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1ー1  明雲高校剣道部主将 藤尾行輝失踪!?

 





ピーンポーン パポッ



 拍子抜けするような鉄琴の音が頭上から聞こえたかと思うと、教室にいる生徒も廊下を歩く先生方もハッと肩を上げ、一斉に耳を塞ぎ立ち止まる。
「あぁー、あぁー。本日は閉店なり。って、聞こえてんのかな?まぁ、いいや。」

「フジオ!!フジオユキテル!!今すぐ俺ん所に来い!!」

 学校の私物の私有化も甚だしく、耳が張り裂けそうになるぐらいの怒鳴り声が、スピーカーを通して学校中に響き渡った。耳を塞ぎ忘れた生徒は、耳を押さえながら床に転がる。そして、大きな音がガタガタとスピーカーから漏れるや否や、二度目の被害を予期した生徒達は全員、スピーカーから遠ざかる。
しかし、それっきりスピーカーから何も聞こえてこない。生徒数名は「終わったのか?」と顔を見合し、半信半疑で耳から手を離す。
「いけねぇ、いけねぇ。消すの・・」

 突然戻ってきた声に、生徒達はビクリと身を震わせ、机の下にちぢこまる。「今度こそまた来る!!」・・・のかと思いきや、聞こえてきたのは乱暴なスイッチの切れる音だけ。生徒達はそれを恐る恐る確認すると、安堵のため息をあちこちで漏らした。
「あぁ、ようやく閣下の一日の行事終わったよ。今日はやけに早かったよな?」
 男子生徒が首を捻りながら椅子を引いて、隣に座る友人に話しかけた。
「だよな?一時間目の休み時間なんて、俺らでも予想できなかったって。藤尾さんも朝っぱらから、大変だよな。」
 遠目にそう言う友人をよそに、男子生徒は机の中から教科書を引っ張り出しながら笑う。
「あの人、もうすぐ怒鳴りながら廊下を走ってくるぜ。今日は竹刀持ってんのかなぁ?」
ノートを丸めて竹刀に見立て、振り回す仕草をする。友人は笑いながら、それを手で掴んだ。
「いいや、持ってないだろぉ。さすがに、藤尾さんだって普通に授業受けているだろうし。」
「分からないぜ?実は教室に置いているのかも知れない。・・・大体、男子校であんな迷惑行為、毎日できる閣下も閣下だけど。毎回閣下が黙って怒られるのって木崎か、あの人ぐらいだろ?俺はやっぱりあの人は只者じゃないと思う。最強の武士の家系とかさ。」

 友人からノートを奪い返すと、男子生徒は身を乗り出して声を潜めた。友人は「関係ないだろぉ。」と、ゲラゲラと笑いながら顔を背けた。
「・・・にしても、今日はやけに遅くないか?もうすぐチャイム鳴るっていうのに、まだ来ないし。」
 廊下に目線を移せば、普通の生徒や先生が通り過ぎていくだけ。どこにも『藤尾』らしき生徒は見当たらない。他の生徒達も同じような事を思ったのだろう、それぞれに廊下の方を不思議そうに振り向いている。




<第一話開始>
次回、「いつもと違うと、なんか調子狂うよなぁ・・?」by明雲高 生徒一同 どんな学校だよっ!?


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