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痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。 作者:ユーキャン@夕蜜柑
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防御特化と最強2。

視界を照らす業火が止み、メイプルは【身捧ぐ慈愛】を解除して地面へと飛び降りた。

「【攻撃開始】!」
再度メイプルは射撃を開始する。
そうして攻撃を避ける一方となった鬼に向かってまた一歩ずつ迫っていく。

「ふぅっ……!」
剣と盾を構え、メイプルは三度突進する。鬼とメイプルは交差し、メイプルの兵器と防具が砕かれ鬼の体が食いちぎられる。

ただ、鬼が壊せているのはあくまでメイプルを覆う殻でしかない。
しかもそうして壊した防具は再生し、潰した兵器はまた新たに展開されるのだ。

「よし、このまま!」
メイプルはそう言いながら起き上がり、鬼の方を向こうとする。
その目に映ったのはすぐ目の前で赤く光る薙刀を振り下ろす体勢に入っている鬼の姿だった。

「わっ!?」
咄嗟に大盾を突き出したメイプルを急に角度の変わった薙刀が襲う。
横薙ぎに近い薙刀はメイプルを殴るようにして吹き飛ばした。


「うっ…く、【攻撃開始】!」
メイプルは止まった場所で膝をつきながら鬼を近づけさせないよう攻撃する。

その脇腹からは赤いダメージエフェクトが溢れていた。

「うぅ、貫通攻撃……ポーションポーション……」
メイプルはインベントリからポーションを取り出し使用した。
半分を少し割るところまで減っていたHPはポーション一本で回復する。
ある程度性能のいいポーションならメイプルの少ないHPなどすぐに全回復させることが出来る。

「うーん……遠距離攻撃は当たらない感じがするし、どうしようかな」
メイプルの近距離攻撃は意外にも少ない。特に効果を期待できるものと言えば【暴虐】での攻撃か、【悪食】や兵器込みの突撃、もしくは【捕食者】の攻撃くらいである。

「んー……うん!よし!」
メイプルはもう一度先程と同じように突進した。
同じように鬼と交差し、同じように被害を受けあってメイプルは抜けていく。

「ここっ、でっ!」
一際大きい爆発音が響きメイプルが空へと跳ね上がる。
少し遅れて振り抜かれた薙刀は空を切り、メイプルは遥か高くにいるシロップの背中へと飛び乗った。

「ふー……ありがとうシロップ!助かるよー!」
メイプルはシロップを撫でるともう一度地面へと飛び降りる。

メイプルは地面に降りると即座に鬼の行動を縛り上げる。
この行動の繰り返しによってメイプルは攻撃を受けることなく鬼のHPを削ることが出来るようになった。

鬼は元々極度に行動を制限されている。さらにメイプルが他のどのプレイヤーをも上回る速度の立体機動をしてくるのだから現状では鬼に突破方法などない。

メイプルは削る。ただひたすらに鬼のHPを削り取っていく。

結果、完全に制圧した状態で鬼のHPを半分まで減らすことに成功した。

「……っ!」
何度目かの突進の後、空中へと飛んだメイプルはシロップの背中から鬼の変化を見て取った。

「人間……中々やるな!」
そう言い放った鬼を中心に白く輝く光が渦を巻いている。
地面近くには風が吹き荒れ、メイプルにもその暴風の音が聞こえていた。

明らかな変化にメイプルが大盾を構え、シロップの背中から様子を伺う。

「さぁ……行くぞ!」
響く声と同時、鬼は宙を駆けた。
そのまま白い光の尾を引いてメイプルとの距離を詰めてくる。

「噓っ!?」
さらに赤く光る薙刀を見たことでメイプルは危険を察知した。

「シロップ【休眠】っ!」
メイプルの声に応じてシロップの姿が指輪の中へと消えていく。
背に乗っていたメイプルはそのまま重力に従って地面に落ちていく。

「【攻撃開始】!」
自爆し鬼から離れるように地面に降りていく。
鬼は追ってくるものの、地面からは少し浮いたままなのがメイプルには分かった。

「うう……くぅ…っ!そうだ!」
メイプルは鬼から離れるように空を飛んでいく。
方向を変える必要がないメイプルはその状態でインベントリを開いた。

「これっ!」
メイプルは光る何かを雨を降らすようにばら撒いた。

それはインベントリにしまい込んでいたポーションである。

「次は……こっち!」
方向転換して再びばら撒く。
どんな場所にもポーションが落ちているように。
それをどこでも拾うことが出来るようにするために。
二時間だけはそこに残っていてくれる全回復の回復地点。

「いくよっ!」
メイプルは意を決して鬼へと突っ込んでいく。

「やあっ!」
メイプルは体を捻り盾と剣を叩きつけ、代わりに左肩に薙刀を受けて地面方向へと抜けていく。

「いつつ……早めに終わらせないと…!」
久しぶりのダメージ。
メイプルとしては出来ることなら受けたくない痛みは、落ちていたポーションを拾ってすぐに消し去った。
相手に貫通攻撃があるならば、それはそうそう長くやっていたくない戦闘なのだ。

「もう一回っ!」
メイプルが炎を上げて空を舞う。
鬼は光を纏って宙を駆ける。
二つの光は時折交差し、弾けて、赤い光を散らしていく。

メイプルは兵器を砕き割りながら地面を転がり、途中でポーションを拾い上げる。

「もう一回……ぅ?」
メイプルに走る違和感。

「武器が……出ない?」


空を飛ぶたびに使い捨ててきた兵器。
それは有限だ。
注ぎ込んだ素材が切れればもう出すことは出来ない。
度重なる牽制と飛行で全て使い切ったのだ。

「食らえ人間!」
牽制されなくなった鬼が炎弾を撃ちながらメイプルへと接近して薙刀を振りかぶった。

「【暴虐】!」
人の姿を包んでいく化物の皮膚。
ダメージエフェクトを散らしながら薙刀ごとその大きな口に飲み込んでいく。

「いっけぇっ!」
メイプルの牙が鬼の体を砕く。
互いにダメージを受けつつダメージを与える。
HPを残り三割としたところで鬼から衝撃波が発生し、鬼はメイプルから抜け出した。

そのまま距離をとった鬼の周りに白い光が集まっていく。

「まだだ、人間……!」
鬼の姿は大きくなり、真っ白い髪を揺らす大鬼となった。


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