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宇宙への旅立ち

1623年10月5日

龍之介は、蒸気機関戦艦・武御雷で鹿島沖に出てた。

武御雷に乗船する船員は、龍之介の精鋭部隊であったため情報の流出が極限にまで抑えることができたのであった。

そして、宇宙船の飛来を目立たなくするために飛行船艦艦隊も出撃していた。

飛行船艦艦隊には、正忠が乗船し偽装深夜訓練を行っていた。

蒸気機関船の発達により深夜でも太平洋の大海原にはちらほらと航行する船があったが、飛空戦艦から花火が上げられ偽装を実施、花火は龍之介は指示していなく正忠自ら考えた偽装作戦であった。

そんな中、新月の暗闇に紛れて武御雷に光速で近づく飛行物体が目視で確認できた。


「では、歩美行ってくる後の事は頼んだぞ。」


「御無事の帰還をお待ちしております。」


「パカルさん、宇宙船はどのように乗るのですか?なにか光のような物が出て私たちが宙に浮くのですか?」


「龍之介様のいた時代にはその様な技術が完成していたのですか?」


「いやいや、ありませんでしたが想像の物語ではよくあったもので。」


「ははは、そうでしたか、想像できる事はすべて現実にできる事だと習いましたのでいずれはそういう技術が出来ると思いますが、あの宇宙船なら普通に、船に横付けで着水しますよ。」


「そうですか、少しホッとしました。しかし、まだ上空のあの宇宙船ですが大きさはどのくらいなのですか?」


「今、乗っている武御雷より一回り小さいくらいですよ。」


「陸上に迎えに来て貰わなくて良かった、そんなものが現れたら民衆は騒ぎになりますよ、いくら我が茨城都民が飛行船戦艦に慣れていても。」


上空に光輝く花火の中を銀色の何とも言えない微妙な光を出しながら武御雷へ接近してくる飛行物体は明らかに飛行船戦艦とは異なる異形物はまるで鯱のような形をしていた。

大平洋の海原に静かに着水し、停泊すると鯱に見えてしまう飛行物体の口が大きく開く、すると、桟橋が武御雷に伸びてきた。

その中を、銀色のツナギを来た地球人とさほど外見的異なりを感じない生命体が歩いて渡ってきた。

桟橋が武御雷に着船するとパカルその人物に手を頭上に大きな丸を出し合図を送った。

なんとも原始的な合図、その合図を確認すると鯱型飛行物体から歩いて渡ってきた人物は武御雷に乗船した。


「龍之介様、こちらはピロリン・アセス・ルコン艦長に御座います。」


「銀河系惑星友好全権大使謙母船艦長をやっておりますピロリンであります。」


ピロリン艦長は名前に似合わず何ともダンディー、まるで役所○司のような外見であった。


「私は、地球上、今、一番権力のある平和維持連合代表・

 正一位終身関白太政大臣帝代理大日本合衆国統治責任者全権大使大将軍藤原朝臣三上龍之介正國と申します。」


「我が星の神からの通信により聞き及んでおります。この度は、パカルを保護していただきありがとうございます。パカル地球担当官が認めた以上、地球惑星元首として認めさせて頂き宇宙惑星間協定不可侵条約更新の代表者として歓迎致し、送迎の御身の安全を保障させていただきます。」


「よろしくお願いいたします。」


龍之介は、歩美達の方に向き直り


「では、行ってくる。」


「はい、お帰りお待ち申しております。」


歩美は涙をこらえながら見送ろうとしたが、龍之介が人目を気にせずぎゅっと抱き寄せた。

それを見ていた、春、エリリはパカルの案内のもと鯱型宇宙船に乗り込んだ。

その気配を感じると、龍之介もまた鯱型宇宙船に歩き出した。

その後ろには司録が付き添っていた。

司録が乗船すると、鯱型宇宙船に桟橋は格納され大きく開いた口は静かに閉まる。

すると、鯱型宇宙船は離水し音もなく上空へと飛び立った。

歩美は静かに武御雷から見送る。

宇宙船が見えなくなるまで上空を見ていた歩美は、流れ出ていた涙を拭き取り、武御雷の乗員に指令を出した。


「今、見たことは一切忘れるように、鹿島港に帰ります。」


武御雷は鹿島港に向かった。

飛行船戦艦艦隊でも、正忠もまた乗員に同じ指示を出していた。

飛行船戦艦艦隊から打ち出されていた花火は龍之介を見送る花束であった。

龍之介は、鯱型宇宙船ないからその花火を見て、

「正忠もおつなことをするものだよ」と、ひとり言で小さく言うと、


「確かにそうですわね、龍之介様。」


「はぁっ、司録殿なぜに乗船を?」


「閻魔ちゃんの言いつけで、今回の補佐役になりましたので。」


「パカルさん、良いのですか?」


「あれ?龍之介様はご存じなかったのですか?私は事前に聞いていたので人数に入れておりましたよ。」


「ははは、そうですか、閻魔ちゃんの指示なら仕方ありませんね。」


龍之介は少し呆れながら言う。


「龍之介様を必ず、必ず地球に帰すべく補佐させて頂きます。」


「司録殿がいるなら帰れますな、ははは」


窓より眼下を見下ろすとすでに、地球を離れようとしていた。

龍之介、春、エリリは言葉にならない驚きの声を出した。

自分達の住む地球を見下ろす日が来ようとは世界をまたにかけて来た龍之介一行はついに宇宙に旅立った。



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