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痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。 作者:ユーキャン
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防御特化と牢獄。

メイプルは一人シロップに乗って空を飛んでいた。

「追手が全然来ないなぁ、サリーは追手が大変だったみたいだけど」
サリーが盗んでいっただけなのに対してメイプルは正面から叩き潰してオーブを奪った。
流石にそんなメイプルを追いかけるような馬鹿はいなかったのだ。

そう、たとえ六つのギルドを潰していてもだ。

「サリーの予定より早くオーブが集まってるから、余裕あるね!」
メイプルがシロップの甲羅の上で寝転んでいると、下から剣のぶつかり合う音が聞こえてきた。
メイプルがシロップの端まで向かい下を見るといくつかのギルドがオーブを奪い合って戦っていた。
強者と出会ってオーブを失ったギルドがわらわらと集まっている訳である。

「戦ってるのかな……あっ!あのオーブ、私が次に取る予定のオーブだ!」
魔法飛び交い剣が弾ける戦場にオーブがあることを知ったならば、放っておいて次に向かうだろう。

サリーならばそうしたはずだ。

ただ、メイプルは一切の躊躇なくその中心に飛び降りた。

天から降り落ちた厄災が戦場の中心で化物と共に立ち上がる。

「そのオーブ、私のだから!」
そんなことは断じてない。
ただ、その言葉が現実となる可能性は非常に高い。

「【毒竜ヒドラ】!」
真下に放たれた毒の奔流は地面で跳ね返り、降り注ぐ。
メイプルを中心にして、まるで噴水のように弾ける強力な毒は運悪く近くにいたプレイヤーから順に飲み込んでいく。
そして、毒の地面はメイプルの周りにプレイヤーを近づけさせないという効果もあった。

読み切れない行動で相手の思考を一瞬止めることはメイプルの強みだろう。
誰がメイプルが降ってくることを考えながら戦闘をしているというのか。

だが、メイプルが台座の方を見るとオーブは既にそこにはなかった。
切り替えの早かった者がチャンスとばかりにオーブを手にしたのだ。
しかしそれが誰なのかはメイプルには分からない。

「あれ?……どうしよう……っ、そうだ!シロップ【大自然】!」
メイプルが今現在いるのは木が適度に生えた平地である。
そこそこの範囲をつるで急いで隔離したメイプルは周りを見回す。

オーブを手に入れたプレイヤーがまだそこまで遠くには逃げていないだろうと予想したメイプルは、蔓の牢獄を作り出して多くのプレイヤーを捕らえた。

「サリーのメモは……【上手く取れない時は全滅させよう】か。了解!」
誰がオーブを持っているか分からないのならば全員を倒せばよいのだ。
簡単に出来ることではないが、全力を出したメイプルならば容易い。

ただ、今のメイプルはまだ枷をつけられており、全力で戦えない。
そのため、地面を毒に沈めながら歩いてプレイヤーの動ける範囲をなくし、一網打尽にするしかなかった。

しかし、先程まで争っていたプレイヤー達が急に団結して生存に向けて動き出したため、足の遅いメイプルにはたったの一人も捕まえられない。

「うー……無理だこれ!シロップ!」
メイプルはシロップに命じて自分を蔓の中に閉じ込めてもらった。
すぐに蔓で出来た球体が、牢獄の上空に吊り下げられた。

「【砲身展開】」
メイプルの体から伸びる兵器、サリーを助けた時と同じような攻撃。
ただ、今回はあの時よりもしつこく念入りに。

「【攻撃開始】」
地上に向かって次々に落ちてくるレーザーを毒の地面を避けながら限られた範囲で躱し続けることが出来るプレイヤーはここにはいなかった。

一人、また一人と足元か頭上かどちらかの危険に飲み込まれる。
失敗したはずの毒の海が今になって絶大な効力を発揮していた。

「そろそろ……降りようかな」
メイプルが地面に落ちて生き残ったプレイヤーを探していると、毒に浸かったオーブを見つけた。

「あっ!倒せてた。よかったー……」
メイプルはオーブを拾い上げると牢獄を解除し、シロップに乗って空へと戻っていった。

「【毒竜ヒドラ】はそろそろ控えた方が良さそうかな……でもまだ機械の姿は見せられないし、今みたいにやるとしても……んー」
まだ二日目も昼前である。
サリーとはまた違った理由で、メイプルも一日中外で侵略に明け暮れるわけにはいかなかった。

「あと一つか……二つかな?うん、そうしよう」
狙うオーブを決めて、それが終わればメイプルは一度帰ることにした。



【楓の木】の拠点を防衛している面々は何一つすることがなかった。
現在は自軍のオーブしかないため、取り返しに来る者はいない。
また、一日目の時点で襲いに来るプレイヤーは極めて稀な状態になっていた。

サリーはまだ起きてこないままであり、イズはカスミの刀を作っている。
カスミは刀が気になるのか、そわそわうろうろとイズの周りを歩き回っていた。

【楓の木】を襲うならば今がチャンスなのだが、一日目のインパクトが強過ぎたためか既に偵察すらやってこなくなっていたのである。

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