挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。 作者:ユーキャン
16/147

防御特化と釣り日和。

「おー!町はこんな感じなんだー!」
理沙が周りを見渡して、嬉しそうに声を上げた。理沙のその様子がゲームを始めたところの自分と重なって、懐かしく思えた。

「楓の…っと……危ない。メイプルの装備との見た目格差があり過ぎてちょっと辛い」
プレイヤーネームに言い直して理沙が話す。
楓も理沙のことを理沙と呼ばないように気をつけなければならない。

「あはは、まだ初期装備だもんね」
理沙は楓と早速フレンド登録し、パーティーを組むと、楓にステータスを見せてくれた。

サリー
Lv1
HP 32/32
MP 25/25

【STR 10〈+11〉】
【VIT 0】
【AGI 55〈+5〉】
【DEX 25】
【INT 10】

装備
頭 【空欄】
体 【空欄】
右手 【初心者の短剣】
左手 【空欄】
足 【空欄】
靴 【初心者の魔法靴】
装飾品 【空欄】
【空欄】
【空欄】

スキル
なし

「色んなステータスに振ってるんだね」

「これが普通だから!…VITとMPとHPには取り敢えず今は振らないでおいたんだ」

「どうして?」

「全部回避して、ノーダメージならHPもVITもいらないからね!魔法を使うかどうかは分からないから…今はMPとINTは低めでいい。STRは武器である程度補えるしね」

「色々考えてるんだねー」
楓はレベルが上がればVITに振るだけなので考えることなど何も無いのだ。

「ふふふ…受け切ってノーダメの人とは考える量が違うのだよ。そういや…三位入賞の品は装備品とかじゃなかったの?」
見たところ装備が理沙の聞いていた話のままなため疑問に思ったのだ。

「あれは記念メダルだった。装備品かもと期待してたんだけどなぁ」

「まぁ…次のイベントもそうとは限らないからなぁ……っと、それで?…今からどこか行くの?」
楓の今の目的が地底湖に行くことだと告げると理沙はふむふむと頷く。どうやら何か考えがありそうだ。

「それなら、私に任せて!いい考えがあるから…」
楓は素直に耳を傾ける。









理沙は地底湖方面へと爆走していた。ゲーム内でも動きすぎると脳が疲労して動きが鈍くなるのだが、これはプレイヤーによって個人差がある。
脳がどれだけ上手く働いてくれるかによって反応速度やスタミナなどのPSプレイヤースキルに違いが出る。
理沙がここまで走れるのはVR慣れしているからである。
肝心の楓はというと。


理沙の背中にしがみついていた。
いつもの重装備全てを外していて、メイプルだと分からない人の方が多いかもしれない。
防具を装備するのにはSTR値は干渉しないが
背負うとなると防具分のSTRが余分に必要になるのだ。
装備を外しているのはそのためである。

「前方から狼系モンスターが三匹!メイプル!」

「りょうかーい!」
そう言うと理沙は楓を下ろして距離を取る。
地底湖までAGIの高い理沙が楓を背負って走り、途中の敵は楓を下ろして楓が相手をするという役割分担で、楓一人で向かった時の五分の一の時間で地底湖に辿り着いた。


「おおおお!すっごい速かった!」
楓が装備を付け直して嬉しそうに言う。
理沙は早速役に立ててどこか得意げだ。

「ふふふ…崇めたまえ〜!」

「ははーっ!サリー様〜!」
そんな茶番もそこそこに、二人は釣りを始める。理沙も自分の釣竿を買ってきたので二人で並んで湖面に糸を垂らして待つ。
そして釣り始めてから一時間。



「や、やっと三匹目!」

「お、またかかった!」
釣果は楓が三匹。
理沙が十二匹である。

「1レベルでここに来れたおかげで釣り上げた魚に止めを刺すだけでレベルが上がる上がる」
実際、理沙のレベルは6まであがっていた。
しかも。

「【釣り】スキルゲットー!…初スキルが【釣り】かぁ…メイプルのこと変って言えないなぁ」
【釣り】スキル取得にはDEXが20以上必要なため楓には一生無縁のスキルだろう。

「サリーはステータスポイント振り分けないの?」

「それはもうちょっとスキルを取ってから。スキルで戦闘スタイルが決まってくるところあるから…ステータスポイントはまだ取っとこうと思って。初期ステータスでもそこそこ戦えるしね」

「やるな〜上級者め〜!」

「まあ色んなゲームやってきたしね」
そう言ってもう一時間釣りを続ける。
楓の釣果は変わらず。
しかし、スキル【釣り】を手に入れた理沙の釣果は二十匹となった。

「どう?これで足りそう?」

「うーん…もう一時間だけ…いい?」

「いいよー!でも、私も一つ試したいことがあるから…釣りじゃなくて素潜りで狩ってきてもいい?」

「いいけど、そんなこと出来るの⁉︎」

「出来ると思うよ。と言うかメイプルの方が今までに意味わからないこと試してるよ?多分私のAGIなら固まって泳ぐ魚のうちの一匹位なら倒せるかな?私、泳ぎ得意だし」
それだけ言うと、理沙は地底湖へと飛び込んだ。

「じゃあ、頑張ってね!」

「うん!一匹でも多く狩ってくるね」
そう言って理沙が潜水する。そのまま一時間もの間地底湖を泳ぎ回っていた理沙が戻ってきた。少し息は荒れているもののその前に爆走してきたとは思えないスタミナの残りようだった。

「【水泳I】と【潜水I】のスキルが手に入ってからは簡単になったかな!」
そう言って理沙はインベントリから真っ白い鱗を80枚出す。

「こ、これ貰っていいの?」

「私はいらないし…今度私の手伝いをしてくれるのと引き換えで」

「じゃあ、それで!手伝うって約束する」
楓はありがたく80枚の鱗をインベントリにしまい込んだ。そこで理沙が神妙な面持ちで話し始める。

「ねえ…メイプル。確か、今見つかっているダンジョンって二つだっけ?」

「えっと…うん、そうだよ」

「地底湖の底に、小さな横穴があった」

「……!それって!」
興奮を隠し切れない様子で理沙が頷く。

「ダンジョンの入り口かも…でも…」

「うん…私は行けないね」
楓のステータスではまともに潜水など出来やしないだろう。溺れれば初死亡である。

「だから、慎重に攻略しようと思ってる。メイプルと同じユニークシリーズが手に入るかもしれないし…だから…」
楓は理沙の言わんとするところを理解して食い気味に言う。

「うん、地底湖まで来るのを手伝うよ!借りは即返すってね!」

「そう言ってくれると思ってた!さっすがメイプル!」

「えへへーそれ程でもー!」
帰りはログアウトすればいいので【水泳Ⅰ】と【潜水Ⅰ】のスキルレベルを上げるために理沙は再び泳ぎ始めた。

+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