その7
7.雨月物語
現世の身これ一日に百里もゆかんこと 魂なれば千里の道をもゆくという
離ればなれになった恋人を思い 囚われの身を嘆き自害する男
男は魂となり 愛しい者の元へと千里の道を駆ける
待つ身の者もまた 厭わしい距離を憎み 自らの命を絶つ
二人の魂は駆け寄りて交わり 溶け合い 後に一輪の水仙となりき
両人が男であったという説も根強い物語
己の身体が紛れもない男のそれであることを 僕は自覚している
美しいと評される己の顔すら 鏡の中で紛れもない男のそれであると思う
決して ただ細いばかりの身体でもない
それだのに
僕の身体から流れ出る蜜とその残り香は甘い乙女のものだと彼が言う
彼に抱き止められ その指に胸の突起を弾かれ
押しつぶすように揉み込まれると 膨らみのない両胸が疼くように粟立つ
それは身体の中心へと全身の血を運び
僕の昂ぶりはその頭をもたげる
脈打つそれを彼は自分の昂ぶりとかさねてキスするように摺り合わせる
「ひゃっ・・・あっ・・・」
初めて触れた彼の昂ぶりに 僕の腰は意志に反してイヤらしくうねる
一纏めにお互いの昂ぶりを彼はその手中に納め やわやわと扱きあげる
向かい合って抱き合った腹に二本の熱棒が白い先走りを零しながらしなる
今日こそ彼と身体を繋ぐ
僕の溶け出す芯を彼の熱棒で埋めて欲しい
果てしない欲望が僕の身体を熱くする
今まで どんな女性と抱き合っても感じる事のなかった愉悦に震える
そんな自分が不思議でもあり ああこれが本当の自分なのだとも感じる
彼が欲しい ただそれだけだった
「もう・・・もどれませんよ・・・それでも 本当にいいのですね?」
「はい・・・」
確かめるように僕の唇に口づけて 彼は僕の身体を一層深く抱き締める
一纏めに扱かれた昂ぶりが 耐え難い快感にふるふると脈打ち
僕は一人 彼の腹に白い飛沫を吐き出してしまった
彼は指でそれをすくい取ると 全てをキレイに舐め取った
彼の瞳が銀色に煌めいた
ああ 常人ではない 現世にもどこにも存在し得ない人なのだと
僕ははじめて思い至った
彼が僕の腰を抱き直し そっと濡れた指で後孔を探る
つぷりと差し込まれた彼の指に ぴくりと腰がはねて逃げようとする
強く抱き戻されて 一層の刺激と異物感に僕の喉がつまり声が掠れる
「はっ・・・ああん・・・」
自分のものとは思えないような甘い嬌声が漏れる
彼の指が殊更に敏感な場所を探り出し
執拗にそこへと指が擦りつけられる
たまらない快感が全身をめぐり
一度はその全てを吐き出したかと萎えた僕の昂ぶりが
再びその頭をもたげる
片手で僕の昂ぶりをやわやわと扱きながら 彼の唇が後孔に触れる
「ひゃっ・・・・んんっ・・・・」
舐られる刺激と差し込まれた舌の動きに更なる快感が押し寄せる
指と舌で存分に解されたそこは
まるで乙女が己の蜜で熱棒を迎える準備を整えるように
彼の昂ぶりが押し入ってくるのを今かと待ちかまえ
ひくひくと襞が疼き蠢く
「力を 抜いていなさい」 耳元に囁かれ 腰が砕けたように力が抜ける
押し当てられた 火傷しそうな熱に瞬間僕の心が怯えて震えた
しかし それが強い力で押し入ってくる感触に
全身で彼にしがみついた
「・・・っつっ・・・・う・・・・っんん」
痛みはすぐに快感に変わった
それは僕の知らない世界だった
目の前が白く霞んだ
貫かれて
僕は 繋ぎ止めていた意識を 手放した
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