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何とか、時間が取れて書けました。
そういえば緋色の眼の読者数が10000人突破しました。
皆さん、お読み頂きありがとうございます。

次回は遥緋です。
Days9:秋月狂
「狂、お見合いをしてみないか?」

 十一月中旬、急に正宗に呼び出された俺は本当に唐突にそんな事を言われた。
 あのアルバイトをしてから何ヶ月か経ったが、姉ちゃんは保育の道に進む事にしたようである。
 ……史上最強の保育士になるかもしれないな。ウチの姉ちゃん。
 元々小さい頃から姉ちゃんは泣いてばかりいた俺を、よく慰めてくれた。多分、向いてる道だろうとは思う。
 だが俺は……

「相手は?」

「八神が【数の十名家】に属された事は知っているよね?」

 数の十名家、かなり昔から十までの名を冠す一族が登録される組合みたいなモノ。
 家柄、頭首の力量、そしてあと一個何かが必要らしいのだが。
 それを満たし邪魔な数字を排除する事で属する事が出来るという事ぐらいは知っていた。
 ちなみに八神は最近時雨と正宗で八頭家を倒したので、晴れて入る事ができたのである。

「ああ……八頭を倒したんだったな」

「あの程度時雨だけでも十分だったね。そして僕が各家に挨拶に行くと、七海から縁談を持ちかけられたんだ」

「へぇ……」

「時雨はまだ結婚は早いと思う。だから狂、君を推薦しておいた」

「なるほどな」

「秋月は八神よりも血が濃いからね。向こうの頭首も喜んでくれたよ」

「相手はどんな子だよ?」

「七海家の次女、七海奏…………15歳だ」

「……そこは正宗の領分だろ」

「僕は断じてロリコンではない! いいか狂! あの馬鹿ニワトリや馬鹿根暗の言う事を信じてはならない」

 突然怒り出す正宗。その反応から相当弄られた事が伺える。
 俺も陸人とかから、話は聞いたけど23で女子高生に手を出すのは流石に犯罪だと思った。
 …………ん? まてよ。ってかそれ、俺がこれから歩む道じゃん!

「じゃあ、四日後だからな。しっかりと体調整えておくように」

「……はい」





 正宗の部屋から出ると、俺は八神の屋敷の中歩き、時雨の部屋へと向かう。
 一年前までは色々あった俺とアイツだが、今では俺と姉ちゃんの良き相談役となっている。
 というよりも、甥っ子になる可能性が非常に高く、何時の間にかよく喋るようになったんだな。
 そして、アイツの部屋の前に着くとノックして中へと入る。

「おう」

「何だ、狂か」

「おー! 珍しい奴が来たじゃねーか」

 何故か陸人までもが時雨に部屋に居る。この人はホント、浅葱とか立場を気にしない人だな。
 二人は何やら海外の地図を広げて書類の端々に赤い線を引きながら何かを話し合っていた。
 この地図は……英国の方か。全く今度は何をたくらんでいるやら。
 すると陸人が俺のほうを見て、心から気の毒そうな顔をした後、

「狂……お前もロリコンだったんだな」

「ち、違ぇよ!」

「もしかして緋眼使いは皆ロリコンなのか? 正宗然り、お前然り、時雨然り」

「何で僕も入ってるんですか……」

 時雨の意見は黙殺しておくとして、俺は相談を始めることにした。
 
「お見合いって何をすればいいんだ? ってか何なんだ?」

 俺は二人に問う。

「女の子をもてなし、良い気にさせておいてその家の情報を巧みな話術で聞き出す場だよ」

「女と美味いモン食って、気にいられたらお楽しみの一晩を過ごす場だな」

 先に言ったのが時雨。後に言ったのが陸人。これだけで二人の人柄がこれ以上ないほどよくわかる。
 うん……こいつらは全く当てにならないな。ああ、ごめん。こいつらに聞いた俺が馬鹿だったよ。
 
