いのちのおと
*詩です*
がさがさと音がする。
ざわざわ音がする。
でも、不快な音じゃなく安心できる心地のよい音。
トクン……トクン――
命が躍動する音。
あわせてがさがさ、音がする。
トクン――トクン……
命が巡る音。
きっと、両手を並べたくらいの大きさしかないだろう。
きっと、自分の手のひらよりずっとずっと小さい……
もしかしたら、10円玉よりも小さいかもしれない。
それでも、命は躍動する。
命は巡る。
トクン……トクン……
一定のリズムを刻んでいる。
がさがさ、ざわざわ音がする。
生きている実感。
体内を巡る命の音。
トクン……トクン……
わたしたちは、あなたを望みます。
輝く世界かはわからないけれど。
一緒に生きて
一緒に学んで
一緒に成長していけるはず。
命の音が途切れるまで、ずっと。
たとえ、離れたとしても。
縁は繋がっているから。
命の音を最後まで、悠久の音楽のように。
奏でて、躍動させて。
がさがさ、ざわざわ。
羊水の中で聴く音楽は、管弦の協奏曲にはならないけれど。
心安らかに、安心できる母の歌にはなれるでしょう。
だから、あなたがわたしたちに顔を見せてくれるそのときまで。
わたしの命の音を子守唄にしていて。
トクン……トクン……
がさがさ、ざわざわ。
トクン……トクン――
ざわざわ、がさがさ。
ゆっくりと眠って。
あなたが世界に出るそのときは、頑張るから。
そのご褒美に元気な産声を聞かせてね。
いつか生まれるわたしたちの命へ。