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神影の彷徨 作者:ゆちゃあ
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第三話 水鏡 / 2




「最近のお前、不審者だぞ?」
 輪島鉄平の野郎は昼休みの賑やかな教室で周りに対する配慮も無く大きな声で俺にいきなり失礼なことを言ってくれやがった。
「何がだよ?」
「お前って最近隣のクラスに頻繁に出入りしてるだろ?」
「そりゃ君中や田崎がいるからだろ」
 輪島はニヤニヤしながら俺の胸を小突く。何だよその気持ちの悪い顔はよ。
「前はお前から向かうなんてしなかったろうに。それに何だか隣のクラスの女子をずっと見ているんだってな。キャ〜、へんた〜い」
 輪島は俺から距離を取るような仕草を見せそうほざいた。
「んなわけあるかよ。俺は女子になら目線を向けるなんていう男じゃないっつ〜の」
「おっと、単語が足りなかったな。『一人の女子』だ」
もともと嫌らしい形を作っていた口がさらに殴りたくなる程に何ともむかつく物となっていた。
 くそ〜、こいつ完全に感づいていやがる。
「で、好きなんか? 尼土さんのこと」
「……最悪だ」
「お、その言い方、正解だって事だな? わかり易過ぎるんだよお前」
 輪島はガッハッハッと本当に文字でその光景を表現できそうな笑い方をした。
 どうでも良いが口から米粒を飛ばすな。汚くてしょうがない。そういうところがお前のその中々な容姿を勿体なくさせているんだよ。
「誰にも言うんじゃねぇぞ」
「はいはい。親友の宇津居(うつい)(はじめ)君は尼土有さんのことが気になっている、なんて誰にも言わね〜ですよ」
「………殺す」
「まあ待て。その代わり取って置きの情報を教えてやる」
 輪島は俺の耳にこそこそと話しかける。生暖かい息がかかって気持ち悪い。これが女子のだったらどんなに良いことか。
「尼土有さんはどうやらあの完璧美少女、一色朱水さんと大の仲良しらしいぞ」
「んな事くらい知ってるわ」
 下らん。そんな情報のために俺はじんま疹が出るようなこの状況に耐えていたのか。
「まあ、待て。こんなのは序の口だ」
「何だよ?」
「聞いて驚くなよ?」
 輪島は勿体ぶりやがって、十分に溜めてからその口を開いた。
「二人は恋人関係にあるらしい」
「………………はあ?」
「わ、馬鹿」
 俺がつい出してしまった大声を輪島は周囲の目から誤魔化すように、引きつった笑いを周りに向ける。クラスメイトはそれを見ていつもの輪島のつまらん話だと思ったのか直ぐに興味を失ってくれた。
「すまねえ」
「まあ、そういう反応するのもわかるが」
「つまり、その……アレか……レズって奴か?」
「ああ。何でも休日の公園で二人がキスしているのを見た奴がいるんだとか」
「マジかよ……」
「誰が見たってのは聞いてないが、あの二人を見ているとそんな関係だって言われてもおかしくないような気もするだろ?」
 確かに。他の女子のグループとは一線を引いている様な気もする。べたべたし過ぎ、そんな感じだ。
「宇津居君のライバルはあの完璧美少女ですかぁ。勝ち目ねぇな」
「全くもって同感だ。勝ち目無いわな。つーか、尼土がビアンだったら元々俺なんか……」
「ま、ご愁傷様って奴だ。ほら、かわいそうなお前に恵んでやる」
 そう言って俺の弁当にカボチャの煮物を放り込む。食べ物で遊んじゃいけません。
「お前が嫌いなだけだろうが。にしても……そうか」
 尼土、好きな奴いたんだな。ま、いても何らおかしくないし、それにあの容姿なら彼氏の一人や二人いてもおかしくないよな。それが彼氏でなく彼女だったのは予想外にも程があるがな。
「そういや、お前何時尼土さんに興味持ったんだよ?」
 こいつとは長い付き合いだからきっと俺の変化には敏感なんだろう。最近までそんな素振りは無かった、そう言いたいらしい。
「わりと最近だな。放課後に偶然廊下で擦れ違って」
「んで一目惚れ、か」
「うるせ〜」
 輪島は笑いながらもちゃっかりもう一つカボチャを俺の弁当に放り込む。だから食べ物で遊んじゃいけません!