「服装はどんなの着て行けばいいんだ?」

「イカす服!」

「スーツだろうね」

「スーツか……俺、八神の奴しかもってねぇぞ?」

「俺は無視ですか……」

「僕のを貸してあげよう。一応、狂のお陰で僕はお見合いしなくて済んだんだからね」

 まさかコイツ……自分がやるのが嫌で正宗に俺にさせるように仕向けたんじゃねえだろうな……











 お見合い当日。俺はガチガチに緊張して、とある料亭の前に立っている。
 すると居る居る。ガラの悪いヤクザみたいなのが、料亭を取り囲むようにして包囲していた。
 たまに無線だかなんだかで連絡を取り合い、物々しい雰囲気となってるその料亭。
 俺は意を決すると、正宗についていくようにして中へと入っていった。
 ガン付けとかには自分では慣れているつもりだったが、こうも人が多いと流石に嫌だ。
 中には明確な殺意をぶつけてくる奴もおり、神舞を使って苛めてやろうかと思ったが、やめた。

「なぁ……お見合いってこんなに殺伐としていたのか?」

「いや、七海はヤクザと繋がりが深いからね。多分これは七海特有のものだと思う」

 ヤクザと繋がりが深い……俺の頭の中に極道の妻のようなイメージが湧き上がる。
 うわぁ……俺は髪が長くて大人しいタイプの女の子が好きなのに。
 いつもプレッシャーを与えられるような嫁は絶対に嫌だ。だが、現実は刻一刻と迫っている。
 そして、一つの部屋に通された俺達。

「あちらはまだ来ていないようだね」

 そこは広い和室のような場所で、人目で豪華だとわかるような造り。
 俺ら死罪六神はほとんどが、アパートか、安いホテル生活だったためこういうのには全く慣れない。
 剣菱なんかは昔は結構お坊ちゃんだったようで、最初は愚痴りまくってたけどな。
 ああ、剣菱……お前が今でも生きていてくれたら俺は──もう少し今が楽しかったかもしれない。
 そして俺がそんな感傷に入っていると、

「御待たせ致しました」

 和室の扉が開き、ひ弱そうなおっさんと明らかに子供っぽい女の子が入ってきた。
 多分、命とタメ張るぐらいの童顔であろう。だが、化粧などもばっちりとしていて中々に可愛い。
 だが、俺の食指はちっとも動かない。年の差七歳だぜ? 正宗じゃん。

「はじめまして、秋月狂さん。七海家頭首七海惣一でございます」

 頭を下げるそのおっさん。うわぁ……俺みたいなガキに。
 俺も正宗に習ったとおりに礼を返すと、

「はじまして、七海家頭首殿。秋月家長男、秋月狂でございます」

 そして娘の奏さんも俺に挨拶をし、料理が運ばれてきて会食が始まった。
 しきりに喋る正宗とおっさん。俺はたまに来る質問に「ええ」だの「はい」だな答えながら料理を口に運ぶ。
 奏さんはひたすら控え目に過ごし、凄く丁寧な動作で料理を口に運んでいる。
 ああ……なんていうか育ちの差というものを感じるな。そして、料理も残り少なくなった頃。

「では、これからは若い二人にお任せをして……私達は別室へ参りましょうか」

「ええ。狂、しっかりとエスコートするように」

 黒い笑みを浮かべて、正宗とおっさんは出て行った。ありゃ、絶対別室で何か企んでやがる。
 …………………って二人きりかよオイ! 気まずい……気まずいぞこれ。

「ア、ハハハ……い、行っちゃいましたね」

「そ、そうですね」

 奏さんが俺の方を向いて言う。うわぁ……何か完璧脅えたような目をしてるぞ。
 俺は何か喋ることが無いかと、お茶を一杯啜り、窓の外を見た。
 
「ブホォッ!」 

「え、あ、秋月様?」

 窓の外を見た瞬間俺は口に含んだお茶を噴出してしまった。ああ、とんでもないモン見ちまったよ。
 すると、奏さんが俺におしぼりを差し出してくれた。礼を言って受け取ると口を拭う。
 そう…………窓の外の草むらに命と蒼二と神璽と遥緋と由加が居やがったのだ。あいつら……どうしてここに。
 蒼二は口元を押さえて震えてやがるしよ。アイツ、マジでいつか殺す。
 すると命がスケッチブックのような物を取り出して、なにやら文字を書き始めた。えーと……?

