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青の5号
作:並盛りライス


青の5号はいつも僕の味方だ…。



空気を媒介した熱が這うように都市を覆い。

今年の夏は、狂気のような暑さに見舞われた。

「暑いって言ったっけ?」
「ああ、言ったんじゃねぇの」

窓を取り外した部室には、風なんてなくて、扇風機の首は下を向いたまま回り続けた。


西の方から、沢山の蝿がやってくる。ヘドが出るくらい綺麗な茜空が沈んでいるというのに、太陽の光を浴びすぎてイカレタ地面やコンクリートが熱病に侵されている。


「悪くない。」

「うん、悪くないかも。」
スプレーで真っ青に塗った紙飛行機は重たそうにひしゃけた翼を持っていて、飛びそうにない。


どうにかしてほしいのは、ラジオ体操の放送で、高校生にもなって毎朝スタンプを貰いにいくのは恥ずかしい。
心を踊る夏休みが待ちどおしかったが、今では早く夏休みが終わらないかとカレンダーに×印をつける日々だ。


所属する美術部は、部費を綺麗にアルコールに昇華して悔い潰し、粘土細工OR神飛行機しか作れるものはない。

空の色には程遠い、濃いブルーに彩られた青の3号。

「飛ばないな」

「飛ばない」

掛け合いのように、僕と後輩の竹下は地面を見た。

屋上の柵を飛び越えて、妙に不安定な足場から飛ばした青の3号は、失速するやいなや、まっ逆さまに転落した。

「やっぱり見た目より機能をつけるべきですよ」

「そうか?」

飛ばしたいという意欲に欠ける僕は、頭の中のカレンダーに×印をつけた。

浮き沈みのない、感情を押し殺した声は、竹下の目線くらい地面に近かった。

次の日、竹下が屋上から飛び下りた。

真っ青なブルーのアロハシャツに
「青の4号」
と汚くスプレーで落書きした竹下が飛び下りた理由は、僕には分からなかった。

夏が終わらない。

いつから夏が始まったのか思い出せない。いつまで夏が続くのか僕には分からない。



竹下は、両手を不自然に螺子曲げて、頭から地面に衝突していた。

赤黒い血液が、青いシャツを染めて、青の4号は紫になっていた。

紫になった唇を震わせていた部長が言ったっけ。

「葬式には来なくていいそうだ。竹下の両親に断られた。」

先輩達は部費の使い込みの責任を、竹下に全て擦り付けて挙げ句、リンチしたそうだ。

ソーダ水の泡みたいな理由だと思った。

「気にしてないっすよ」

顔を腫らした竹下は、青の3号の丸っこい3を書きなぐりながら言った。














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