「好き嫌いは良くないぞ」
「んな事は知ってる。これは好き嫌いでなく、敗者へのせめてもの贈り物だ」
 敗者、か。嫌だね、その言葉の持つパワーは。
「にしても、尼土さんも相当な女子レベルだよな? 俺、どうして隣のクラスなのに彼女のこと知らなかったんだろうなと最近自分を責めてるわ」
「何故にそうなる」
「だってあの一色さんと出会う前に俺が出会っていたらもしかするともしかするだろ?」
その顔は一切の冗談気を含んでいない大真面目な顔だった。
「……可能性は否定できない、とだけ言っておくぞ」
 こいつは大物だな。尊敬するぜ。
「真性レズだったら意味無いけどな」
 ……自分で自分にナイフ突き刺した気がするぜ。涙は心の中でそっと流しておこう。
「まあな。にしても1組と4組は良いよな、あんなハイレベルな女子を毎日拝められて」
 一クラスに一人はいるよな、こういう奴。まあ分からん事も無い。あれくらいの美人はそうそういないもんだからそれが学校に複数人いるってだけでその学校はアタリだわな。
「それに比べてうちのクラスなんて……ハァ」
「おいおい、そういう発言は他でやれよ。それにうちにだってそれなりなのもいるじゃんか」
 流石に内容が内容なので声を細める。クラスのど真ん中で男二人が頭を寄せ合って会話する様を想像してみたら寒気がしたが気にしないでおこう。
「桑田と葉月か? あいつ等には他校の彼氏いるから始めから除外」
「……そうか」
 俺が適当に流すと輪島はとうとう病んでしまった様に呟き始める。
「尼土さんのあの綺麗な目、柔らかそうな唇、細い腕とすらりとした足、何であんなにも可愛いんかな? マジで同じ人間なのかと疑っちまうよな〜」
「大丈夫かお前」
 既に病的な域にまで発言が届いてしまっていた。こりゃ駄目だ。
「うるさい。あんなトンデモ美少女が二人だけでヨロシクやってるなんて悔しいと思わないのか雄として!」
 俺が可哀想な目で輪島を見てあげていると、
「あのさ〜、こういう時は殴ってでも良いから輪島を止めてあげてよ」
 急に背後から女の声がした。
 振り返るとそこには豊島が腕を組んで立っていた。
「おい、一人忘れてんぞ」
 俺の言葉に輪島はやっと正気を取り戻した。
「何がだ?」
 俺は豊島を指さし先程の話題をぶり返さす。
「このクラスでハイレベルな女子」
「おっと、いきなりだな〜。でもガチに言ってるなら素直に喜んじゃうよ」
 しかし輪島は口を(とんが)らせてブーイングする。やめておけば良いものを……蛮勇は勇気とは違うのだよ。
「女じゃね〜」
「あんですと〜」
 予想通りの言葉を浴びせられた豊島は輪島の頬を本気で抓った。こりゃいかん、見ているだけでも口の中が酸っぱくなるぞ。
「もう一度言ってみろ~」
「す、すいませんでした」
 輪島の目に涙が浮かぶ。高校生にもなって女子にクラスメイトの真ん前で泣かされるとはなんて可哀そうな子なのだろうか。
「なら、他に何か言う言葉はない?」
「は?」
「ほら、何か……褒め言葉とか?」
「は?」
 豊島は別の手でまた輪島の頬を抓りあげる。
「いぎゃぁぁ、すんません。言います、言いますからぁ」
 その言葉を聞いて勝ち誇った顔をした豊島は輪島の頬を解放してあげた。女子らしい長さ故に頬にはばっちり爪の跡が残っていた。
「はい、言って」
 嬉しそうに豊島は言う。言わせて嬉しいとは安い奴だな。
「……豊島瑞穂は5組の中でもハイレベルな……女子です。……言ったぞ」
「はい、良くできました〜」
 豊島は輪島の頭を撫でながら笑う。女子と言う単語の前に少し「た」に濁点が付いた様な言葉が聞こえたのには目をつぶるならぬ耳を閉ざしたらしい。
