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痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。 作者:ユーキャン
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防御特化と饗宴。

大規模ギルドが次々とその姿を現し【炎帝ノ国】を取り囲む。

「……どうせ全滅だ。一人でも多く道連れにするぞ!」
ミィが【炎帝】を発動させつつ覚悟を決める。

「……やるよ、やる」
マルクスも怠そうに立ち上がると頬をペチペチと叩いてやる気を取り戻した。



「さあ……いくぞ!【フレアアクセル】!」
轟音と爆炎が戦闘開始の合図となって【炎帝ノ国】の集団に向けて一斉に魔法が撃ち込まれる。
複数の大規模ギルドからの攻撃である。たったこれだけで終わりかねない。

「【聖女の祈り】!」
ミザリーの魔法によって天から光が降り注ぐ。
全MPを使用し三分間MPが回復出来なくなる代わりに、超広範囲に一定時間高速自動回復の効果を与えるスキルである。
受けたダメージはみるみるうちに回復していき、全弾を受けるようなことがなければ倒れることはないだろう。

勿論MPが回復したとしても連発は出来ない。
それでも切らざるを得なかった。

「お願いします!」
早くも戦力外となったミザリーは頼れる仲間に託すしかない。

「ああ!」
シンとマルクスはミィとは逆方向に向かう。ギルドメンバーも分が悪くなると分かっていてもそれぞれ分散せざるを得なかった。



「【爆炎】!」
迫る魔法を豪快に吹き飛ばし、魔法使いとは思えない動きでミィが一つの集団に迫る。
炎球を顔面に叩きつけ、地面から炎を噴き上げて蹂躙する。
ただ、MPも凄い速度でなくなっていく。全員を倒す為には少なくなってきていた手持ちのポーション全てを使っても足りないだろう。

「それでも……!」
一人でも多く倒せばそれは後の自分達に有益になる。
そもそも逃げられないだろう現状では限界ギリギリまで戦うことしか出来ない。

そんな状況でさらに最も恐れていたものが現れる。
開けた平地、大規模ギルドの後方から巨大な化物が駆けてくる。
戦闘中でなければ額に手を当てて空でも仰いでいただろう。

「これは……駄目か……」
そう思ったミィだったが、そうはならなかった。
化物は大規模ギルドの後方に着くと後衛を食い千切って引き裂いて大規模ギルドを攻撃し始めたのだ。
援軍では決してないが、今この状況においてその行動は確かに助けになった。

「まだやれるか……!」
ミィはもう一度気合いを入れ直して大規模ギルドを攻撃し始めた。





メイプル達の目的は【炎帝ノ国】に群がる大規模ギルドの壊滅。
その際に【炎帝ノ国】の中でもより強いプレイヤーは出来るだけ倒されないようにするということになっている。
つまりミィ、マルクス、ミザリー、シンの四人は生かされる。
四人が大規模ギルドに重大な損害を与えてくれるからだ。

ミィは大規模ギルドを攻撃してくれているメイプルの邪魔をしようとはしない。
また、メイプルもミィには関与しない。
これにより実質の共闘関係が生まれた。

「どんどん次に行って!」

「うん!」
背中の面々は爆弾を放り投げてダメージを与え、メイプルはプレイヤーを轢きながら大規模ギルドを突っ切っていく。

「メイプル!あっちがピンチ!」

「おっけー!」
暗い時は暗い時で不気味だが、明るい場所での今のメイプルはそれはそれで恐ろしい。
大規模ギルドの注意が全てメイプルに向くほどの存在感があった。
結果大規模ギルドは話し合うこともなく本能に従うように一斉にメイプルへと刃を向けた。
【炎帝ノ国】を後回しにしてでも倒さなければならないものがそこにいるのだ。

「おー……すっごい来たよ!」

「だね……っ!?メイプル!守って!」
切羽詰まったサリーの声がメイプルに届く。
メイプルが【身捧ぐ慈愛】を発動させたのと近くにいた大規模ギルドごとその場を光が包み込んだのは同時だった。

「【暴虐】がやられちゃった!」

「でも皆無事だよ!……でも」
サリーが数瞬前に見つけたのは木陰で剣を引き抜いたペインだった。
つまり大規模ギルドの騒ぎを聞きつけ大打撃を与えられそうならとこっそり機をうかがっていたという訳だ。
ちょうどメイプルに注意が集まり多くのプレイヤーが固まり始めた所を狙ったのである。

「メイプル!来るよ!だから……」

「うん!【暴虐】!」
昨日の分の【暴虐】が壊れてもまだ今日の分が残っている。
絶望が再臨する。
さらに。

「「【幻影世界ファントムワールド!】」」
カナデとサリーが叫んだ魔法。
三分間対象の分身を三つ作り出す魔法。
それらはメイプルに吸い込まれていき。


化物姿のメイプルは合計七体になった。


近づいてきていたのはペイン以外にもドラグとフレデリカとドレッドもいた。
メイプルの姿が元に戻った今、攻撃のチャンスだと一歩を踏み出していたのだ。

「見る度におかしくなってるぞ、おい!【地割れ】!」
ドラグが慣れと諦めと共に地面を割る。
どのメイプルが近づいてきても危険なのだから足止めしなくてはならない。


聖剣の光は天を照らし、地面は割れ、炎は噴き出て、化物は駆ける。

植物はつるを伸ばし、魔法は空を覆う。剣が舞い、幻想が人を惑わせる。

破壊は繰り返され、プレイヤーの消えゆく最後の光は戦場を儚くも美しく彩った。
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