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痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。 作者:夕蜜柑
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防御特化と山登り。

地面に傾斜が出てきた。
いよいよ山岳地帯に差し掛かったのだ。

「この山は他のプレイヤーも目指してるだろうし、先を越されないようにしないとね」

「そうだね、出来るだけ急ごう」
二人はずんずんと山を登っていく。二人が今登っているのは最も高い山だ。現状、周りに他のプレイヤーはいない。
とはいえ、別方向から登っている可能性はあるだろう。

「メイプル!モンスター来るよ!」

「分かった!」
大盾は白雪に変えてある。
ボスモンスターがいることを想定して、【悪食】は温存しておくつもりなのである。
樹海とは打って変わってモンスターが多いため、戦闘回数も増える。

「おっ、レベル上がった。これで19!ステータスは…AGIに全部振っておこうっと」
大岩があちこちにあり、モンスターが急に飛び出してくるため警戒を解くことができない状況だ。
常にどちらかは周りを気にしつつ進むことで奇襲に対応する。
鳥型のモンスターが上空から度々襲ってくるため魔法で相手をするしかなく、MPを持っていかれる。
地上のモンスターは狼型で、素早い動きで攻撃してくる。

「足場も悪いし、やりにくいなぁ」

「さっさと登りきっちゃおう!」
モンスターを撃破しつつ進むこと二時間半。
地面にも雪が積もるようになった。ザクザクと音を立てながらさらに歩を進める。

「結構、進んだね」

「うん、もう後一時間くらいで頂上かな?」
理沙が頂上を仰ぎ見る。

そのお陰で前方にいたモンスターに気付くことが出来た。
二十メートル程先にいたのは真っ白な毛で全身が覆われた猿だ。
その猿が雪を散らしながら駆け下りてくる。

「来るよ!」

「うん!」
二人が身構える。
猿の周りに青白い魔法陣が二つ浮かぶ。
猿には今までの魔物と違う点があった。
そう、魔法を使えることだ。

「【カバー】!」
楓が咄嗟に理沙をかばう。
楓は大盾から連続して衝撃を感じる。
まるでマシンガンの様な氷の礫の連続攻撃。
猿はそのまま近づいてくると、魔法陣を消してその拳に白い輝きを纏わせ、殴りかかる。
今度は大盾により重い衝撃が走る。

「サリー!」

「【ダブルスラッシュ】!」
楓に猿の注意が向いている隙に理沙が猿の真横をすり抜けて、背中を切り裂く。
猿は悲鳴を上げるものの倒れることはなく、その目に怒りを宿して理沙へと向き直り、拳を振り抜く。
足元の雪が邪魔をして動きにくいが、理沙は問題無く回避する。

「【パワーアタック】!」
カウンターの二連撃が腹を深々と切り裂くが猿はそれでも倒れない。
ガパッと開かれた口の中に白く輝く一つの魔法陣が見えた。

「【超加速】!」
理沙が咄嗟の判断で切り札の一つを切る。
理沙が一瞬前にいた場所には鋭い氷が大量に突き刺さっていた。

「【スラッシュ】!」
氷のブレスを回避してのカウンターは、ついに猿を沈めるに至った。
猿の体が光となって消えていく。

「ふー…【超加速】使っちゃったか……」

「やっぱり、私ももっと参加した方が…」

「いや、メイプルはボスに備えていた方がいい。【超加速】はまた使えるようになるし…道中は任せて!」

「んー…分かった。でも、やばそうなら【カバー】とかするよ?」

「ありがとう!助かる」
二人は再び雪山を進む。猿は中ボスのような存在だったのか、もう一度遭遇することは無かった。
変わりに出てきたモンスターは雪煙を上げながらジグザグに雪中を進んでくるモグラと、雪を巻き込みながら転がってくる真っ白いアルマジロだった。

「モグラは気をつけないとだけど…アルマジロは避ければそのまま転がっていくから楽だね」

「アルマジロは当たったら即死だと思うけどね…まあ、メイプルなら耐えれるかも」
そんなことを話しつつ登っていく。
そして、ようやく山頂に辿り着いた。



山頂は綺麗な円形になっており、中心に石で出来た祠がある。
祠の前には白く輝く魔法陣があり、二人を誘うように輝いている。
何度か見た転移の魔法陣だ。

二人がその魔法陣に近づこうとしたその時。
二人が登って来た方とは逆側から、プレイヤーが四人登って来た。
大剣、大盾、魔法使い二人のパーティーだ。
向こうも楓達に気付いたようで二人の方を見る。
PvPを覚悟した理沙だったが、そうはならなかった。

「あっ!…クロムさん!」

「おっ?……メイプルか…ここで会うとは思わなかったな……ああ、俺達に戦闘の意思は無い。勝てるとも思わないしな」
そう言ってクロム達が武器をしまって、両手を上げてみせる。

「私も戦いたく無いです。……いいよね、サリー?」

「まあ、そうだね。私達も浪費はしたくないし…警戒しておくに越したことは無いけど…多分大丈夫…かな?」
流石に絶対に安全とは言い切れないため、理沙は警戒を解くことなく話を続ける。