 それにしてもこうして見るとホントに美少女じゃんよ。
「ふっふ〜、その目は何かな? もしかして私の顔に見蕩れてた?」
 豊島は堂々とそんな事を言う。ここにも大物がいたな。
「それより今日は昼練って無いのか?」
「うん。女子サッカーは気紛れでしか昼練しないような部活だからね」
 豊島瑞穂は女子サッカー部での重要人物らしく、よく後輩が訪ねに来る。いや、単に後輩女子に人気があるだけかも知れんな。お熱な顔した女子がたまに来るもんさ。
 髪は女子にしては短めで、正にボーイッシュと言える容姿だ。だがその顔は男とはほど遠く小綺麗に整っていて、髪を伸ばすととてもじゃないがスポーツをやりそうもない良家のお嬢さん、って感じになるだろう。実際去年の夏に偶然出会った際に、一緒にいた演劇部の友達が持っていたお姫様用のカツラをふざけて被ったのだが、それが驚くほど似合っていた。
「ところで、さっき何の話をしていたの?」
 野郎二人が寄り添い合っててきもかったゾ、だとさ。
「あ〜」
 俺は輪島に変なこと言ったらただじゃおかないというアイコンタクトを必死に送る。奴にもそれが通じたらしい、しっかりと頷いた。やればできるじゃないか!
「あ〜、ほら隣のクラスに尼土って女子いるだろ? あの子について色々と論議していたんだよ」
 うむ、輪島にしては良い誤魔化しだ。何時かご褒美としてカボチャの煮物をあげよう。
「ふ〜ん、知らない子だね」
「意外だな。お前ほどの友好関係だだっ広い人間が知らない女子なんかがいたのか」
「そりゃ何人かはいるさ。でも変だな、私は隣のクラスにしょっちゅう出入りしているから知らない子なんていないはずなのにな」
「余りに可愛いから自分と比較して落ち込まないように無意識に目線を逸らしてたんじゃね?」
 輪島の喉にチョップを入れ悶絶させた後に豊島は俺の方に振り返る。
「その尼土って子、そんなに可愛いの?」
「まあな。多分学年二位」
「おいおい、誰ランキングよ? でもそれってある意味一位じゃん。一位は絶対一色さんなんだから」
 まあ、一番が一色さんだって事はこの学年の人間なら誰でもわかることだ。高校の入学式であの姿を見たときは正直目を疑った。余りの美人っぷりに一瞬立ち止まってしまったくらいだ。
「気になるな〜。ちょっと、見てくる」
 そう言って豊島は教室から足早に出て行った。
「落ち着きが無いな」
 俺はカボチャの煮物を、床に座り込んだまま苦しんでいる輪島に見えないようこっそりと弁当に戻してあげた。
 これでさっきのご褒美をあげた事にしよう。


 午後の授業をいつもの様に半睡状態で過ごした放課後、俺は他のやる気の無いメンバーと一緒に掃除をぐだぐだとしていた。やる気ないという話どころではないのかもしれない。男しかいないためにリミッターが深刻に不足していた所為か、完全に掃除と言う漢字二文字を、今大振りの餌食になったボールの様に丸めた雑巾と同じように箒で打ち飛ばしてしまったのかも知れない。残った俺ともう一人の真面目君だけが野球で無く掃除と言う作業で手を動かしていた。HRが終わると直ぐに何所かに行ってしまった豊島は、戻ってきたと思ったら掃除当番の俺の箒を邪魔する様に立つと興奮して言ってきた。
「何あの子、マジ凄くない? 一色さんに負けず劣らずじゃんよ〜」
「そう言ったろうに。つーか、昼休みに会いに行ったんじゃないのか? あ、それと邪魔だから退いて」
「そうなんだけどさ、昼休みはどっか行ってるらしくて会えなかったんよ。で、今さっき会ってきたってわけ」
