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痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。 作者:ユーキャン
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防御特化と卵の中身。

「おー!」

「生まれたねー!」
二人が嬉しそうに笑う。
深緑の卵から生まれてきたのは卵より少し小さいくらいのサイズの亀だった。
卵と同じ深緑の体をしていて動きはゆっくりとしている。
紫の卵から生まれてきたのは雪のような白の体毛を持つ狐だった。
狐は体の感覚を確かめるように数回伸びをすると、紫色の炎をふわりと宙に浮かべて自分の魔法を眺め始めた。

「おおー…卵から狐かぁ……予想外だった」

「モンスターだからその辺は関係ないのかもね」
二人が話していると亀はメイプルに、狐はサリーに近づいていく。
二人が恐る恐るモンスターを撫でてみると二匹は気持ちよさそうに目を細めた。

それと同時に卵が薄く輝き始める。
その輝きは次第に強くなり、二つの卵はそれぞれ紫の指輪と緑の指輪に変わった。
二人はそれを手を伸ばして拾う。

「アイテム名は……【絆の架け橋】。これを装備することで一部のモンスターとの共闘を可能にする…だって!…これはもう外せないかなぁ」
サリーの説明は指輪の最も重要な能力のことだけだった。メイプルも自分の目で見てその能力を確かめる。

【絆の架け橋】
装備している間、一部モンスターとの共闘が可能。
共闘可能モンスターは指輪一つにつき一体。
モンスターは死亡時に指輪内での睡眠状態となり、一日間は呼び出すことが出来ない。

死亡時に即消えてしまう訳では無かったため二人は安心する。
そんな仕様だったなら迂闊に戦闘に出せないところだった。

「むぅ…指輪かぁ。装飾品枠はいっぱいだから【フォレストクインビーの指輪】を外そうかな。HP回復は【瞑想】でも出来るし」
二人が指輪をはめると二匹は嬉しそうに体を擦り寄せる。

「あはは、くすぐったいよー!」

「んー…もふもふー……」
そうして戯れていた二人だったが、サリーがあることに気付いた。

「この子のステータスが見れるようになってるね」
指輪の効果なのだろう、自分のステータス表示の下にもう一つステータスがある。
二人はその内容を確認する。


ノーネーム
Lv1

HP 250/250
MP 30/30

【STR 30】
【VIT 150】
【AGI 15】
【DEX 10】
【INT 20】

スキル
【喰らいつき】



ノーネーム
Lv1
HP 80/80
MP 120/120

【STR 10】
【VIT 15】
【AGI 70】
【DEX 75】
【INT 90】

スキル
【狐火】

上が亀、下が狐のステータスだ。
モンスターの子どもなだけあって生まれたてでもステータスがある程度確保されている。

「ノーネームってことは…名前をつけてあげないとだね!」

「そっか、それもそうだね」
二人は慎重に名前を考える。
しばらく考え込んでいる間はモンスター達はじゃれあって遊んでいた。
モンスター仲は良好のようだ。

「よーし決めた」

「うん、私も!」
二人は名前を思いつくとそれぞれのモンスターの元へ近づく。
二人はしゃがみこんでモンスター達に目線を合わせる。

「亀さんの名前はシロップ!むふふ…私と合わせてメイプルシロップだよ!」
意味もなく得意げになるメイプルだった。
亀は名前が気に入ったのかその体をまた擦り寄せてくる。
一人と一匹が楽しそうに戯れていた。

「じゃあ…おぼろでどう?駄目?」
サリーが狐に尋ねるように言う。
狐は満足しているようで、ぴょんと跳び上がるとサリーの首元に巻きつくようにしがみついた。
サリーの首元はマフラーと狐でもこもこである。
和やかな雰囲気が流れていた中。
メイプルが急に叫んだ。
その目の前にはステータスの表示されている青い画面が浮かんでいる。

