挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。 作者:ユーキャン
119/162

防御特化と化物。

メイプルが激しい音を立てて壁に叩きつけられたことでそのメイプルが致命的ダメージを負っているのを見てしまった【楓の木】のメンバーのほとんどに隙が生まれる。
特にユイとマイの表情からは誰の目にも動揺が見て取れた。
クロムとカスミも心中穏やかではいられなかった。

「【パワーアックス】!」

「ぐっ……!」
クロムの隙をついてのドラグの攻撃がクロムの胴を薙ぎ払う。
フレデリカが後方から掛け続けている多様な補助魔法がただでさえ高いドラグの攻撃力を底上げしており、まともに受けてしまっては耐えられるものではない。
【不屈の守護者】が発動し、クロムのHPを一だけ残してくれるため即死は免れたがそれでも厳しい状況だ。

メイプルの方に向かいたいところではあったがドラグがそうさせてくれそうにない。
ならばとクロムはメイプルの方に向かわせないことに意識を向ける。
クロムを攻撃するドラグはぐんぐんと回復するHPに目を見開いた。
ただ、降り注ぐ魔法からユイとマイを守るために動きが制限されている中での戦いはそう長く続けられそうになかった。




そうしているうちにペインがメイプルに再度迫る。
ペインとしてはメイプルが【不屈の守護者】を持っていない可能性もあると考えていたがそんなことはなかった。

「俺以外にもメイプルを……」
呟きながらペインが駆ける。
ドラグから引き継いだ【バーサーク】が大技の後の硬直を消し飛ばしたため、スムーズに次の動作に移ることが出来たのである。

「【黒煙】!」
メイプルの元へはそう簡単に辿り着かせないとカナデが放った魔法がペインの視界を奪う。
そこに投げつけられたイズの爆弾が轟音とともに炎を上げる。

「【退魔ノ聖剣】」
ペインが剣を一振りすると場を覆っていた黒煙は消え去り目の前にイズとカナデを捉えることが出来た。

ペインはいとも簡単に後衛の二人を切り捨てて遂にメイプルまで数歩のところにまで来た。

ペインはメイプルの装備が再生していることに驚きつつも貫通スキルを使って最後の一撃を決めにいった。

集中状態にあったペインにとってそこからの光景は酷くゆっくりと見えた。
壁にもたれかかるメイプルの未だ突き出されたままの左手、その手に持った大盾が手から離れて前方へと倒れていく。


そして、大盾に隠されていた左手が大きな砲口になっているのを確かに見た。
カナデとイズが爆音と煙幕でメイプルの動作を隠したことが発覚を遅らせた。

「ここでかっ……!」
ペインはスキル発動中なため回避動作が取れない。剣を振り抜くしかない。

「【カウンター】!」
それはメイプルが第三回イベントで唯一手に入れた真っ当なスキル。
ダメージを受けた際、その攻撃の威力を次の自分の攻撃に乗せるスキル。

ペインの攻撃よりも早く砲口から放たれた一条のレーザーがペインの体を焼き尽くす。
自身の最大威力攻撃が跳ね返ってくる。


「ぐっ……まだだ……!」
ペインもまたHPをたった1だけ残してメイプルに再度肉薄せんとする。

「【破砕ノ聖剣】!」

「【暴虐】!」
黒い靄が形を成して現れたのは一瞬前までメイプルだったもの。
逆転した手数とリーチにペインが目を見開いて迫る化物の数本の腕を見る。

「おいおい正気か……!?」
一本目を切り捨てて二本目を盾で受け止めた。
二本の腕を止めきった。

ただ、相手は人間ではなかった。

さらにその後に伸びてきた醜悪な口がペインの上半身を食い千切ったのである。

しかもそれだけでは飽き足らず、残った手足を動かしてドレッドとドラグに迫っていく。

「マジかよ!?おい!?」

「あー?……まだ変形……?」
困惑と絶望を貼り付ける二人に向かって口から炎が吐き出され、怯んだところでドレッドは腕で掴まれドラグはそのまま捕食された。

「いっそ安らかな気持ちだ……」
ドレッドは静かに目を閉じて諦観と共に捕食された。




それを目の当たりにした後衛は当然逃げようと考える。

「私も逃げますけどー!?【多重加速】!!」
フレデリカが全員を加速させたところで元メイプルが跳躍し頭上を通り過ぎて壁に張り付いた。
その頭部は出口の前にあり、涎を垂れ流している。
出て行くにはこれを倒さなければならない。
と、そんなことを考えている内にスキル名が背後で叫ばれる。

「「【飛撃】」」

「っ!【多重障壁】!」
咄嗟に展開した魔法。
しかしフレデリカはそれを後悔した。
ユイとマイ相手に防ぐタイプの防御は意味を成さないからだ。
当然のように弾け飛んだ全ての障壁とフレデリカは光となって消えていった。

勝敗を分けたのはメイプルの【暴虐】を知っているかどうかだった。
【暴虐】がなければペインの最後の一撃は間違いなくメイプルのHPを刈り取っていただろう。
そうなれば押され気味だった前線の崩壊が先だった可能性は高かった。
もっともそうなった場合はサリーが限界まで粘ることだろうが、それでも【集う聖剣】が有利だっただろう。





残りのプレイヤーもメイプルが引き裂き食い千切りして倒すとイズとカナデの復活を待ち、オーブをサリーが回収した。

「さぁ、メイプル。第二段階だよ」

「うん!だね!」




時間は一時を少し過ぎたところ、丑三つ時に近づいていく時間帯。

闇夜に紛れて化物が一匹。
その背に七人の化物を乗せてギルドを襲うようになった。

少し修正。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