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奇跡未来堂へようこそ
作:七英雄



序章 奇跡未来堂!ただ今参上! その6


 沈黙が流れる。
「なかなか壮絶な映像だったな」
 キセキが口を開いた。
「ほんとに犯人映ってないねー」
 ハルが驚きながら感心した。
「警察の判断はどうなんですか?」
 モーがミソに聞いた。
 ミソは言いにくそうな表情になった。
「まあ、本物のテープってこと…かな」
「色々疑問が浮かび上がったな」
「じゃあさ、発表しよー!おー!」
 ハルが右手を高々に挙げた。
「指紋はどうなんだ?」
「目撃者は…いないのね」
「なら、容疑者もいないってことか?」
「被害者が襲われている時の、画面なんですが、被害者自身映ってないですよね」
「早見さんは何かから逃げているようだったな」
「白黒見にくーい!」
「この子、可愛いわね」
「ああ、俺も思った。男いるのかな」
「ちょっと、話が違いますよ」
「そうだ、真面目に考えろ」
「考えてるさ、男の線もあるからな」
「いるかもしれんぞ」
「え?なんでなんで?」
「指輪をしていたからな、しかも左手に」
「ちょっとぉ、最近はファッションでしてる人もいるのよ、それだけでいるなんて」
「そうだ、それだけで決めつけるな」
「お前…状況わかってるのか?」
「キセちゃん、死人に妬いてる〜」
「ふ、不謹慎ですよ、いい加減にしてください」
「モーの言うとおり!キセ!黙ってな!」
「なんだよ、俺1人のせいかよ」
「てゆーか、画面悪すぎだぞ」
「そうですね、正直彼女本人なのかどうか…」
「可愛いってんだろ!」
「だから見にくいんだよ〜キセちゃん」
 誰が誰だかわからないくらいに台詞が入り乱れて、意味のある意見、ない意見が飛び交った。
 こんな状態が1時間くらい続いて、落ち着ついてから再検証が始まる。


 指紋。
「エレベータのドアが開いた時って閉まる直前でしたよね」
 モーが何度もDVDを確認しながら話す。
「…ってことは…外で誰かがボタン押して開けたか、間に手を入れて開けたか、の2パターンだな」
 キセキがミソを見ながら言う。返答しろという無言の態度。
「指紋はある。だが、断定することができない。あのマンションの住人達が毎日のように使っているんだ」
「でも、新しいものや古いものは断定できますよね?」
 モーが冷静に言った。
「新しいものを限定して容疑者を割り出した方がいいんじゃないですか?」
「現在割り出し中だ」
「だったら、それは後からの報告として…だ。真面目な話、早見真紀子の男関係はどうなんだ?」
 今度は真剣にキセキは聞いた。


 早見真紀子、交友関係。
「とりわけ仲の良い友人はいなかった。ただ、1人だけ、会社の同僚である大友亜紀とはよく食事や買い物にいくような仲だったみたいだな」
「へー、ミソちゃん、すごーい、調べてるぅー」
「それが出来なきゃ、この職就いている意味がない」
「男は?」
 キセキが聞いた。
「あんた、随分そこに拘るねぇ」
 ビューティーが呆れ顔で言った。
「男の匂いがすんだよ」
 ミソはメモ帳を捲る。年季の入った古い手帳だ。
「男は…ここ数年いないな。最近だと高木恭介という男と知り合いになったそうだが、友人ということだ」
「録画を観ろ。彼女は何かに逃げるような勢いでエレベータに飛び込んできた。こんな夜遅くに女があんな状態になる理由は…なんだ?」
 キセキが皆を見る。
「…夜が恐い」
 ビューティーが言った。真の答えではないことをわかっている声。
「心細いんでしょうね」
 モーが喋る。
「足が速いんだよ〜、きっと」
 ハルが陽気に話す。
 全員の目がミソに注がれる。
 最後の決めは任せたという視線だった。
 ミソは溜息をついた。
「ストーカーか…」
「そーゆーこと。犯人が映ってない録画はまだ謎だが女が怯える要素はそれしかない」
 キセキがぱちんと指を鳴らした。
「そうなると、怪しいのは、その高木恭介って奴だな」
「いえ、キセキさん、あと1人いますよ」
 モーがメガネを触りながら切り出した。
「え〜?いないよ〜モーちゃん。そんな人〜」
「いますよ、もう1人、ミソさん、さっき言いましたよね、『ここ数年いない』と。…という事はですよ…」
 ビューティーが両手を叩いた。
「なるほど、昔の男ね。さすが、モー君。鋭い、鋭すぎるわ。最高」
「…ふん。…で?それに対しての答えは…?」
 再び皆の視線がミソに注がれた。
 ミソは気まずそうに咳払いをしながら、「調査中だ」と言った。












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