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痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。 作者:夕蜜柑
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防御特化と最強3。

対峙する二体の化物が接近しそれぞれの攻撃を繰り出す。
先程までが技のぶつかり合いならば今は力のぶつかり合いである。
そこに回避はほとんど存在せずお互いが攻撃を攻撃で返し続けていく。

「負けないっ!」
メイプルが口から吐き出す炎が鬼を包み込んでいく。
赤く輝く鬼の拳がメイプルの身体を叩く。

そして鬼のHPバーが2割を切ったその時。

「うっ……!」
メイプルを覆っていた外皮が崩れ落ち、メイプルが地面に落下する。
メイプルの攻撃力は上がったとはいえ鬼のそれには及ばない。
となると貫通効果を持つ打撃を受け続けたメイプルの外皮が先に崩れることもまた当然であった。

「【毒竜ヒドラ】!シロップ【覚醒】【巨大化】!」
メイプルは再度シロップを呼び出し、近づこうとする鬼を毒竜で牽制する。
回避をしなくなった鬼はそのままダメージを受けるもののそれでも拳を叩きつけてくる。

「【滲み出る混沌】!……っく、シロップ!【大自然】!」
立て続けに使えるスキルを吐き出して牽制を続け、メイプルはシロップの背中に飛び乗って空へと浮き上がった。

「急がないとっ!うわっ!?」
浮き上がったシロップの斜め下。
メイプルがシロップに張ってもらったつるのバリケードを突き破って鬼の拳の大きさの風が弾丸のように飛来した。

「シロップっ!」
シロップに直撃したそれはシロップを一撃で打ち倒し、メイプルを地面へと落とした。
落ちていくメイプルに鬼の拳が突き刺さる。
落ちながらたまたま構えられていた大盾がそれを受け止めたものの、空中に浮いた状態ではその場にとどまってはいられない。

ノックバックの比ではないくらいに吹き飛ばされたメイプルにダメージはないが、もともとメイプルはそこまでガードが上手くない。
次もまた防ぐことが出来るとは限らない。
地面に伏せながら見た先には走ってくる鬼の姿があった。
追いつかれれば今度こそ離れようはない。
そして目の前の地面にあるものを見つけたメイプルは少しの後閃いた。

「【クイックチェンジ】!」
青い光がメイプルを包み、一瞬でメイプルの装備が純白のものに変わる。

「これを……っ!」
メイプルの周りに落ちていた、ばら撒いたまま使い切らずにいたポーションを拾って使い、急増したHPを全回復させる。
その時にはもう鬼の拳は間近に迫っていた。

「【イージス】!」
煌めく赤いダメージエフェクトを白い光が塗りつぶす。メイプルを光のドームが覆っていく。
十秒間の絶対防御領域。
メイプルへの全ての攻撃は無効化される。

「【クイックチェンジ】【アシッドレイン】!」
少しでもダメージを稼ぐために打ち出せるスキルを限界まで使っていく。
鬼のHPは残り一割にまで減っていたが、短刀から溢れる毒の雫を見るメイプルは焦っていた。

メイプルには【イージス】が終わった後に繰り出せる防御系スキルも、攻撃系スキルもないのだ。
速すぎる鬼の追撃はメイプルに【毒竜】再使用までの時間など与えてくれはしない。

耐えられない、そう思ったメイプルの頭の奥、記憶の片隅から忘れきっていたスキルが浮上してきた。

「そうだ……あった!」
思い出すと同時に【イージス】も切れてしまい、鬼の攻撃が再度迫る。

「【凍てつく大地】!」
延命。値千金の三秒。
忘れていたスキルがメイプルの口から紡がれる。

「……【ブレイク・コア】」
メイプルの心臓部分に穴が開いて赤い輝きを放つ小さな球体が飛び出る。
それはメイプルから二メートル程離れると空中で止まった。

発動完了まで五秒。
より強力になった最後の貫通攻撃を【不屈の守護者】で耐えきると、メイプルは今回の戦いで癖付いていた地面のポーションを使って悔しそうに少し笑った。

直後。メイプルも、鬼も、球体を挟んで重力から解き放たれたように浮き上がって球体の周りをくるくると回り始めた。

「鬼さん……きっと今回は引き分け。でも!五層に行くためにもう一回来るから!」
【機械神】の中にあったスキル。
唯一装備を対価としないスキル。

そう、メイプルが忘れていたこのスキルは本当の意味での自爆スキルだった。

説明に書かれていた、対象範囲内を攻撃不可にし自爆。自他共に大ダメージ。という文、その中でも【自爆】という単語はメイプルにこのスキルを忘れさせるのに十分だったのだ。

「じゃあねっ!」
メイプルはきゅっと目を閉じるとその時を待った。数瞬の後、天を貫く爆炎がメイプルごと鬼を焼き尽くした。





「ああー……もう、何だか悔しいなあ」
倒れ込んで目を閉じたままメイプルは呟いた。
もうこのまま眠ってしまいたいくらいには精神的に疲れており、メイプルは思っていた以上に負けたことに落ち込んでいたのである。

「いいや……今日はログアウトしよ」
メイプルは地面手をつき立ち上がり目を開けた。

「あれ?なんで?」
目の前に広がるのは鬼と戦っていた荒地。
そして足元で倒れているのは先程まで戦っていた鬼だった。

「んんん?んー?なんで?」
確かに自爆したはずだとメイプルは疑問に思ったが、メイプルは自分のHPバーが半分も残っているのを見てもしかしてと思い至る。

「私の防御力のせい……?そうだ……うん!ふふっ!やっぱり防御力が大事だよね!」
メイプルは自分の圧倒的なまでの防御力に助けられたと喜び、ようやく倒れたままの鬼に声をかけた。

「あの……大丈夫ですか?」
しゃがんでつんつんとつつくと鬼は体を起こしてその口を開いた。
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