世界巡察の旅~中東・アフリカ大陸編~
キプロスからカイロに移動した龍之介一行は、勿論ピラミッドの見学である。
事前にカイロには伊達政宗の手配で、ピラミッドまで移動するために
蒸気機関自動車が、用意されていた。
ヨーロッパ地中海州には、蒸気機関自動車と蒸気機関装甲車が
優先的に配備されていたのである。
蒸気機関装甲車は馬力が足りないため、ア-ムストロング砲ではなく
大口径ガトリング砲が主砲である。
主な目的は、中東での争いに睨みを利かせる為。
滅ぼしたとはいえ、オスマントルコ帝国の火種などがあったからである。
勿論、イスラエルの有事に対応できるようにでもある。
ヨーロッパ地中海州は、地中海に蒸気機関艦隊、空には蒸気機関飛行船艦「独眼竜」
そして、陸には蒸気機関装甲車で陸海空軍が事実上展開していた。
アフリカ大陸の地中海沿岸には複数の大日本合衆国の軍港が存在、実権を握っている。
上皇と龍之介は用意されていた蒸気機関自動車に乗り運転には春、助手席に歩美、
二台目に上皇の従者が乗車、運転手にエリリであった。
その前後左右を蒸気機関装甲車で守っていた。ラクダに乗る現地部隊も50人ほど着いた。
先頭の蒸気機関装甲車には、正忠が乗り警戒の任務をしていたのである。
エジプトは砂漠、大軍で進行するには不適当。その為、警護にモールス通信で
飛行船艦「独眼竜」を呼び寄せ上空で周囲を警戒していた。
これで、少数の部隊でピラミッドを目指したのだ。
「龍之介、このように熱い砂漠に何があるというのだ?」
「見てのお楽しみと言うことで、」
今日の龍之介は、イスラエルでの引き締まった顔ではなく何気に
楽しみにしている顔、はたから見てもそれはわかるのであった。
「兄上様、見えてまいりましたぞ」
「ん?なんだあの山は?」
「ピラミッドに御座いますよ。やっと見れた、何回か地中海に
来ておりましたが戦ばかりだったので」
少しずつ近づいていく一行、全貌が見えてくる
「石造りの山、なんて大きいのだ。龍之介が喜ぶのもわからなくない、
アメリカ大陸で見た神殿も似た造りであったが、大きさが凄い壮大である」
「はい、似ておりますが異なる良さがありますね」
「これは、いつ頃どの様に何の意味で作られたのか?やはり神殿か?」
「兄上様、その質問全部に正確には答えることができないのですよ。」
「それは、未来知識で知っているが答えると何か問題があると言う意味でか?」
春が運転手であり助手席が歩美のため、隠す必要がなく未来の話もできるのである。
龍之介の秘密を知る者しかいなかった。
「いえ、そうではないのです。正式には不明、未来でも研究されているのですが、
複数の意見が出ています。一応の定説としては、西洋暦で紀元前2500年ごろに造られたと
言われ、エジプト王朝の王の墓とされていますが、ピラミッドの製造方法などが正確には
不明で中に複数空間があると発見されていますが、どのようにしてその様な空間があるのかも」
「謎に包まれた、建造物ピラミッドか?」
「はい、西洋暦で紀元前2500年で作られたと言う研究者もいれば、
もっと太古の昔から存在していると言う研究者も多数存在します。
まぁ~そう言う者は異端な考えとされていますが、
私はその太古の昔から存在する説のほうが好きなのですがね。
夢があります。」
「ははは、世界では鬼と恐れられる龍之介が夢物語を語るか」
「関白殿下の説は確かに面白味がありますね。日本を神々が作った話のように」
春が運転をしながら、言うのであった。
ピラミッドのすぐそばに到着すると、一行は蒸気機関自動車を降りたのである。
すると、スフィンクスの足元に皆が行く
スフィンクスは砂に埋もれ、体の大半は隠れていた。
「まるで、狛犬のようだな」
「はい、ピラミッドの守り神とも言われております。砂に埋もれおりますが、
足までしっかりあるのですよ。昔はもう一体あったと言われておるので、
まさに守り神の狛犬のようですね。
その下には空間があるとの事で、何かが隠されていると言われております。」
「気になるなら、龍之介の一言があれば掘り返し発掘することなど訳ないではないか?」
「発掘したとしても、管理や研究者がいない現状では無駄にしてしまう可能性が高いので、
適切な時に掘るべきだと考えております。私一人の知りたいという欲求で壊して良い物では
ないと考えています。」
「確かにそうであるな。龍之介だけ知識があっても周りが着いて来れなければ無駄になることも
あると言いうものだな。」
「はい、私はこの外観を見る事が出来て満足しいます。」
「中に、空洞があるなら入らなくて良いのか?」
「何やら、中では不思議な力があると言われております。
私は一応、陰陽力を持っているので反発の可能性もありますので控えます。」
「なら、私達も控えよう。」
「今晩、ここで野営をします。」
「なるほど、ここで野営をしたかったのだな、これほど壮大な物の前で一夜を過ごす、
風流と言うのかの~」
「夜の月の光に照らされたピラミッドも見たかったので、ピラミッドは西洋の星座と
呼ぶ星の図で、オリオン座と言う星座の縮図に合わせて作られているとも
言われております。」
「エジプトも天文学を利用していたとは、これまた面白いものよな」
野営の準備は、護衛が行っていたのである。
布で作られたテントが用意されていた、それはアジア大陸からモンゴル民族のゲルの
技術を利用したもので、野営の準備はすぐにできたのであった。
しかし皆、ゲルに入らず夕暮れに沈みゆく姿のピラミッドをたき火を囲みながら、
ただひたすら眺めていたのであった。
星空のもとに見るピラミッドは、幻想的な姿を増した。
宇宙とのつながりに何らかあるのではないかと思えてしまうのだから不思議である。
ゲルで仮眠をとり、朝日に照らされるピラミッド、太古の磨かれた石灰岩で化粧された
ピラミッドを見てみたかったと龍之介は思うのであった。
一日、ピラミッドを見て過ごした一同はカイロの街に戻るのである。
上皇は、海路にある大日本合衆国の管理下の海城で休息
龍之介は、飛行船艦「独眼竜」に乗船してアフリカ大陸を上空から
巡察を行う、アフリカ大陸横断鉄道と農地の様子である。
ナイル川沿岸は農業用水路が引かれる工事が進んでおり、
少しずつではあるが、農業に適した土地に変わりつつあった。
あとは、昼夜の気温の差に適した作物が作れるかが問題であったが、
南アメリカ大陸から取り寄せた作物で対応が出来そうであった。
アフリカ大陸・喜望峰からカイロまで貫く、鉄道はほかの大陸に比べ
問題が多かったが少しずつ線路は伸びていたのであった。
アフリカ大陸が作物が豊かに育つ地となれば、世界平和に
つながるのではないかと考えていた龍之介
アフリカ大陸は人類発祥の地であるが、現在環境は適していない不思議な地、
この地の、砂漠化はその下に何かを隠してあるものかもしれないと思ってしまう
そんな地を龍之介は上空から眺めていたのであった。
アフリカ大陸の巡察を済ませるとカイロに戻り、休養した後、飛行船艦艦隊本体を
停泊しているジブラルタル城に戻たのである。