11・存在
ある種、それらの幻覚、錯覚は違った意味で研ぎ澄まされていき、ドモンは第六感的なものの見方になっていたのだろう。
「これらは幻覚ではない!特殊な能力を得たかもしれない。現実とも言えないが、確かに私はこれらに接している…」
ドモンは喜びにあふれ、自分が置かれている立場を忘れてしまっていた。
ドモンは自分が知りたいことを早く『そのもの』に会い、聞きたくなり行き先を急いだ。
『私はこの世の光景では決してあり得ないものと出会い、先を急ぐことにした。
私自身、何かに取付かれしまったのか?それともあの世に来てしまったのか?つまり、私は死んでしまったのか?それすら既に解らない…』 ドモンは日記に書かれていた事を常に自分に照らし合わせ、自分と感情をダブらせていた。
一一しばらく進とまた同じ光景が見えた。
「さっきいたモノとまったく同じだ」
だが今度はそれに立ち止まる事はせず、先を急ぐ。
だが何度もその光景に出くわす。
また先を進んでいるのか解らなくなってきていた。
ところが、軟体目か解らないが、違う姿があらわれた。
見た目の姿は変わらないが、目が開いており、今度は立ち姿。
さらに手のひらで耳を塞ぐような姿だった。
今までとは違う姿に足を止め、その場に立ったまま眺めていた。
だが、その瞬間! それは、物凄い速さで動き、ドモンの前に立ちふさがる。
まさか動かぬものと決め付けていたせいか、背筋に違和感を感じざるえなかった。
圧倒されて、立ち尽くすまま、生唾が喉を絶え間なく流れる。
それの目は上を向いていたが、ゆっくりと目玉が動き、ドモンを覗く。
言葉はない。
ただ見ている。
そして、目玉はゼンマイ仕掛けの玩具のような動きで、また上を向き、同じ速さで元の位置に戻る。
寸分の狂いもない立ち位置に戻る。
やはり自分に対して害がないことに、安堵の態度。
「何か言いたかったのか?」
そしてまた歩いた。
だが、まもなく歩くと、今までにない感覚に取り押さえられた。
それは、不気味に立ちふさがっている……
「な、何者かが…」
「いる…」 |