「ご趣味とかあるんですか?」

 全くの棒読みではあるが、奏さんはいきなりの質問に照れながらも答えようとする。
 ナイス命! 今度アイス買ってやるからな。蒼二は処刑決定だが。

「えっとぉ……お菓子作りです」

 何とも女の子らしい趣味である。俺の周りにはそんな女はずっと居なかった。
 姉ちゃんは趣味とか無いし、命は趣味蒼ちゃんとかほざきやがったな。
 遥緋のアレは、一度蒼二にハメられて食ったがアレは料理とは言いがたい。調理した砂糖だな。
 
「女の子らしい趣味ですねぇ……」

「いえ、そんな……」

 それっきり俯いて黙ってしまう奏さん。マズイ……またピンチだ。
 助けて命ちゃん! 俺は再び外を見ると今度は遥緋が何かを書いていた。
 そこに書かれていた言葉は……

「奏さんは、普段はどのような事をなされてるのですか?」

「はい、普段は高校に通っていて、休日には悪鬼討伐のお仕事などをやっております」

「へぇ、高校に行ってるんですか。僕は、行けなかったですからねぇ。羨ましいです」

「高校なんて面白くありませんよ。私、暗いからあんまり馴染めてませんし」

「そ、そうなんですか……」

「はい」

 正に薮蛇だ……くだらない事まで聞くんじゃなかった。でも、高校は行って見たかったなぁ。
 っと、そんな事を考えてる場合じゃない。次頼むぜ、おい。
 すると、今度は由加が文字を書き始める。うん、あの子なら真面目そうだし安心だな。
 えーっと……なんて書いてあるんだ?

「好きなお野菜はなんですか?」

「……はい?」

「い、いや、失礼」

 あの女〜〜〜〜っ!! どこの世界にお見合いで好きな野菜聞く男が居るんだ。
 次だ次! おっ今度は神璽か。アイツは情報によると女に関しては百戦錬磨らしい。
 早くこの気まずい空気を打開せねば! さぁ、早くしてくれ。そして神璽がパッとスケッチブックを掲げた。
 俺は、つい瞬間的にそれを読んでしまう。

「安産型ですね」

 …………おい、コラ。俺に今何を言わせやがった。
 前を見ると、奏さんは顔を真っ赤にして俺の方を見ながら小さな声で言う。

「あ、あの秋月様……私達まだ知り合ったばっかりですし……その、まだ子供とかは……恥ずかしい」

「す、スイマセン! ごめんなさい! 本当にどうかしてるんです今日の俺!」

 もはや土下座せんばかりに、俺は頭を下げて奏さんへと謝った。
 横目で見ると、外では命達が腹を抱えてゲラゲラ笑ってやがる……ア、ハハハ、アハハハハハハ。
 もうキれそうな五秒前だな。ああ。俺結構我慢したよね?うん。我慢した。そろそろキれてもよくね?
 すると、蒼二がスケッチブックを掲げる。

「よろしければ、外に散歩にでも行きませんか?」

 奏さんは苦笑いしながらも承諾してくれた。







 そろそろ、十二月なので外は中々に寒い。だが全く歩けないほどではない。
 むしろさっきまで暖かい空間に居たせいか、凄く清清しく感じる。
 そんな料亭の庭を、無言で歩く俺と奏さん。ああ、外へ出ようが中へ居ようが気まずい。

『結界、効果は庭の式神の気配完全消滅』

 本当に一瞬。命の声が響き渡り現れていた式神の気配も一瞬で消える。
 あいつら……何を企んでやがる。すると奏さんが、

「今、式神の気配と何かの声が聞こえませんでしたか?」

「た、多分正宗のボディーガードでしょう。ええ、きっとそうです」

「やっぱり八神は凄いですねぇ……今の気配は凄く洗練されていた気配ですよ。凄いなぁ」

「そ、そうなんですか」

「ええ……それにしても秋月様がこんなに面白い人だとは思いませんでした」

「え?」

「言いにくいんですけど……秋月様。あの……死罪六神だったじゃないですか……だから」

 ああ、そういう事か。今更ながら奏さんが何故俺にビビっていたのかがわかったよ。
 俺は元死罪六神の第二位秋月狂。きっとその悪名は奏さんの耳にも届いていたに違いない。
 これも俺の罪だ…………ああ、こうやって償って生きていくのか。

「スイマセン……でも、俺はその事実を悔いるつもりはありません」

「え……?」

「俺達のために散っていった仲間が数多く居ます。俺がそれをないがしろにしてしまっては、あいつらに
申し訳が立ちません。だから俺は──どんなに嫌われようと、罵られようと、死罪六神であった事を誇りに思います」

