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シュレディンガーのぬっこ 作者:Pー龍

第二章 幼女とおっさん

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第六話 蒸気比重0.93

4月16日改稿 改稿後は縦書きビューワー推奨ですが、横書きで見たところで問題は無いはず。スマホは相変わらず見づらいかもしれません。
「この実験なら問答無用で破綻してますよ。あれ? まだ言ってませんでしたっけ?」

「はぁん? よく見てみぃ。ホレ。 見ての通り○タゴラ装置はちゃんと文句なく作動しとるじゃろ? じゃろ? お前さまの言っていた地震の揺れなども無いじゃろ? ほれ、失敗しておらんじゃないか? これを成功と言わずしてなんというんじゃ。そちなんぞ、わらわの話も聴かんと、食いついて見ておったわ。お前さまがなんと言おうが、大成功なのじゃ。お前さまは、わらわの偉大なる実験に難癖をつけておるのじゃ。そうなのじゃ。」

 幼女犯罪者は唇を突き出して体を揺すり、納得のいっていないご様子です。
 失敗の証拠はあなたの目の前にいる俺なんですけどね。

「ピタゴ○装置の作動がこの実験のキモじゃないんです。まぁ、ガキんちょなら、この手の装置のほうが重要だと思うのかもしれませんがね。」

 ちょっとイラッとしたので煽ってみた。反省はしない。
 ざまぁ。

「そうなのかや?」

 フフフフフッ不安になってきておるわ。
 さっきまでの自信の根拠をオレにハッキリと否定されてしまったからねぇ。
 ほんの少しだけ庇護欲が湧いてこないでもないような。

「えぇ。シュレディンガーの実験の内容を思い出してみてください。密閉された箱の中に猫とピタゴラ装○を入れて、シアン化水素のガスが発生したら中の猫はお亡くなりになられるし、発生しなかったら元気ハツラツ生きていらっしゃる。箱を開けるまでは生きているか死んでいるかは確率論でしか語れないので、その箱の中には、死んでいる50%生きている50%の不思議ちゃんな猫がいるよねぇ(笑)ってお話でした。」
「(笑)はどうなのかと思うがのぅ。」
「では次に、俺の命をモテアソンダ実験を思い返してみてください。」
「うむ、チクチクとこう胸に……」
「エレベーターが箱なのは、まぁ、わからなくもないです。猫が人間に置き換わってますが実験の趣旨から大きく外れているわけでもないです。オタク文化の趣旨からは大きく外れてしまっている気もしないでもないですがね。」
「ひょっとしてそこが重要だったのかや?」
「そんなわけないでしょう。この際オタク魂はまるっと無視してかまいません。まったく問題ありません。個人的には大いに遺憾ではありますが、そこはセーフです。」
「ほぉ、セーフか。よかったのじゃ。」
「良くはありません。ピタゴラ○置も問題なく作動してたとなれば、本来なら俺は死んでいたはずです。良いわけないじゃないですか。」
「ふむ、そうじゃったの。お前さまも不死身なのかや? ジョニーの仲間だったりするのかや?」
「この世に生を受けて以来これまでの間に、たった一回だけ死にかけたことがあるようです。つい最近なんですけどね。これまでに死んだことはないですね。ですから確証といったものは無いのですが、多分不死身ではないです。ジョニーさんですか……不死身の猫さんでしたっけ。」
「じゃったら、運が良かったんじゃのぅ。お前さまはラッキーガイじゃの。良かった良かった。うむ。そうゆうことじゃろ? すべて世はこともなし、じゃの。」
「むしろ運は悪かったんだと思いますよ。誰かさんのせいで、死にかけましたが?」
「ハハハハハっ」
「はははははッ。 ぶっちゃけ、失敗の原因は箱が密閉されてなかったからですよ。」
「ミッペイかや?」
「さっき実験の内容をつらつらと挙げてみましたが、シュレディンガーの実験では、箱は密閉されてましたよね。」
「そうだったかのぅ。」
「そうだったんです。シアン化水素の蒸気比重は0.93です。」
「ほー、それで? 言っておくが、わらわにはあまり難しいことはわからんぞ。」
「そんなに難しくはないですよ。つまりこれは、空気よりもほんのちょっとだけ軽いってことです。」
「空気より軽かったらどうなのじゃ?」
「ヘリウム風船と同じとまではいきませんが、空気よりも軽いので上へ上へと上がろうとします。」
「ふむ。なんとなくわかるような気がするのじゃ。」
「エレベーターの箱には換気孔が付いていますから、空気よりも軽いシアン化水素はゆっくりとではありますが、換気孔から上に抜けていってしまいます。俺が運が良かったと言えるとすれば、匂いを感じた早い時点で、眠くなってしまい床に伏せたことですね。そのまま長時間起き上がらなかったおかげで助かりました。目が覚めた時には、すっかりシアン化水素は換気されていたんでしょう。今回の殺人未遂犯がエレベーター天井の換気孔に目張りをすることに気付かないマヌケで非常に助かりました。」

「ぐぬぬッ」
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