プロローグ
それは、まだ魔法がそこら中に存在していたそんな時代のこと。
ちょっとした不思議は全部魔法のせいだと、みんな思っていたような、そんな世界。
「ああ、お腹が空いた……」
『彼』は悲愴な顔をしてつぶやいた。
悲愴な顔と言っても、それはとても人には判別がつくものではなかったけれど。
深い森の中、澄みきった泉の側に、カエルが一匹。
カエルはカエルでも、それはアマガエルのような可愛らしいものではなかった。
人の手のひらよりもさらに大きな『ウシガエル』(食用)である。
色は泥のように茶色がかった緑色。全身に淡黒色のまだら模様がまばらにあり、表面は木漏れ日の光に照らされてヌメヌメと光っている。
──なんだって俺がこんな目に。
カエルは泉に映るその姿を凝視すると、深く深くため息をついた。
もちろん、カエルのため息だ。それはウシが鳴くかのように、低くあたりに響き渡った。
「モォゥ」
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