第15話 家臣募集中
龍之介は家臣は漆黒の影鷹のみであった。
勿論、屋敷には下働きをする下人はいたし領地となった近江八幡には
足軽もいたが頭になる家臣はいなかった。
織田信長から、近江八幡を与えられたことで家臣を雇わねばならなくなっていた。
「影鷹はおるか?」
「はっ、ここに」
「そちの里に、よき人材はおらぬか?」
「兄弟子の柳生宗矩と言う人物がいますがいかがでしょう?」
「お~柳生石舟斎の息子だな!直ぐに会いたい」
「はっ、かしこまりました」
柳生宗矩はまだこの時、徳川家康の家臣ではなかったのである。
一説によれば、柳生宗矩は本能寺の変で堺から命からがら逃げる徳川家康の
伊賀越えで、出会ったと言われている。
数日後、柳生宗矩は影鷹の案内で嵐山の屋敷を訪ねてきた
龍之介は会うなり、木刀を手にし宗矩にも渡した。
「一手、勝負を願う」
「はっ、お願いいたします」
勝負は一瞬だった、木刀を構えた二人。
影鷹の合図で勝負は始まった。
合図の瞬間、龍之介の木刀が宗矩の右腕に当たっていた。
普通の剣士なれば右腕を使えなくなった、段階で負けを認めるとこだが、
宗矩は左腕だけで突きの構えをとっていた・・・・・・が、
「参りました」
と降参をしたのである。
「うむ、そちを三千石にて召し抱える励め」
龍之介は前世での記憶から、始めから召し抱える事は決めており
勝敗などは気にしていなかったのである。
柳生宗矩は後に重臣となる。
自室に戻り、龍之介は考えた。
「まだ、二人の家臣か・・・・・・ん~とりあえず、
宗矩に柳生から何人か呼ぶように伝えよう」
「影鷹!」
「はっ、ここに、かしこまりました」
ある意味、影鷹が一番恐い・・・・・・どこにでも現れるのだから
「影鷹、忍びの家来も欲しい」
「わかっております」
「それと、影鷹、そちは五千石、筆頭家臣、宿老とする」
「過ぎたる身分と御言葉で、ありがだく受け取り申します」
そうして、集められた人数は30名であった。
近江八幡に待機している足軽は約3000人がいた。
「宗矩は、さっそく近江八幡で足軽の鍛練に力を入れよ、剣術指南役を命じる」
と、命を与える。
また、30名の家臣には筆記試験を受けさせ、内政に詳しい5名に近江八幡の内政担当に
当たらせ、基本政策は楽市楽座である、と命を与えて、さらに農業治水に詳しい5名、
防災治安5名の担当を決め政治にあたらせたのであった。
防災には、龍之介の過去の知識から耐震木造建築技術が使われたのは言うまでもなかった。
この事により、近江八幡は大きく栄えたのである。
しばらくしたのちのある日、
「誰かおらぬか?」
龍之介は家臣を呼び出し、堺に買い出しに行かせた。
「西洋式甲冑を3000組」
無理な買い物ではあるが、転生設定で蔵には黄金がギッシリであったため、
西洋人が本国から取り寄せる運びとなり、ついでに西洋式大筒を5筒取り寄せたのであった。
ここに、後の世に語られる「最強左大臣の西洋備え」の軍が誕生するのであった。