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3−1 門倉学園高校ジャーナル部 玖珂ノエル必見!?



赤い段幕がゆっくりと下り、明かりがワントーン暗くなり始めたというのに、
オペラホールは未だ拍手と歓声で賑わっていた。



――先日、イタリアから来日した某劇団の最高の公演が終ったところなのだ。
当然のことといえば、当然だろう。拍手の渦が絶賛と感動の意を含ませ、
ホール中に響き渡る。




――と、そんな中、瞬く間に舞台の上にさっそうと現れた、
黒のスーツといういかにも制服らしくないスーツを着た、
肩まで伸びた焦げ茶色のサラサラの髪をなびかせ、美しい顔をにっこりと微笑ませている
――生徒は、マイクを手に優雅に腰を折り、お辞儀した。




「皆様、最後までお楽しみいただけたでしょうか。僕はとても楽しめました。
こんなにすばらしいオペラを見ることができて、本当に僕たちは幸せです。
――門倉学園をご卒業される先輩方、一生の思い出になったことでしょう。
今日という日を、いつまでも忘れなくでください。

――それでは、
今一度、ニンファーアの皆さんに盛大な拍手を!」

と、その生徒は自らも舞台を向きながら拍手した。



「グラッツィエ、グラッツィエ ペル イル ドゥランマ メラヴィッリオーゾ!





さぁ、彼らに賛美の拍手を!!」


















「――うん、いい公演だった。君もそうは思わないかい?」

 花柄の、フェミニンな小ぶりのカップにアールグレーを注ぎ入れ、
贅沢な絞りたてのミルクを加えて金のスプーンでかき混ぜる。
これは彼は大好きな紅茶の飲み方だ。


 彼はさきほどの講演で、フィガロが歌っていたアリアをフィガロ同様、
滑らかなイタリア語で口ずさむ。

「――えぇ、もちろんよかったですとも。
あなたが生徒会の仕事まできちんとしてくれるなら、なお更いいのだけど」

と、嫌味な返事を返したのは副会長の篠宮京佳。旧家の令嬢だ。
彼、即ち、――東はそんな彼女の方を見て、

「仕事はするさ。けどね、今は余韻を味わいたいのさ。
卒業式の講演は一年の内で最も素晴らしい!そして、フィガロの結婚も素晴らしい!

・・・どうせなら、校庭にあるパラ園のカフェテラスで、お茶会をしたんだけどね。
――ところで、君もどうだい?」
 


カップを持ち上げて、そう言った。それに、篠宮は
少し不満気味な顔をするが、「いただくわ」と、素直に頷く。
いくら言い合っても、仕方ないと思ったのだろう。

東はにっこり頷いて、紳士的に振舞いながら、
篠宮の机にカップを置き、ゆっくりと丁寧に紅茶を注ぎいれた。

「どうぞ、マドモワゼル」

篠宮は「ありがとう」と微かに微笑む。――ふんわりとした、優しい微笑み。
彼女のガラスのような黒い瞳に、東自身がはっきりと写り込むほど、目が澄みきっている。日本中探しても、こんな和風美人とは、めったに出会えないだろう。
性格は少々、真面目すぎる所もあるが、彼女ほど出来た女性はいない。

東は、さらりとその白い頬に落ちた髪を、掬おうと手を延ばした――






「――っ!ちょっと、アールグレーにはミルクは入れないでって
 いつも言っているじゃない!」





急にヒステリーな声をあげた篠宮。
東は伸ばした手を何気ない仕草で元に戻し、サラリと自らの髪を撫でた。

「あぁ、ごめん。君の綺麗さに見とれていたら、――つい、ミルクまで入れてしまったよ」
半ば東の言っていることは、嘘ではないのに、篠宮はまるで嘘だと信じて疑わない。
彼女は、東の気持ちなどまるで気づかないのだ。――この人に何を言っても無駄ね。
と、カップを置いて、篠宮は目の端に映るものに顔を向けた。



「まぁ、いいわ。――それよりも、玖珂さん。
あなたたち、さっきからそこで何をしているの?」


東と篠宮が座る大きな机たちが並ぶその前、客用のソファには先ほどから
ずっと沈黙を保ち続けている先客がいて、篠宮はその二人に声をかけたのだ。

そこに座る一人が、「取材です!」と意気揚々に答えた。




――シャッター音一つしないと思えば、
デジタルカメラの赤いランプが光っている。彼らはビデオを撮っているのだ。

 篠宮はひじを机につき、隠すように顔を手で覆った。











次回、
篠宮「フィリップ、紅茶を飲んだら仕事よ!仕事!」
東「もちろんだよ、京佳。クッキーもどうだい?」



周防「げ、あいつ・・・うざ!!」
杏里「将来、尻にひかれそうね」
周防「あ?アズマなんか、
×××にでも轢かれとけ!」
鳴滝「お前もな」
周防「なんだって?え”?ナルオカぁ」
杏里「ちょっと、二人とも!!」

第三章開始!!さぁ、門倉学園はどうなっている!?


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