「そうか。会えて良かったな。それは良いから早く退け」
 豊島はやっと退くと俺の掃除の動きに合わせる様に動きながら話しかけてくる。
「でね、ちょっとお話ししてきたんだけど……」
「マジか!」
 俺の反応に豊島はにたにたとした顔をする。しまった……
「何よその反応? まさか……そうなん?」
 俺は本当に自分が恨めしい。何で同じ日にこうも簡単に自分の恋慕についてばれなきゃならねぇんだ。豊島は事の事情が分かったと言わんばかりに嫌らしい顔を俺の視界に執拗に入れてきた。
「まあまあ、その事については追求しないでおいてあげる。それよりあの子、一色さんと親友なんだって」
「……知ってる」
「あ、そうなん? にしても世の中って良くできてるよね〜。あの二人が仲良いなんて最強タッグじゃんよ」
 全くもって同感だ。でも逆に他の男じゃないっていうのも少しは心のどっかにあるんだけどな。
「あ、でさぁ、友達に聞いたんだけど尼土さんと一色さんの関係って親友と言うよりもさ」
「まあ、そっちな関係らしいな。俺も今日知ったばかりだが」
全くもって悲しい話だな。気になる女子が男子に興味ありませんでした~、最高に辛い話だ。
「やっぱり? その子、公園で二人がキスしてるとこたまたま通りがかったときに見ちゃったんだって」
 ああ、そいつか。そいつには感謝するよ。無駄な告白をしなくて良い様にしてくれたみたいなもんだからな。
「いや〜、あの二人がね〜。私、女だけどあんな二人を侍らせる様なハーレムを作ってみたいよ。憧れるね」
 豊島は両手を頬に当てて体をくねらせる。
 それは全男子が同意だ。だがやはり女がそういう発想するのは少し変だぞ。
「あれかな? 自分の顔が良すぎると、美意識高ぶっちゃって男女関係なく綺麗な方を取っちゃうものなのかな?」
「俺に聞くな。そんなのわかるわけねえだろ」
「だよね〜」
 俺の顔をわざわざ覗きこんで言いやがった。あ、今のはむかついた。
「いや〜私は普通の顔で良かったよ」
「お前が普通だなんて言ったらブーイングの嵐だな」
「そうなん? でも実際モテないし」
「それとこれとは別」
「貴様はつまり私の性格は駄目って事が言いたいのかぁ」
 豊島は涙声を出して俺を指さす。本当に面白い人間だ。
「お前のそういうノリのいいとこが長所でもあり短所でもあるんだよ」
「お?」
「そのノリのお蔭で男子と分け隔て無く付き合えるのはお前の特技だろ?」
 豊島は俺の言葉に「まあね」と自慢気に頷いた。
「だけどそのノリはあくまで友達としてなんだよ。つまりお前はあんまり女として見られてないって事だ」
 これは間違いなくクラスの男子全員の意見だ。たまに起きる男子だけの会議的な物で豊島の話題が出ると必ずこのような結論に行きつくのだった。
「マジかよぉ。そんな心に大きな傷を作る様なことを掃除の時間にさらっと言うなよぉ」
「でもお前、素材が良いんだから努力すれば彼氏なんて思いのままになると思うぞ」
「何それ、遠回しな告白ですか?」
 豊島は俺の背中に指を立てながらふざける。突き立てられた指が艶めかしく動くためにこそばゆい。
「ちげ〜よ。つ〜か、さっきのでわかっちまったんだろ? だったらそういうこと言うな」
「え〜、何の事ぉ? 誰々が尼土さんのこと無謀にも好きだって事ぉ?」
 …………無視しよう。
「おいおい、流さないでくれよ。悪かった、謝るって」
「…………」
「ごめんってば。そんな『背中で語る』みたいな格好しないでさ」
 掃除中だから背中がお前の方に向いてんだよ。
「そういやお前時間良いのか?」
 ちらりと見た時計は女子サッカーが始まるはずの時間の数分前を示していた。
