第1章 奇跡未来堂は死体を探す その1
葉月正一が朝起きたら、父も、母も、姉も、兄も、いなかった。
姉や兄がいないことは珍しいことではない。毎日のように夜遊びに没頭なのだ。知らない女を誘ったり、男に誘われたり、一体何が楽しいのだろうか。
不可解なのは、父も、母もいないことだった。
父や母の名を呼んでも返事はない。返ってくるのは静寂。どうしようもない静寂だった。
不安に駆られた正一は、隣の家や親戚、思いつくだけの友人に電話を入れた。
結局誰も行き先も居場所もわからないまま、1日が過ぎた。正一は今日外出を止めた。
次の日も、次の日も、正一は家族の帰りを待っていた。
それでも帰ってこない。
兄や姉までもが帰らないことはさすがにおかしいと、2人に電話を入れるが、繋がることはなかった。
とうとう、正一は警察に連絡することにした。いなくなって、1週間。異常だ。父の会社からもどうしたのかと電話が入る。無断欠勤をしているようだった。
警察も行方不明事件として扱ってくれて、白髪で年配の刑事が担当になってくれた。顔だけ見るとなかなかやり手のように思える。
兄や姉は遊びでフラフラしているのだ。補導されて家に戻ってくるのは時間の問題のはずだ。問題は父と母である。今までこんなことはなかった。どこの家庭でもそうであろうが…。
警察の捜査が始まって、2日後。
兄と姉の死体が見つかった。
正一は驚いた。生きているはずだった兄姉が死んでいて、死んでいるかもしれない両親が行方不明のまま。
正一は、がたがたと震えだして、泣いた。
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