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痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。 作者:ユーキャン
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防御特化とサリー。

「よし、やるぞー!」
メイプルはきっちりと雪だるまと向き合うと銃弾を撃ち込む。
銃弾は次々に雪だるまの胴体を貫いていくが頭の上にあるHPバーはほとんど動かない。
雪だるまは攻撃を全く気にすることなくメイプルに近づくと持っていた袋でメイプルを殴りつけた。

「うぇ!?それで攻撃するの!?」
盾のない側から横殴りの攻撃を受けたメイプルは兵器を砕かれながら横へと飛ばされた。

「魔法しか効かない感じのモンスターなのかな?もうちょっと試して……」
メイプルは大盾を構えると斜め下へ砲口を向けて雪だるまへと自爆飛行した。
メイプルは雪だるまの体を大盾で喰らって抉り取り通り抜けていく。

いつも通りの適当着地で兵器を砕きつつ雪だるまの方を見るとHPバーはやはりほとんど動いていなかった。

「いろんなタイプのモンスターが増えてきたなあ……【毒竜ヒドラ】!」
大して動きの速くない雪だるまが毒竜を避けることが出来る訳もなく、体の中心に当たって毒が弾けた。

「あれ……?へ、減らない?」
毒状態になることもなく、HPバーもほんの僅かに減少しただけである。
このままひたすら削っていけば倒すことが出来るのは間違いないが酷く効率が悪いことは目に見えていた。

「でも逃すのはもったいないし……もったいないしなあ」
メイプルは雪だるまが頭上に降らせてくる氷柱を雨のように浴びながらどうするかを考える。
結果、シロップと共にチクチクとHPを削るということに決まった。

「準備完了!」
メイプルはシロップを【巨大化】させると上空に浮き上がらせて安全圏から【精霊砲】で攻撃させることにした。
メイプル自身はとりあえず【毒竜ヒドラ】を撃ち切ってから銃撃に移る予定である。

「よーし、【毒竜ヒドラ】!」
どばっと噴き出た毒竜は雪だるまを再度蝕み、次の瞬間そのHPをゼロにした。

「へ?……あれ?」
光の粒となって雪だるまは消えていき、その場にぽとりと何かが落ちた。

「んー?んー……あっ!即死か!」
初めて発動したそれはこれ以上なくうまく働いたと言えるだろう。
もし炎属性の攻撃があれば楽に倒せるということをメイプルが知る機会はイベント中には訪れなかった。

メイプルは雪の上に落ちているアイテムの元へと走って近づいていく。
真っ白な雪に映える赤い包装に緑のリボンが巻かれた箱。
メイプルはそれを拾い上げるとアイテム名を確認する。

「プレゼントボックス……クリスマスに開ければいいんだね!」
今はまだ使うことが出来ないもののクリスマスから何日間か使用可能なアイテムで、中には何かが入っているとのことである。

「中身はなにかな?クリスマスっぽい物かな?」
元々の目的も達成しているメイプルは満足して町へと戻っていった。



メイプルとは対照的にサリーはフィールドを駆け回ってはモンスターを倒しポイントを稼いでいた。
狩りが一段落したサリーは武器をしまって少しの間休むことにした。

「ふー……追いつけないなあ」
サリーが呟く。
頭の中でイメージするのは自分が誘った友人の姿。
メイプルが初めてこうして長い間一緒にゲームをしてくれているのは嬉しいことであるが、一人のプレイヤーとしては負けたくないとそう思うわけである。
ただ、イメージの中のメイプルとの戦闘ではどうしても勝てないと思い直すだけであった。

「あそこまで強くなるとは……」
追い越していってしまったメイプルを追いかけていこうとスキルを探したり、情報を集めたりしているものの、どうにもピンとくるものがないままでいた。

「負けてられないな……再開するかー」
サリーは足にぐっと力を入れると再び走り出した。
最大値まで上昇している【剣ノ舞】の力もありほとんど止まることなく低ポイントのモンスターを倒すことが出来ており効率はなかなかのものであった。

「メイプルを見習ってもっと防御力高めておいでよっ!」
走り抜けた場所でダメージエフェクトが舞っていく。
貫通攻撃がないモンスターがメイプルを倒すことが出来ないように、面攻撃が出来ないモンスターはサリーを倒すことが出来ない。

「防御力が高いだけならメイプルも何とかなったのになあ」
考え事をしながらでも動きが単純なモンスターなら相手に出来る、もうプレイヤースキルは上限も上限、これ以上など望めないと言えた。

「どこかにスキルは転がってないものかなー」
そうして二、三時間ほどモンスターを倒して回っていると少し先に大きな雪だるまが歩いているのが見えた。

「お、高ポイント。ラッキーラッキー」
サリーは雪だるまに接近すると腕を避けつつ魔法を発動させた。

「【ファイアボール】!」
弱い魔法でも火属性の魔法であればごっそりとHPが削れる。
メイプルの苦戦が嘘のように、雪だるまは【ファイアボール】数発で溶けるように倒れた。

「うん、ポイントおいしい!」
イベントが終わるまでにドロップアイテムも回収したいと思っているサリーはすぐにまたフィールドを駆け回る。
いつにもまして全力でドロップアイテムを探しているのは、早く何かしら新たな力を手に入れたいという焦りにも似た感覚があったからだった。

最も近い場所にいるからこそ最も負けたくないと、なかなかに負けず嫌いなサリーはそう思うのであった。
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