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茨城国・御下向

龍之介が茨城国き帰ると帝の御下向の準備は滞りなく行われたのである

 

 豪華絢爛なもてなしは避け、茨城国の現状を見ていただく為の巡察に近い下向として準備はされた

 

 「正長、帝の御迎えは御主の役目ぞ、不動明王艦隊で堺に御迎えに出向きなさい」

 

 「はい、父上様」

 

 「不動明王艦並びに、警護の最新式スクリュー式蒸気機関鉄甲船艦隊5隻をもって御迎えに行くように」

 

 

 2月中旬、嫡男・従一位征夷大将軍藤原朝臣三上虎之介正長は鹿島港を出港

 

 堺に到着したあと、弟の城、嵐山城に入場したのである

 次の日には、御所城に参内したのである

 

 「帝、御下向の仕度整いて御座います。父、正圀が茨城国で御待ちしております」

 

 「よし、では桃節句に間に合う日にちに出発する、いつが良いか?」

 

 「28日に堺を出港したく」

 

 「構わぬ、すでに忠仁親王に任せられるよう準備はこちらも出来ておる」

 

 「では、28日の朝御迎えに参ります、正光は前日から御所城に入るよう命じますが宜しいですか?」

 

 「構わぬ、そのように」

 

 

 2月27日、正光は3000の兵を率いて入城

 忠仁親王の警護の任務に就いた

 

 2月28日、正長が御所城に参内

 帝はかねてよりの約定通り供廻りは50人程であったが、京都から堺までの道中は近江八幡城・安土城の兵士が警護の任務に当り行列は約5000人となっていた

 

 先頭には錦御旗が掲げられた行列は、豪華絢爛ではないが盛大な行列であった

 

 堺に着くと、不動明王艦に乗る帝

 

 「お~これが、世界を一周してきた船か?」

 

 「はい、世界と戦ってきた船に御座います、さぁ~こちらへ帝の御座所を設けてあります」

 

 「いや、あの一番高い所に案内せよ」

 

 と、帝が指を指したのは、天守と命名されている不動明王艦艦橋の一番高い高欄を指していた

 

 「帝、天守上は揺れが強いですが」

 

 「正長、これでも正圀の兄ぞ!そんなに柔ではないから安心せい」

 

 「は!失礼致しました」

 

 確かに、60近いとはいえ若々しい帝であった

 それは、龍之介や正長が精が着く品々を贈っていたからとも言えた

 

 「これが、正圀が見ている気色か!

  ん!気持ちが良い、ここで暫く景色を眺めるから準備ができ次第、出港してよいぞ」

 

 「かしこまりましてございます」

 

 「ピーーーー」

 

 不動明王艦隊は汽艇を鳴らし、堺を出港したのである

 

 帝は離れる堺の港を見ていた

 

 「誠に、帆がなく進むのだな」

 

 「私も慣れてはいないもので…」

 

 「なるほどな」

 

 「帝、寒くなってまいりましたので中に」

 

 「確かに寒いから入ろう」

 

 帝は御座所に通されたのである

 

 「もし、冷えたならお風呂もありますが」

 

 「まことか?流石に風呂好きな龍之介だな!入ろう」

 

 帝は風呂に入り体を温めたのだ

 

 不動明王艦隊で振る舞われた料理は、さほど豪華な料理ではなかったが温かい食べ物に帝は満足していた

 

 3月2日

 

 鹿島港に入港

 

 帝は高覧から眺めていた

 

 「これが茨城国か!凄いな」

 

 「はい、鹿島港は特に造船所が盛んで」

 

 「なるほどな、」

 

 「父が出迎えているはずです」

 

 着岸する不動明王艦

 

 「帝、船旅はいかがでしたか?」

 

 「素晴らしく快適であったしかも、風呂まであるとはな!」

 

 「はい、風呂はどうしても欲しくて…」

 

 「正圀らしいな」

 

 「はい…」

 

 「で、まずはどこに行くのだ?」

 

 「蒸気機関車で、茨城城を」

 

 「予定通りに進めて構わぬからな」

 

 「ありがとうございます」

 

 蒸気機関車の御成列車に乗り込む帝、

 

 「誠に、陸も馬なしで進むのだな」

 

 「全てが蒸気機関で御座います」

 

 「これが京都にも引かれるのだな」

 

 「はい、今順調に進めております」

 

 「これを全国に張り巡らせるのか?」

 

 「全国に留まらず、世界に走らせたいと思っております」

 

 「龍之介の頭には先を見ているな」

 

 「ありがとうございます」

 

 帝は茨城幕府の拠点、霞ヶ浦・北浦を望む地に建つ茨城城に入城する

 

 「なるほどな茨城国の発展は目を見張るな」

 

 「ありがとうございます」

 

 「茨城国は実験的です、これを日本全国・世界に広めたく」

 

 「世界を繋ぐ手立てか?」

 

 「はい、いかにも」

 

 「今宵の宿は水戸城であったな?」

 

 「御下向中の宿は水戸城の御成御殿を用意してあります」

 

 「では、行こうではないか 温泉に入りたい」

 

 「はい、かしこまりました」

 

 帝の一行は、茨城城を経由したのちに水戸城に入った

 

 水戸城に着いたのは夜になっていたが、偕楽園と千波湖は提灯と富益恵時尊(トマスエジソン)の電球によりライトアップがされていた

 

 水戸城の御成門から入城した帝は御成御殿から、偕楽園の眺めを見ながら夕食を正圀と共に食していた

 

 「この、鮟鱇鍋は体を温めるな!濃厚な汁が美味い」

 

 「ありがとうございます!茨城国の冬の名物にございます」

 

 「酒も美味いぞ、そしてここから見る偕楽園の気色も悪くない」

 

 「茨城国は水も米も良いのがありますので」

 

 「魚も美味い 良い国だ」

 

 「ありがとうございます」

 

 「正圀、やはり確信したぞ」

 

 「兄上様何がですか?」

 

 「遷都をしようではないか!」

 

 

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