろう」
三層の町での普通を知った【楓の木】の面々は各階層にあり当然三層にもあるギルドホームへと向かった。
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