「それで…この祠はどうするの?どっちかしか報酬は貰えないんじゃない?」
理沙の言うことはもっともで、クロムか楓のどちらかが先に入ることになり、もし攻略に成功した場合はダンジョンの報酬はなくなってしまうかもしれない。
楓はしばらく思案し話し出した。

「んー………サリー。クロムさん達に譲ってもいい?」
申し訳なさそうに切り出した楓に理沙が驚いた後で微笑みながら答える。

「……メイプルがいいなら、私は何でもいいよ?ただし、後悔しないこと!これは約束しておいてね」

「うん……分かった!……じゃあ、どうぞ先に行って下さい!」
楓がクロム達に向かって言う。

「い、いいのか?こういうのは普通早い者勝ちだと思うが…」

「いいんです!私の気が変わらないうちに行った方がいいですよ?」
楓がそう言うとクロムは礼を言って魔法陣に乗って消えていった。
山頂に二人が取り残される。

「よかったんだよね?」

「うん…ここで戦闘になってスキルを使ったら結局転移先で戦闘になった時にまずいし…何よりフレンドの人と戦いたくなかったし」

「うん!後悔してないならいいかな………今頃、あっちは戦闘になってるかな?」
理沙が輝きの消えた魔法陣を見ながら言う。

「かもしれないね」

「どうする?降りる?それか、戦ってるなら負けるかもしれないし…スキルも温存したんだから待ってみる?」
理沙がそう提案したその時。
魔法陣が再び輝きを取り戻した。
再侵入可能の印だ。

「「えっ!?」」
二人が驚く。
クロム達が入ってからまだ一分程しか経っていないのだ。
予想外の速さだ。

「ど、どういうこと!?」
戸惑う楓に理沙が静かに自分の考えを話し始める。

「取り敢えず思いついたのは二つ。一つは転移後に装備やメダルを回収するだけだったから速攻で終わったっていう可能性。もう一つは…」
理沙はそこで一旦言葉を区切り、現実であって欲しくなさそうに、酷く不快な様子で続きを呟いた。

「強力なモンスターになす術もなくやられた可能性」

「それは…」

「どっちかっていうと、後者……かな。まだ魔法陣が光ってるのは挑戦出来るってことだと思う。なら…中にあったのは装備なんかじゃない……はず」
幸い他のプレイヤーは登って来そうに無かったため。二人は互いにステータスを確認し合って戦略を立ててから挑むことにした。

「【破壊成長】で鎧が【VIT+40】になってるのと、HPが増えてるくらい。スキルはバッチリ温存してあるよ」

「私もあんまり変わってない。【超加速】は回復したし、【蜃気楼】も残ってる」

メイプル
Lv24
HP 40/40〈+160〉
MP 12/12 〈+10〉

【STR 0】
【VIT 170〈+81〉】
【AGI 0】
【DEX 0】
【INT 0】

装備
頭 【空欄】
体 【黒薔薇ノ鎧】
右手 【新月:毒竜ヒドラ
左手【闇夜ノ写:悪食】
足 【黒薔薇ノ鎧】
靴 【黒薔薇ノ鎧】
装飾品 【フォレストクインビーの指輪】
【タフネスリング】
【命の指輪】

スキル
【絶対防御】【大物喰ジャイアントキリングらい】【毒竜喰ヒドライーターらい】【爆弾喰ボムイーターらい】【瞑想】【挑発】【極悪非道】【大盾の心得Ⅳ】【体捌き】【攻撃逸らし】【シールドアタック】
【HP強化小】【MP強化小】
【カバームーブI】【カバー】

サリー
Lv19
HP 32/32
MP 25/25〈+35〉

【STR 25〈+20〉】
【VIT 0】
【AGI 80〈+68〉】
【DEX 25〈+20〉】
【INT 25〈+20〉】

装備
頭 【水面のマフラー:蜃気楼】
体 【大海のコート:大海】
右手 【深海のダガー】
左手 【水底のダガー】
足 【大海のレギンス】
靴 【ブラックブーツ】
装飾品 【空欄】
【空欄】
【空欄】

スキル
【状態異常攻撃Ⅲ】【スラッシュ】【ダブルスラッシュ】【疾風斬り】【筋力強化小】
【連撃強化小】【ダウンアタック】【パワーアタック】【スイッチアタック】【体術I】
【短剣の心得II】【器用貧乏】【ディフェンスブレイク】【超加速】
【火魔法Ⅰ】【水魔法Ⅱ】【風魔法Ⅱ】
【土魔法Ⅰ】【闇魔法Ⅰ】【光魔法Ⅱ】
【ファイアボール】【ウォーターボール】
【ウォーターウォール】
【ウィンドカッター】【ウィンドウォール】
【サンドカッター】
【ダークボール】
【リフレッシュ】【ヒール】
【MP強化小】【MPカット小】
【MP回復速度強化小】【魔法の心得II】
【釣り】【水泳Ⅹ】【潜水Ⅹ】【料理I】
【採取速度強化小】【気配遮断II】
【気配察知II】【しのび足I】【跳躍I】
【毒耐性小】




「取り敢えず、入ったらすぐに私が大盾を構えるから後ろに隠れて」

「了解。それでその後は…」
二人はその後も二十分程話し合うと、立ち上がり魔法陣に向かった。

「よし!いこう」

「うん!」
そして、転移と共に二人の姿は光となって消えていった。
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