「秋月様」

 それが死んでいった村雨、暁、ナナシ、剣菱に対する俺からの弔い。
 これだけは俺は死んでも譲れない。あいつらと共に戦った日々も決して忘れない。
 すると奏さんの俺を見る目が少し変わった。まぁ、やっぱり嫌か。
 そして俺にとって気まずい沈黙が続き、庭に居るのもそろそろ限界だと思ったとき、急に冷たい空気が流れ出した。

「寒ぅ……」

 奏さんが寒そうに縮こまる。俺はスーツの上着を脱ぐと奏さんの肩にかけてやった。
 流石に俺みたいな奴とお見合いした後に、風邪なんてひかれたら洒落にならないからな。
 それにしてもこの突然の冷気……修羅雪だな〜〜〜っ! しかも言霊によって気配が消されてるからわからんし。
 すると少しはなれた茂みから由加がまたもスケッチブックを掲げていた。
 そこに書いてあった言葉は【好きなお肉は?】だった。

「テメェは少し食い物から放れろや!」

「えっ? 私……そんながめつかったですか?」

「あ…………い、いや違うんですよっ!」

「秋月様……言いたいことはちゃんと言ってください。……私、先に部屋に戻ってますね」

 すると、奏さんは走って行ってしまう…………あーあーあーあーあーあーあーあーあー
 あーあーあーあーあーあーあーあーあーあーあーあーあーあーあーあーあーあーあー
 ア、アハハ。アハハハハハハハハハハハ。

「狂……悪い。まさかこんな事になるとは!」

「神璽はシモネタが多すぎる。やはり人間は食事について語るべき」

「いや……最後の由加ちゃんのせいだと思うんだけどな」

「というよりも、お茶を吹いた時点でアウトだった」

「いや〜狂ちゃんドンマイ! 帰りにラーメン奢るよ。いもーとが」

「え、何で私がっ!? 命ちゃんが覗きに行こうよって言ったんじゃない」

「覚えてないなー。 それに情報源はいもーとじゃん」

「だって……時雨ちゃんが言ってたんだもん」

 そーかそーか、時雨もグルだったのか、あのロリコン野朗。
 ハハハハハハ、やっぱ俺の味方は姉ちゃんだけだよ。どーせ、どーせ俺なんて。
 
「あ、あの狂ちゃん……?」

「……極点神舞」

 俺は極点神舞を発動させた。昔は、囚と二人でしか出せなかったが今は違う。
 周囲に白い風が舞い起こり、俺の怒りと共に世界を蹂躙していく。
 俺はゆっくりと後ろを向き、命達に視線を向ける。すると、奴らは途端に態度を翻す。

「ヤバ……」

「よくも、久しぶりに俺をここまでキれさせてくれたな」

 殺意をぶつけるが、厄介な事にこいつらはかなりの修羅場を潜っている。だから、あまり効果は無い。 
 だが、俺の怒りは十分すぎるほど伝わったようで、蒼二が命を前へと差し出した。

「み、命! 狂を止めるんだ」

「う、うん……『この世に──』

「させるかよぉ!」

 命の言霊は声を媒体にして世界を改変する。だから、声さえ出させなければ能力が発動しない。
 俺は風を操って、命の周囲を囲むと音の伝道を無くしてやるように調節する。
 案の定、いくら風の結界の中で怒鳴っても世界は全く変わらない。そうすれば命は無力に等しい。
 そして更に結界を操作し、空中で緩急をつけたスピードで絶叫マシンのように揺すりまくる。

「み、命ちゃんが……」

「神璽、逃げる」

「お、おう!」

「あーっ! ちょっと榛名君に由加ちゃんズルイ!」

 それぞれの鎧を纏い、空へと飛翔する神璽と由加。甘い、空はもう俺の領域だ。
 極点神舞に念じ、神璽と由加が居る地点に数千発の風球を放つ。最初は二人も頑張って避けていたが、
 あまりの量に次々と連続で風球当り、やがて変身が解けて、庭にあった池の中へと墜落した。

「ククククク……後はクソ兄妹、テメーらだけだぜ」
 
 俺が笑いながらそう言うと、蒼二と遥緋は冷や汗を垂らしながら俺を見る。
 ケケケケ! そう簡単には許してやらねぇからよぉ。

「お、お兄ちゃんどうする?」

「逃げられない……かといって戦っても分が悪い」

「もぉ、嫌ぁ……」

「仕方ない、最後の手段だ。…………狂、すまなかった。許してくれても構わないぞ」

 蒼二が本当に珍しい事に頭を下げた、だーが! 許すかこの馬鹿野郎。
 力を練りこみ、更にイメージし。俺は白い風の巨人を作り上げる。膨大なエネルギーが固定され。 
 今にも溢れんばかりまで貯める。

