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<木崎先生猛注意・暴力やそれ以上に嫌いがある方は避けるように!?>
6−3





  門倉学園高校の場合(参)






 十七重塔の北にも、黒塗りの男たちの群れは迫っていた。
刀を落とさないように、握り直した。
唾を飲み込みすぎて、胃がムカムカしてきた。


 そうして、確認のためにと見た、唯一の逃げ場である二つ岩の入り口は、
誰かがいそいそと封をしていた。もう誰も逃がすまいとしていた。

 鍾乳石のぶら下がる洞のひと時は、まるで安らかな夢のようだ。
北では、肉屋の仁さんが作ってくれた豚汁は最高だった。
疲れた身体に染み渡るようだった。




 それなのに――




 と、吉柳は激しく逆上して、「まだ閉めるな!」と、
二つ岩へと逃げ戻るように走った。吉柳だけじゃない、あと数人は戻ったのだろう。
あまりにも不潔になりすぎたと、全身にじん麻疹をつくった御手洗のように、
鍾乳石の洞にいた時点で、「僕はもうリタイヤする」と
はっきり負け犬宣言した方がマシだった。
異様に滑る地面も、この場にいることもなにもかもが苦でしかなかった。
戦いを手放してすべてを放棄したかった。
 



ところが、もう一方では、逃げる吉柳たちを傍に、
膝が少し震わしても、まっすぐ走り出していた。
黒塗りの男たちの群れに、戦意を失わない門倉学園生は目をカッと見開いていた。
八王子は真剣を選び。並木は刀を逆手し、東は刀ではなくフェンシング用の剣「エペ」から弓型にまがったサーベルに持ち替え。丸池は無闇に刀を二つ持って振り回していた。
黒く唇まで塗りつぶされた男は刀を左上から右下へと刀を振るった。
それを払うように己の刀を向けた。
――刃が固く、きらびやかに交わった。





















 真正直に真っ向から斬りかかったが、黒い男にひょいと刀をかわされた。
風を斬るように頬を斜めに斬られ、流れた痛みに喚く間もなく腹を蹴られ。
吹き飛んだ拍子に刀をつい落とした。
 しかし、仲間の三成が偽刀で突いて男は腹を抱えて倒れた。
生徒は三成に礼を言って、さっそく刀を手に走る。
三成は東と同じフェンシング部だった。刀を持つのは初めてだったが、
柄の手触りは悪くなかった。


 三成は封をされた二つ岩で叫んでいた吉柳たちを見て、



「おい、逃げるなら後ろを見て逃げろ!」




 怒鳴った。
逃げようとするあまりに、油断している吉柳たちの後ろに
黒塗りの男たちが忍び足で近づいていた。
三成の声に振り返った吉柳は声にならない悲鳴をあげた。





「よぉ、北のお坊ちゃんたち。
そこから逃げようとしているのか?
他の奴らは戦っているのに?

こりゃ面白いことをやるもんだな。
そうだ、”逃げれば勝ち”ちゅう言葉があるんだから、
逃げたいなら逃げればいい。昔から皆やっている。

 ――けどよ、残念だがそこはもう二度と開きやしないんだ。
戦場に出口があれば、皆逃げちまうだろう。
それじゃあ、戦いにはならねぇ。ゲームにならない。許してもらえねぇんだ。
戦いたくないなら、それでもいい。
こっちには好都合。大人しく、泣き叫んで寝てくれよ。俺たちのために」






 吉柳は目を瞑ったまま刀を振り回した。
テニスラケットを八の字に回すように振っていた。
だが、男はひといきに刀をすり抜け、吉柳の手首を引っ掴み。
次に首を掴んで持ち上げた。吉柳の刀は手から離れた。必死に男の手を引掻いたが、
そうすると男の手の力が強くなった。
 すっかり喉を締め付けられ、息ができず。
目に映るのは白く濁る男の顔。片手を伸ばし、べっとり黒い物が手についた。
顔がまったく見えなくなってきた。純白の白に溺れている。
吉柳の五本の指が男の顔を滑り落ち。
泡が口から漏れた。













――また来週!!
あぁ、作者は眠い。
「眠りの秋」いざ来たれり



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