「あ、あれ!?も、もしかして…」

「ん?どうかした?」
サリーが不思議に思って近づき、画面を覗き込む。

「えっ!?あっ、み、見ないで!」

「んー…ああなるほど……」
サリーが画面を見れたのはほんの五秒程だったが、メイプルの考えていることは理解できた。
メイプルが開いていたのはシロップのステータスで、特にその一点を凝視していたため、観察眼の鋭いサリーはメイプルの見られたくなかったものが分かった。

「メイプル…亀よりもAGIが低いだなんて」

「うぐぅっ!!」
シロップは【AGI 15】メイプルは【AGI 0】である。

「かめとめいぷるかぁ…」

「うさぎとかめみたいに言うなぁ!競争したら流石に勝てるよ!足の長さが違うもん!」

「じゃあ…やってみる?」

「えっ…………ち、ちょっと遠慮しておこうかなぁ〜。あははは……」
もし負けるようなことがあれば立ち直れないかもしれないのだ。
そんなことになれば防御極振りを捨てて【AGI】にステータスを振ってしまう。
メイプルはそんな気がしていた。
わざわざそんなことをする必要はないだろうと考えたのだ。
たたの逃げでしかないといえばそれまでである。

「ステータスは、育ての親にある程度似るのかな?メイプルとシロップは両方防御特化だし朧は敏捷が高いし」

「かもしれないね」
二人はさらに二匹のステータスを見ていく。

「装備はつけれないけど…レベルは上げられそうかな?」

「レベルを上げればステータスポイントが貰えるのかな?それとも、勝手にステータスが伸びるのかな?」
その辺りの情報は指輪の説明に載っていなかったため分からないのだ。

「とりあえずレベルを上げてみる?」

「うーん……やられちゃったら嫌だし…」
サリーが首元から頭の上に移動した狐を触りながら言う。

「じゃあ私がモンスターを捕獲してくるっていうのはどう?」

「名案…かな?しばらくはそれでレベルを上げてみよう」
メイプルはシロップに待っててねと言って、頭を撫でてやると裂け目から出てモンスターの捕獲に向かった。






それから十分。
メイプルが両手に蝙蝠を持って戻ってきた。
麻痺しているのだろう、蝙蝠は身動きが取れないようだった。
メイプルはそれを地面に置く。

「えっと……シロップ!【喰らいつき】!」

「朧!【狐火】!」
シロップが蝙蝠の体を喰いちぎる。
朧が紫色の炎で蝙蝠を焼く。
赤いエフェクトが裂け目の中を照らし、蝙蝠が光となって消えていった。

「あー…レベル上がってない」

「こっちもそう」

「多分…この子達はかなり強いモンスターの子どもなんだよ。だから必要経験値も多いんじゃないかな?」
蝙蝠を倒せば、レベル1のプレイヤーなら確実にレベルが上がっているだろう。

「もっと必要かな?」

「お願いしていい?私は捕らえるスキルが無いから……」

「うん!適材適所ってやつだね!でも、私がいないうちに何かあった時はシロップを頼んだよ?」

「きっちり守り抜くよ!」
サリーの返事を聞いて、メイプルは再び外へと向かった。
メイプルが帰ってきたのは二十分後。
合計八匹の蝙蝠を抱えるように持って帰ってきた。

「なんて言うか、親鳥の気分」

「やってることは親鳥と変わらないしね」
ドサドサと蝙蝠を地面に落とす。
シロップと朧にそれを四匹ずつ倒させると二匹ともレベルが2に上がった。


シロップ
Lv2

HP 300/300
MP 30/30

【STR 35】
【VIT 180】
【AGI 15】
【DEX 10】
【INT 20】

スキル
【喰らいつき】【甲羅防御】





Lv2
HP 85/85
MP 130/130

【STR 15】
【VIT 15】
【AGI 85】
【DEX 80】
【INT 95】

スキル
【狐火】【火柱】

「ステータスは勝手に上がるみたい」

「そうみたいだね。っていうか、伸び幅凄いね」
将来有望な二匹の為にその後もメイプルが狩りに出ること数回。
しかし、近場にモンスターがあまりいなかったためにレベルは上がらなかった。
指輪の名称を変更
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