安土城と織田家の家名
龍之介は堺から安土城に向かった
天守も焼け落ちていないしっかりと残っている
安土城天主は龍之介個人的にも好きな城であり後生に残せるよう城代が置かれ管理されていた
安土城城廓内にある摠見寺に織田信長の墓があった
遺体もそこに納められていたのだ
織田信長の墓、摠見寺に御参りに
織田家を滅亡に追いやった龍之介だが信長の菩提寺はしっかりと管理されていた
それは信長への思いがあったからでもある
側室達には遠慮して貰い京都で好きに待つようにさせたのだ
外国人のエリリ・トゥルル・エターニャは春に案内されながら観光をしていた
摠見寺には
織田信長の娘で正室の歩美と次男正光を連れてきた
少ない護衛で
墓をお詣りし、摠見寺本堂へ
本尊を前に龍之介が話し出す
「歩美、約束を果たすときが来た」
「え?」
「いつか、話したではないか、次男に織田家の家名を名乗らせる話じゃ」
「もう、良いのです」
「今、正光に織田の家名を名乗らせれば織田の残党に担ぎ上げられてしまうやもしれません…今は大事なとき、正長と正光で双璧を作るが寛容」
「…、良いのか?」
「父上様、母上様、孫の代ならいかがでしょうか?私か兄上の次男・三男に織田の家名を名乗らせるのは?流石にその世代では、残党も減り担ぎ上げられてしまう御輿にはならないと思いますが」
「正光の言うこと一理ある」
「歩美、孫の代なら良いではないか?正長・正光の双璧が磐石にもなるだろう」
「私は構いません、殿下が織田の家名を気になされて下さっていたことに感謝します」
「信長殿は戦友恨みはない、信長殿は好きな御人であった」
「父を忘れぬ気持ちだけでも私は嬉しいです、しかも摠見寺にも領地をお与えになっていると聞きました」
「供養料だ」
「私は、それだけで十分です」
そして、京都に戻る三人であった