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問答
作:士功征宗



17・ダンテ


 
「かつて此処に自らをダンテと名乗る男がきた。そいつは、辿り着くなり、我にこう言った…」
少しばかりの間が空いた。
「お前は神かと…」
そしてドモンが聞く。
「あなたは何と?」

「我は答えられなかった…」

「何故です…」
そしてまた間が空いた。
「我、自身も何者なのか、わからんからだ。それと奴の冷たい目は、忘れんだろ」
空かさずドモンが聞いた。
「彼は何者だったのです」

「今回は此処に、5百年いたが、我にもわからん。初めての奴だが…奴もまだ生きていると感じる…」
ドモンは思った。
「人間ではなかったのか?」
獣が言う。
「人の形に見せている、大いなる存在だ…だが、彼もまた、神や悪魔ではない……」
また、静かな沈黙が続いた。
一時の時間が流れはじめた時、獣が動きだした。
その体は予想以上に大きなモノだった。それを見たドモンは、少し後退りする。
「さぁ会話は終わりを告げた。審判の時だ。貴様を噛み殺す」
その言葉にドモンは怯えた。
此処にきて、最大の恐怖を感じたが、体が疲労と脱力で動かなかった。
そして、有無もなく飛び掛かってきた。
ドモンは腕で振り払おうとしたが、痛みを感じなかった。
それより、のしかかってきた感触すらなかったのに気付いた。
目を開き、全身を確かめる……その時、後ろから声がした。獣の声だった。
「貴様に恐怖が芽生えた。人は恐れを無くしてはならん。立ち向かう勇気だけでは何もならん。
その恐怖が人を考えさせ、お前が言う生きた証を確かめる。
人は、生かされている、ことを忘れるな」


言葉は出なかった。
涙がとめどなく溢れてきた。

「さて、虚無が広がりを見せた。我はまた姿をかえ、新たな場所へ向かう。ダンテ同様、貴様とはまた会話がしたいぞ!我は目が見えんが解るぞ。ダンテとは違う、その暖かい目が貴様には合っている。我はアモン。我も何かを探すものぞ」


そして消えていった。その場には、さらに静けさが残る。












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