挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。 作者:夕蜜柑
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

139/202

防御特化と主。

三つのアイテムを手に入れることに成功したカスミはギルドメンバーと分かれて最後の鳥居へと向かった。

「ふぅ……さて、何が出るか」
まだ情報は出ていない。
カスミは最初の一人として建物に足を踏み入れた。

「取り敢えず上まで行ってみるか」
紫の炎に照らされた廊下と階段を上へ上を進んでいく。
これといって入れる部屋はなく、警戒しつつも最上階を目指す。

「よっと……人は、いないな」
階段を上った先にはぴったりと閉じられた襖があった。
何かがあるとすればその先だろう。
カスミは一つ深呼吸をすると襖を開いた。

中は畳が敷かれているくらいで何の変哲もない部屋だった。
その一番奥に真っ白い袴と着物を着た白髪で額に二本の角を生やした妖が一人座っていた。

特徴としては鬼に最も近いが、ほんの少し前に瞬殺した四メートル近い筋骨隆々の鬼とはまた違った見た目である。
カスミはこの建物の入口で見た情報から恐らく彼が主だろうと思い、次の動きに注意を払う。

「おぉ……?まさか人間が来るとはな」
鬼はそう言うと立ち上がりカスミの方へ歩いてくる。
二メートル程だろう身長が威圧感を強めている。

「一応、持ってるか。ならついて来い」
鬼はカスミに背を向けてもといた場所へと戻っていき、地面に魔法陣を描くと消えていった。

「行くか」
気を引き締めて魔法陣に乗ったカスミが辿り着いたのは龍退治を思い出させるような荒野だった。
鬼も少し離れた場所に立っている。
周りを確認しても木の一本、大岩一つ見当たらない。

「あっさり引き継がせてやろうかと思っていたが……人間、気が変わった」

「…………」

「俺を倒せ、出来れば次の主の座はお前にくれてやる」
戦闘になる可能性も考えていたカスミは驚くこともなく刀を抜いて構えた。

「さあ、やろうか人間」
その声がカスミの耳に届いた直後、鬼の右手から白い光が弾ける。
鬼の手に握られていたのは刀だった。

「やるか!」
戦闘モードに入ったカスミが鬼の方へと距離を詰めていく。

鬼はカスミとの距離が離れているにも関わらずその刀を大上段から振り下ろす。
カスミはその刀身がぐんと伸び、悠々と自分の位置まで届いたことを確認して消えていった。
思わず足を止めてしまったことが敗因だった。


町に死に戻ったカスミはまずキーアイテムが減っていないことを確認し、もう一度挑戦できるか少ししてから試そうと考えた。

「ふぅん?かなり攻撃力が高いな……とりあえず出来そうなら試行回数を重ねるか。さっきのは避けられただろうしな」
妖刀を手に入れる際にも結構な回数死んでいるので、あっさりやられたときの切り替えも早かった。



一週間後。カスミはギルドホームの机に突っ伏していた。

「サリー?カスミはどうしたの?」

「最奥のボスキャラがどうやっても倒せないらしいね、一人だけど凄く強いって。まあメイプルがそこに辿り着くのはまだ当分先だと思うけど……どんなボスか話してあげようか?」

「うん!聞きたい!」
元気のいい返事にサリーはボスについて話し始めた。

「ソロ限定で敵は一人、こっちの選択した職……私なら短剣ね。それによって戦闘スタイルが変わる。現状では杖が一番戦いやすいらしいけど……まだ誰も倒せてなくて、どこかに弱体化のフラグがあるんじゃないかとか言われてる」
サリーはいくつかの職は途中までの攻撃パターンが公開されていると締めくくった。

「サリーはまだそこまで行けないんだっけ?」

「うん、まだ入れないね」
サリーの通行許可証では一段階分だけ足りていない。
ただ、もうそう遠くないうちに挑戦権を得られるだろう。

「サリーも戦うの?」

「そうだなぁ……私は勝ち目が薄いだけの勝負はやるけど、勝ち目のない勝負はしないかなー」
それはサリーが自分はボスに勝てないと言っているのと同じだった。

「サリーが勝てないってことはすっごい強いんだね」

「そうだね、まぁいつかは挑戦しようかなって思ってるけど……メイプルと一緒に挑戦出来れば何とか勝てると思うんだけどなあ」
出来ないことを言っても仕方ないとサリーはこれ以上話すことはしなかった。

「だからカスミはあんな感じになっているんだね」
カスミの今の姿は何とか攻略しようとしては倒され続けたプレイヤーの成れの果てである。

「だね。あ、そうだもうすぐイベントがあるけど……前の牛討伐みたいなの」

「うぐ……おとなしく通行許可証上げに専念するね」
現状やることが多いメイプルが手を伸ばしたくなるようなイベントでないことは確かである。
最初から【暴虐】があるため前回よりは楽に出来るだろうが、苦手意識が出来ているのもあった。
メイプルは今回のイベントはある程度スルーして今の目標の達成を優先することに決めた。

「それがいいよ。この町はやること多いしね」

「通行許可証はイベント期間にやるとしてー……また探索してこようかな」
メイプルは羊の角を頭に付けて着物に着替えると町へと出ていった。




「どうしようかな?うーんどこへ行こう……」
メイプルは腕を組みながら適当に町を歩き回る。
何をしようか考えながらふらふらと町を歩き回っていると装備品を売る店が目に入った。

「そういえば……こういう所はほとんど入ってないっけ」
メイプルはユニークシリーズかイズに作ってもらった装備かのどちらかしか使っていなかったため装備品とは縁遠かった。

「お邪魔しまーす……」
メイプルは店の中に入ると市販の装備を見て回る。
見た目が綺麗な防具や奇抜な形の武器など目を惹かれる物はあったが、メイプルの装備を上回るような物は当然なかった。

「お金に余裕はあるし……何か買おうかな?作ってもらう方がいいのかな」
結局何かを買おうとすることなく広めの店内をぐるっと回って店員のいるカウンターの前に来た時、店員の後ろの壁に貼り付けられたポスターに装備を五点以上ご購入の方に特典と大きな文字で書かれていることに気づいた。

「なら買ってみようかな」
メイプルは適当に安い装備品を五点購入すると店員から一つの巻物を受け取った。

「【クイックチェンジ】?」
誰でも使えて、既に情報も広まりつつあるスキルである。
【楓の木】では各個人が忙しなく動き回っていたためまだ浸透していなかった。

【クイックチェンジ】
セットしておいた装備に装備を変更する。もう一度使うことで元の装備に戻る。

「なるほど、なるほど。じゃあ私はもう一つの装備をセット……と!」
細かい所の改善が出来るスキルを身につけてメイプルは店を出て行った。

+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