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奇跡未来堂へようこそ
作:七英雄



序章 奇跡未来堂!ただ今参上! その4


「まずは、2人を呼ぶんだ」
 キセキはハルに命令した。残りのメンバーを集合させる気なのだ。
「ぶー。自分で呼びなよー、キセちゃん」
 面倒臭そうにハルが言った。だが、そういった仕事は事務の仕事である。
「頼むよ、5人揃わないと、解決できないからな」
 キセキの言葉にミソは、ぴくん、と反応した。
「…なあ、今、5人って言ってたけど…」
「ん?俺達、奇跡未来堂のメンバーは5人だよ、知ってんだろ?」
「いや、そ、そうだっけ?でも、2人を呼ぶって言ってたじゃないか」
 ミソの疑問はもっともだった。
 キセキとハル。そして、今から呼ぶ2人。どう計算しても4人である。5人にはならない。
「あとの1人はどうしたんだ?」
 ミソの質問に、キセキとハルは、きょとん、とお互い顔を見合わせた。
 そして、交互に喋った。
「何言ってんのー、ミソちゃん」
「もう1人はあんたじゃねーか」
「……」
「…ったく、今更そんなわけのわからないこと言うなんて。自覚が足りないぞ、自覚が」
「…って、いや、ちょっ…待て!」
 ミソは叫んだ。
「俺?俺が5人目?俺メンバーの中に入ってるのか?」
 確認するように聞いた。
 2人の「うん」という頷きを見て、ミソは気が遠くなるくらいの立ち眩みを覚えた。
「俺は刑事だぞ、警察だぞ、なんでお前らの仲間なんだ?メンバーなんだ?てゆーか、いつからそんなことに…」
 動揺しながらミソは言った。
 それを冷静に受け流しながらキセキ達は答える。
「えー、だって、ミソちゃん、初めて会った時から仲間じゃん」
「そーそー、あの『ゴリ荘殺人事件』の時な」
「うん、あれはすごかったね、だって、殺された人が皆ゴリラ似でさ………」
 思い出話を始めた2人を見ながら、ミソは「マジかよ…」と呟いた。


 刑事、御園生直樹。
 追加。
 奇跡未来堂の一員。
 特技は。(これを特技と呼ぶのは疑問だが)
『警察の特権』


 30分後。
「こんにちわ」
 黒い学生服を着たメガネの少年が事務所に入ってきた。
「おう」
 キセキが手を挙げて答えた。
「どーも、キセキさん。それと、ハルさん。…あっ、ミソさんも。久しぶりですね」
「…う…うむ」
 自分がメンバーだったのがよほどショックなのだろう、ミソに最初の元気はない。
「あー、モー君!久々久々!元気してたー?学校どうー?部活はー?彼女はー?彼氏はー?」
 ハルが少年を見つけてハシャいだ。
「ええ、久しぶりですね、元気でしたよ、まあまあかな、入ってないですけど?いません。僕は男ですよ」
 少年は、ハルの質問責めに戸惑うことなく、素早く順番に返答した。


 森岡元昭。
『もりおか もとあき』現役の高校2年生。17歳。
苗字からなのか、名前からなのかは、もはや忘れ去られているが、皆からは『モー』と呼ばれている。
 完璧な文科系でスポーツは大の苦手。その代わり、作戦を練ったりする発想がずば抜けていて、奇跡未来堂の頭脳ともいうべきポジション。
 これがまた微妙なのだが、本人曰く、頭が良いということと、作戦を練る頭は別物だそうで。頭が良いという訳ではない。確かにそんな秀才がいれば、事件なんて、1人で充分解決できる。
 つまり、彼は『的確な助言や何か行動を起こすための段取りが上手』ということが、彼の特技のようだ。
 髪型は坊主。ガリ勉メガネ。身長165センチ、体重55キロ。
 趣味はスパイ物や推理小説を読むこと。なんでもその好きな小説の主人公が坊主だから、髪型を合わせているらしい。


「今朝の事件を知ってっか?」
 キセキが言った。
 モーは首を振る。
「いいえ、知りません。何かあったのですか?」
「はいはーい!あたしに説明させてー!」
 横から飛び出してきたハルがこれまでの事情を話す。モーは興味津々に聞いている。
「なるほど、これは面白そうですね。勿論僕達でやるんでしょ?キセキさん」
「あったぼーよ」
 キセキは自信たっぷりに言った。


「それにしても…おせーな」
 最後のメンバーがまだこないので、苛立ちを隠せないキセキ。
「あの人は、いつも、こんな感じですから」
 笑顔でモーが慣れましたよと言った。
「ビューティーは時間にルーズだよねー」
 ハルも気にしない口ぶりでキーボードを叩いている。
 きぃ…。
 事務所の扉が開く音。
「やっときやがった」
 キセキが舌打ちした。
 そこに現れたのは、ありえないくらいの厚化粧で巨乳の女だった。
「ううっ…飲みすぎた…」
 頭を抱えながら、その女はよろける様に入ってきた。
 夜通し飲み明かしたのか、その厚い化粧が崩れかかっている。
「ビューティーおそーい」
 ケラケラとハルが言った。コップ一杯の水を差し出す。
「ごめんねー、ハルちゃん」
 ビューティーと呼ばれた女は辛そうにそれを飲み干した。
「さ、会議すっぞ」
 そんな事は知らんぷりで、キセキが立ち上がった。


 山路真美。
『やまじ まみ』名前に『美』という文字があるために、皆からは『ビューティー』と呼ばれている…というか、呼ばせている。
 32歳。離婚歴3回。子供なし。
 クラブを経営しているママ。年齢よりも上に見られがちで、その原因の1つは匂いが漂う厚化粧。
 身長163センチ。体重?キロ。あまりにも巨乳なので太って見える。ハルは胸に対してだけ憧れを抱いている。
 特技は、警察の情報に匹敵するほどの独自ルートの情報網。たまにその情報をミソが利用するほどの信憑性がある。
 …が、問題がある。彼女の情報はお店のお客から得るものだが、肝心の彼女がその店を人任せで出勤しないのだ。こうなると欲しい時に情報は貰えず、ビューティーの気まぐれで店に出た時だけの情報しか得られない。












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