奇跡未来堂へようこそ(1/11)縦書き表示RDF


ありきたりのベタな展開で、先も読めるよくある話ですが、よろしくお付き合いください。
奇跡未来堂へようこそ
作:七英雄



序章 奇跡未来堂!ただ今参上! その1


 会社からの帰り。家へと向かう道は漆黒の闇と共に覆い被さって、永遠に辿り着くことは有り得ないように思えた。
 それでも前に進むしか選択肢はない。途方に暮れるわけにはいかない。唯一の安らぎの場所へと一刻も早く戻らなければ。
 いや。
 逃げ込まなければ。
 早見真紀子は足早にマンションに向かった。
 シャルムマンションの5階に真紀子は住んでいる。
 憧れの1人暮らし。自分の城を持つために真紀子は時間を惜しみなく使い探した。妥協を許すわけではなかったが、どこをどう探しても理想の場所は見つからなかった。自分の気持ちに妥協を許した範囲で決めたのがこのマンションだった。
 真紀子はマンションに入る前に振り返る。誰もいない。真紀子は安堵し、入っていった。
 エレベータのボタンを押した。
 こんな時間になると誰も使用していないのだろう。既に1階に到着していた。ドアが音もなく開く。
 真紀子は素早く乗り込み、5階のボタンを押して「閉」のボタンを連射した。したところで早く閉まるわけではなかったが、気分的にそうしたいのだ。
 ぽーん。
 閉まる時の合図音が鳴り、扉が動き出した。
 真紀子は、ほっ、と溜息をもらした。エレベータ内は密室になるが、誰にも邪魔されない空間である。
 後は、5階の家に戻り、一息ついて、お酒でも飲みながらゆっくりすればいい。明日は休みだ。友達の亜紀と一緒に買い物でも行こうか、この前コンパで知り合った恭介をデートに誘ってみようか、真紀子の意識は明日という未来を意識していた。
 扉が閉まる寸前。
 がごっ。
 外側から突然現れ出た人の手が、閉まる扉を塞いだ。扉は再び開く。
「ひっ…」
 真紀子の搾り出したようなか細い声が喉から鳴った。












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