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痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。 作者:ユーキャン
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防御特化と悪魔退治。

メイプルが食べられてから一時間。
悪魔のHPバーは減少を続けていた。
それに伴い行動パターンが変わり多様な攻撃が繰り出されるが、肝心の敵はどこにもいないのだ。

そう敵は体内にいるのである。

「今どれくらい…もぐ、むぐっ……HP減ったのかな?」
メイプルが肉壁を噛み千切りつつ呟く。
イズに作ってもらった大天使の時用の短刀は毒で耐久値がみるみるうちに減ってしまったため攻撃に使うのを諦めたのだった。
シロップも指輪に戻してしまったため攻撃手段がこれしかない。

「すっごい暴れてるんだよなぁ……」
メイプルは肉壁から引き剥がされて流されたりしつつ着実にHPを削っていった。


そしてさらに一時間。
メイプルは遂に悪魔の命を喰らい尽くした。
それと共に悪魔の体が光に変わり爆散し、メイプルが地面に落ちる。

「おっと……ふぅ、やっと終わった」
メイプルが大盾と短刀を拾い上げたところで通知が届いた。

「【悪魔喰デビルイーターらい】とかだと思ったけど…【身捧ぐ慈愛】があったからかぁ」
このスキルは取得条件に【身捧ぐ慈愛】が関わってくるスキルだった。
とにもかくにもメイプルは新たなスキルを手に入れたのだ。
それも、新たな攻撃手段になるようなものを。

「【にじみ出る混沌】……これは…んーなるほどなるほどこれも【毒竜】と同じ感じのスキルか」
このスキルには三つのスキルが内包されていた。
メイプルはスキルを確認すると迷うことなくそれを鎧にセットした。

「さてと……戻ったら試してみようかな」
そう呟くメイプルの視界は赤い輝きに覆われていき、光が消えた時には既に元の教会の中だった。

「MPを使わないのから使ってみよっと!えっと……【捕食者】!」
メイプルが叫ぶとメイプルの足元が真っ黒な光に覆われて、そこから真っ黒な何かが二本伸びてきた。
長さは三メートル程だ。
それは先程の変身後の悪魔と似た見た目をしていた。
大きな口が先端についているが、悪魔と違い手足はなかった。蛇のような姿で地面から直接生えているのだ。

「……動けるかな?」
メイプルが前に進むと地面の黒い光ごと二匹がついてくる。

「じゃあ行こう!」
メイプルは教会から出て行く。
古びた教会から生まれたての悪魔が出て行った訳である。



歩いていたメイプルは途中であることを知ることが出来た。

「おー!モンスターが出てきたら勝手に倒してくれるんだね!」
メイプルの両サイドにいる化物達はその体が届く距離にいる敵を勝手に嚙み砕くのである。
さらにメイプルとは別のHPや攻撃力や防御力などがあり、火力や速度は十分だった。
また、その攻撃には【呪縛】の効果があった。

「じゃあ…次はMPを使うスキルを使ってみようかな……【にじみ出る混沌】!」
メイプルがスキルを使うとメイプルの体から黒い光が滲み出て、両サイドの化物の巨大化した形となり【毒竜ヒドラ】のように前方へと撃ち出された。

もし、プレイヤーとの戦闘になった際に憐れなプレイヤーがこれを受けることになるとすると、そのプレイヤーは直径二メートルにもなる口が自分を喰らいにくるのを見ることになる。
射程も十分だった。

「最後のは……また今度にしようかな。じゃあ、【封印】」
【捕食者】を封印するための言葉を言って目立つ二匹を闇の中に戻すと、メイプルは最後のスキルを試すのは止めて森を歩いていく。

「第三回イベント…どうしようかなーもういいかなぁ……」
メイプルは第三回イベントへの興味を失ってしまっていたため、結局終了までに新たに多くの牛を狩ることはなかった。





その後はメイプルが特に何かをすることなく平穏に第三回イベントは幕を閉じた。
そして第三回イベントが終わったその後でギルドホームに全員が集合していた。

「はぁー……疲れた」
サリーが椅子の背もたれに全体重を預けきる。余程疲れているのか元気がない。

「ああ……私もだ」
カスミは机に突っ伏していた。
サリーとカスミは特に多くの牛を倒していたため、疲労感も強い。
次にクロム、そしてカナデだ。
メイプルは全く疲れていない。
イズを除けばメイプルは討伐数最下位であり、最後の方は森の奥の人目につかない場所で【捕食者】と戯れていただけのため疲れているはずがなかった。

「メイプルは今回はあんまりだったな」

「あんまり気が乗らなくて……」

「まあ、仕方ない。俺らみたいなのには厳しいイベントだったしな」
クロムの言うように【AGI】の低いプレイヤーには厳しいイベントだった。
メイプルならば尚更である。

「でも、僕達はギルド報酬なら最高のところまでいったね」
カナデの言う通り、メイプルが駄目だった分を他の四人がカバーしたことによって最高報酬まで届いたのだ。

「ギルドホームに届いてるわよ」
そう言ってイズが報酬を取り出す。
それは壁に取り付けることの出来る、牛の頭部の剥製だった。
効果は【楓の木】に所属するメンバーの【STR】を3%上昇させるというものだった。

「積み重ねが効いてくるって訳だ」

「ああ、そうだな」

「私には意味ない……いや、そうだあるんだ!」
メイプルがそう言うと、カナデを除く四人の顔色が変わる。
メイプルの【STR】のことを考えると意味があるのは変だった。
そのため、四人が四人共同じ思考に行き着いた。

「メイプル……このイベントの間にどこか行ってた?」

「二層にいたよ?……多分」
メイプルにはあの灰色の世界を二層と呼んでいいのかが分からなかった。
メイプルがそう言うとサリーとカスミが額に手を当てて諦めをあらわにする。
クロムとイズも止められなかったと思っていた。

「………近々第三層が追加されるからな。出来ればその時のダンジョン攻略で見せてくれ」
もう全員がメイプルが何かしらをやったことを察していた。
それも、やばそうなスキルの気配をである。
事実それは当たっている。

ただ、本当にやばいスキルは【捕食者】でも【にじみ出る混沌】でもなく、メイプルがあの場で使うことを躊躇った残り一つのスキルだったのだ。

三層追加は三日後に迫っていた。









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