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痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。 作者:ユーキャン@夕蜜柑
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防御特化と来訪者。

二日目も残すところ十分となりメイプル達が今日の深夜防衛の順番を決めようとした時、この日最後の来訪者がやってきた。

メイプル達は話を止めてそれぞれの武器を構える。
現れたのは万が一にも油断出来る相手ではなかった。
入ってきたのは十五人のプレイヤー。
しかしそれだけではなく、そこにはペイン、ドレッド、フレデリカ、ドラグの姿があった。

彼らが【楓の木】を攻撃しなければならない理由は本来ない。
強いて言うならばランキングを脅かす可能性があるギルドを倒しに来たということだが、それをしなくとも【集う聖剣】と【楓の木】のポイントの差は開いている。

ペインを筆頭にして四人が全員ここに来た理由、それは【楓の木】と戦って勝利したいという単純な欲求に他ならない。
彼らは同等、またそれ以上の可能性もあるギルドとの戦闘をどこかで望んでいた。
そのため全員がいることを確認した上での襲撃である。
ただ、無意味に近い攻撃を行うことをギルドメンバーに納得させるために、メイプルが最も弱っているであろう時間帯を選ばなければならなかったのは彼らにとって不本意ではあったが仕方なかった。

それ故に一日の終わりのこの時間にやってきたのである。

メイプルが天使の羽を天に伸ばし化物を召喚したのをきっかけに戦闘が始まった。

「【多重加速】!」
フレデリカの魔法が【集う聖剣】の移動速度を上げる。
ドレッドとペイン、続いてドラグが前に出る。

「「【飛撃】!」」

「二度目はねーよ」
ユイとマイの攻撃はドレッドには当たらなかった。
ドレッドに正面から戦っていては相性が悪いことこの上ない。

ドレッドは死と引き換えにユイとマイの異常性を身をもって体験し、それをギルドに持ち帰った。
つまりユイとマイの最大の武器とも言える未知がなくなってしまったのである。
盾で受けるような愚か者はいないのだ。

そして最前線にいたユイとマイにドラグからの攻撃が入る。

「【土波】!」
斧を叩きつけた地面が波打ちバキバキと裂けて弾けユイとマイにぶつかる。
メイプルのお陰でダメージは無かったもののドラグの特性である【ノックバック付与】は別である。
メイプルが後退し最前線のユイとマイが【身捧ぐ慈愛】の範囲から抜ける。
それは偶然に起こったことではなかった。それを裏付けるようにドラグとドレッドがユイとマイに突撃する。

メイプル達はこの二日目で派手に暴れた。特に【炎帝ノ国】との戦いはメイプルとユイとマイの異常性が大いに発揮された戦いだったと言える。

【集う聖剣】の偵察部隊が静かにその様子を見ていたことにメイプルは気づかなかった。
故に【集う聖剣】は知っている。
【身捧ぐ慈愛】の弱点を。
メイプルの武装展開を。
メイプルの大盾に回数制限が追加されていることを。
その上で計画を立てて本気でメイプルの首を取りに来たのだ。

「【カバームーブ】!」

「やらせるか!」

「【魔力障壁】!」
カスミがドレッドをクロムがドラグを止め、カナデが魔法で守りを固める。
メイプルが崩れてもクロムやカスミもトップレベルのプレイヤーだ。
攻撃をいなすことには慣れている。

「メイプル!解除した方がいい!」

「う、うん!分かった!」
サリーの声を聞いてメイプルが【身捧ぐ慈愛】を解除する。
対策を立てられていることが分かった以上、貫通攻撃が次々に飛んできてもおかしくない。
そして実際、後方からのフレデリカの魔法には防御力貫通能力のある魔法がほとんどだ。
メイプルにも直接向かうその魔法は流石に大盾に受け止められるが動きにくくなるため厄介だ。

ドラグとドレッドに四人が引き付けられたその一瞬にペインがさらに先へと進む。真っ直ぐにメイプルを見据え、盾と剣を持って駆ける。

「行かせない」
サリーが二人の間に立ち塞がり、次のどんな行動も見逃すまいと集中する。

「ドレッド!」
ペインが叫ぶ。それによって反応したのはドレッドとドラグとフレデリカだ。

「【神速】!」

「【バーサーク】!」
それぞれのスキルによってドレッドの姿が消え、ドラグのスキル後の硬直がなくなった。
二人が強力な切り札を使ったところでフレデリカの声が響く。

「【多重全転移】!」
フレデリカの切り札の魔法がドレッドとドラグにかかっていた全ての効果をペインに移す。
ペインの姿は消え、その速度は跳ね上がった。

「【超加速】」
さらに加速したペインがサリーを振り切る。
サリーにはペインの位置を掴むことは出来ても追いつくことが出来なかった。
それはレベルの差。
サリーとペインには二倍以上のレベル差があり、元々のステータスがサリーよりも高い。
戦闘となれば反応し躱すことで互角以上に戦えるかもしれないが、相手にされなければ意味がない。

「ど、どこ!?」
ペインを探しつつ大盾を構えるメイプルは大盾のない側を警戒していた。
その背丈よりも大きい大盾はその身を守ってくれるだろうと。
それ故に大盾の向こうから声が聞こえたのは予想外だった。

「【断罪ノ聖剣】!」
姿を現したペインの光り輝く剣が一瞬の溜めの後に振り抜かれる。
四人分の切り札を一点に集め、その首を取らんとする。

「うっ……ぁ……」
数える程しか味わったことのない感覚にメイプルの思考が一瞬停止する。


ペインの剣は迫る化物とメイプルの大盾を真っ二つに切り裂いて、鎧すら破壊してメイプルの体を深々と抉り、メイプルを壁まで弾き飛ばし、メイプルのHPを1にするまでに至ったのだ。


次回決着します。
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