12・獣の言葉
立ち尽くす場所は、特別空気が重いわけではなく、只そこに存在していた者だった。
それは静かに始まった……
闇のトンネルから、顔を覗かせる。
それは、まるで熊と狼を掛け合わせたような姿をそこに聳え立たせた。
「お前は神か…」
ドモンは驚いた。
まさか目の前のケダモノが喋るとは思いもよらなかったからだ。
「か、神ではありません」
ドモンは戸惑いながらも、その問いに答えた。
「そうか…まさか我が喋ると思わなかったか」
何も答える事は出来なかった。
「我の骨格と筋肉は喋る為に適してはおらん。だがお前の脳に直接問い掛けることは出来る」
その違和感にドモンは納得した。
それにこの空間のせいなのかは解らないが、現実世界でこんなものに出くわした場合に比べれば、差ほどの驚きようは失せていた。
「貴様は此処へ何を成しにきた…」
生唾が喉を貫いていく。
「わ、私は此処の先にある、そのものに聞きたいことがあって来たもの」
「ならば引き返せ」
その言葉を聞くとドモンは多少のムカつきを覚えた。
此処まで辿り着いた事を思えば、何故そう簡単に引き返せと言われなくてはならないのか、納得がいかなかった。
「何故です?」
「貴様の来る場ではないからだ!はっきりしている」
さらに突っ込んだ。
「な、何がはっきりしているのかわかりません。あなたに邪魔される覚えはありません!」
「ほう。ほざくな小僧」
獣は薄ら笑みを浮かべて喋ったかのように問い掛けてきた。
「ならば聞くが、何を聞きたいことがあって、そのものに姿を曝すのだ」
「そ、それは…」
問い掛けられた質問にドモンは勢いを失ってしまった。
「よかろう。それは聞くまい…だからと言って引き返すつもりもなさそうだな」
しばらくの間、空間に飲まれていると、獣が語りだした……
「ならば我が此処でまず、貴様を試そう!くだらない事が解れば、有無も言わさず貴様を噛み殺す」
ドモンはためらいもなく、それに従った。 |