「うわ、こりゃ不味い。じゃあね」
 慌てて鞄を机の横から剥ぎ取り開けたドアを閉める事無く廊下を騒がしく走り去って行った。あまりの足音の大きさなので今どこにいるかが分かるくらいだった。
「やっぱり落ち着きがないな」
 俺は掃除をきちんと全うして箒を用具箱に仕舞い、掃除当番でもないのにいつの間にか雑巾野球に参加していたはずの輪島の姿を探したが何所にも見つけられなかった。
「輪島ならさっき委員会で呼ばれたぞ」
 俺のそんな姿を見て何をしているのか理解した隣の組の田崎は、5組の教室に入った際に教えてくれた。多分俺を迎えに来てくれたんだろう。
「そうか。君中はどうした?」
「今日は休み。ま、どうせサボタージュだよ」
「あいつ、ホントにサボり癖直らないよな」
「中学以来だからね」
 俺達がそんな些細なことを話しながら廊下を歩いていると背後から田崎を呼ぶ声が起きた。
「田崎君。これ、落としたよ」
 聞き覚えがありすぎる声色だった。どうしてもこの声だけは雑音の中から拾い聞いてしまう、そんな機能を脳が最近持ち始めた気がする。
 それは今最も(一方的に)会いたくない人物である尼土さんであった。相変わらずの愛くるしい笑顔で俺は立ち所に緊張で体が動かなくなってしまった。
「ああ、ありがとう」
「これ綺麗だね」
 尼土さんは田崎が落とした携帯のストラップを見てそう言った。色鮮やかなガラス細工で、どちらかと言うと男子が持つのではなく女子が持っていそうな物であった。田崎はそういうのが昔から大好きで、以前電車に携帯電話を置き忘れた時は女性の物として忘れ物登録されていたくらいだった。本人曰く「可愛い」ではなく「綺麗」な物に惹かれるらしい。
「そう思う? 何処かへ出かけたときに一目惚れして衝動買いしたんだ。今でもお気に入り」
 尼土さんは田崎の目を真っ直ぐ見て微笑む。羨まし過ぎるぞ、田崎め。
「綺麗な色遣いだよね。チャラチャラしてないし、目立とうともしていない。だけれど存在感がある、そんな感じだね」
 そう言いながら尼土さんは手をバイバイと振りながら戻っていった。どうしよう、本気で田崎が妬ましい。
「尼土さんってあんなに友好的だったんだね」
 田崎は意外と言わんばかりな顔を作る。おいおいクラスメイトだろうに。
「同じクラスだろ? 話したこと無いのか?」
「んー、それがどうにもわからないんだよね。何度か話したことはあるはずなんだけど」
 くそ〜、この野郎め。尼土さんとの会話を忘れるなんて俺からしたら自分を大いに罰する様な失態デスよ?
「むしろあの人自体の記憶があんまり無いんだよね。最近のは沢山あるけど」
 不思議だよな、と疑問符を打つ。今の後半の言葉に俺は少し疑念を抱いたが俺はその言葉全体に反応してやる。
「お前が馬鹿だった。それしか考えられん。あんな可愛い奴をどうやったら忘れられるんだよ?」
「可愛いのは認めるけど……それに何だか僕だけじゃないみたいだよ、そう思っているのは」
「そうなのか?」
「うん。それに尼土さんの話題が上がってきたのだって最近だし、尼土さん本人が目立ってきたのも最近なイメージがある。むしろ最近転校してきたって言われた方が納得できる様な感じだよ」
 へえ、何とも不思議なことですね。ま、俺は尼土さんの事忘れたりなんかしないから関係ないけどな。
 俺達はその後も尼土さんの事ばかり話してお互いの家路についた。まあ、こういう事してるから俺はわかりやすいって言われちまうんだよな。反省、反省。
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