「くたばれやぁ!」

「い〜やぁぁぁぁぁ〜」

「うおぉぉぉぉぉ!」

 流石に殺すのは後味が悪いので、蒼二と遥緋の居るちょうど中間地点に巨人の拳を叩き付ける。
 すると瞬間的にハリケーンのような突風が吹き荒れ、蒼二と遥緋は高き空へと舞う。だがその時、

「秋月様!? これは一体」

 最強にタイミングが悪い事に、奏さんが騒ぎに気づいて戻ってきてしまったのである。
 だが、今更この風のエネルギーを鎮めるにはちょっと遅い。奏さんも、空高くへと吹き飛ばされてしまった。

「ヤ、ヤベエ」

 俺は空へと飛び、奏さんを抱きかかえると、極点神舞の力を完全に鎮めた。
 まだ、あまり慣れていないためこの力を使うと、俺には殆ど制御出来ないのである。 
 だが……怪我をさせなくてよかった。マジで洒落にならなかったからな。

「秋月様……」

「ああ、スイマセン。ちょっと馬鹿共に教育してやってたんで」

「いえ……でも空を飛ぶって気持ちいいですね」

「まぁ、俺もこの式神を手に入れた時は、夢中で空を飛びまわりましたよ」

 そんな取り留めの無い話をしていると、俺達は地上にゆっくりと降り立つ。
 俺はそっと奏さんを下ろすと、正宗にこの騒ぎがバレないうちに、さっさとお見合いを終わらそうと決める。
 いやぁ、でもこれで完全に嫌われただろ。ストレス解消も出来たし、ある意味ではあいつらに感謝かもな。
 そして、俺達は早足で料亭の中へと戻っていった。







 正宗には軽くバレていたものの、何とか蒼二達に全ての罪を着せる事ができ、お見合いは終わった。
 やっぱ俺にはまだ結婚は早いな。今回の件でそれがとてもよくわかった。
 まだまだ、修行や知識が足りない。後は礼儀作法とかもちゃんと勉強しなくてはならない。後女性会話も。
 そんな風に、のんびりと八神の屋敷で構えていると、俺の自室の内線で正宗から呼び出しがかかった。

「なんだぁ? もしかしたら苦情でもきたのか?」

 軽くドキドキしながら、正宗の無駄にだだっ広い部屋に入ると、何故か家政婦が数人。
 それは頭に三角巾、そしてエプロンをつけたクソガキ達。ははぁ……罰掃除って奴か。
 俺は奴らを見下しながら、正宗の執務机の前まで歩いていく。

「チクショウ……狂ちゃんめ」

「耐えろ、耐えるんだ俺……」

 後ろからの物騒な命と蒼二のうめき声を黙殺すると、俺は正宗に問う。

「んで、どうしたんだ?」

「ああ、さっき七海家から連絡があってね」

「苦情か?」

「いや違う……狂、どんな手を使ったんだ? あのお堅い七海家の次女が君とお付き合いしたいと」

「……ハ?」

 一瞬思考が止まった。何故? 何で? 何故に? Why?

「しかも結婚を前提にだ。狂、しかも君は安産型だとかなんだとか、チェックしたそうじゃないか」」

「あ、アレは……」

「まぁ、何にせよ縁談がまとまって良かったよ。あ、これは彼女の連絡先だから、この後連絡しておくように」

 正宗は俺に一枚のメモ用紙を渡すと、コートを着てどこかへ出かけようとする。
 え? おいおい、ちょっと待ってくれよ。だが、正宗はきびきびと支度をすると命達に言う。

「じゃあ、僕は出かけるけど。サボるんじゃないよ?」

 「へーい」とヤル気のなさげなうめき声を聞くと、満足そうに正宗は部屋から出て行ってしまった。
 後に残された俺は、メモ用紙を握ったままポカンとした顔で立ち尽くすしかない。すると、

「ロリコン」

 命がボソりと呟く。

「ロリータ・コンプレックス」

 続いて蒼二も。

「幼女性愛」

 と、遥緋。

「異常性愛者」

 更に神璽。

「ペド野朗」

 止めの由加の一言で、俺の理性は再び爆発した。






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