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シュレディンガーのぬっこ 作者:Pー龍

第二章 幼女とおっさん

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閑話 やまだたけるクンのハードボイルドな日々 ~これまでの軌跡 1~8話

 俺の名前は山田武尊と書いてヤマダタケルと読む。35歳、独り者の男だ。今日は久しぶりにスーツを着ての外出をした。実は最近、人使いの荒い会社に三下り半を叩き付け、現在無職のありさま。紹介された会社で面接を受けるために、のこのこやって来たというわけさ。すぐに働かなくても失業手当があるから、そんなには困っちゃいない。気分次第では、働いてもいいかなくらいの軽い気持ちさ。
 約束した場所まで来たんだが、入り口がいっこうに見つからない。不思議な話だ。立派なビルは建っているんだが、入り口がない。変な絵が壁に書かれているんだが、あれは一体なんなんだろう。そうこうしていると、凛々しい顔をした動物が二足歩行でやって来た。
 ふむ。猫か。お前、入り方を知らないかい?
 どうやら猫には専用の入り口があるようだ。でも、俺はそこからは入れやしない。
 おや、マンホールがある。試しにそこから潜ってみようじゃないか。
 マンホールはアタリだった。そこから、ビルの地下へと通じているようだ。エレベーターもある。時間はギリギリだったが、なんとか間に合いそうだ。
 エレベーターに乗ると、誰かの忘れ物なのか、大きなバッグが置いてあった。
 そそっかしいヤツもいたもんだ。そのうち気が付いて取りに来るだろう。
 俺は3階のボタンを押した。エレベーターは上昇していく。
 エレベーターは3階で止まったが、ドアは開かない。それどころか、激しい揺れに襲われた。地震のようだ。横揺れに続き、縦揺れも感じた。直下型なのだろう。
 俺は立っていることも適わず、しゃがみこんでしまった。バッグの中からアーモンドの匂いが漂ってきた。あぁ、杏仁豆腐が食べたい。俺は眠くなってしまい、床に倒れ伏してしまった。
 起き上がって時間を確認してみたところ、どうやら半日以上経過している。
 エレベーターから出て状況を確認してみたところ、被害らしいものは生じていない。そんな時、俺を呼ぶ声が聞こえたんだ。
 幼女が俺を呼んでいた。俺は子どもが好きだ。子ども好きの男性教師が折々に問題になっているが、そういう意味ではない。子どもの笑う姿が好きなんだ。
 俺はポケットの中に入っていた飴をその幼女に食べさせたのさ。そのまま通り過ぎようとしたんだが、その子は俺に話があったようなんだ。
 話を聞くところによると、エレベーターを使ってシュレディンガーの猫の実験をしていたという。中の猫が死んでいるか生きているかについて、兄弟と賭けていたとも言う。不死身の猫を使うつもりだったとか言っているが、一体何を言っているんだ?
 そして賭けの対象は自分たちの母親の実家への訪問だという。馬鹿馬鹿しい限りだ。
 俺は実験が破綻していることを教え諭し、昨日の地震のことについて尋ねた。
 その子どもによると、昨日地震は無かったという。
 納得はいかなかったんだが、子どもは証拠として、昨日エレベーターの中にいた俺を映した映像を見せてきた。どうやら、本当に地震は無かったらしい。
 俺はエレベーターでこの子どものいたずらに巻き込まれて半日以上も棒に振ってしまっていた。様子を伺う限りこの幼女も反省している。先方が信じてくれるかどうかはわからないが、この子に説明してもらって遅れてしまったことを詫びることにしよう。
 幼女に提案してみたところ、同意を得た。幼女曰く、先方の担当者は先程来、話に出ていた不死身の猫で、この子の友達だとのこと。
 そして、幼女は採用決定だと俺に告げた。
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