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まずは蒼二からです。
彼の前作までのテーマ曲は
牙狼〜SAVIOR IN THE DARK〜でしたが
Daysは希望峰という曲を聞きながら書きました。
Days1:千島蒼二










 毎朝、俺は五時には起きてランニングを一時間。
 そして家に帰ったら、筋トレをしてからシャワーを浴びて朝飯。
 それが俺──千島蒼二のいつもの朝。

 高校にも行っていない俺にはぶっちゃけこんな事しかやる事が無い。
 煉が俺の中から消えたので、俺はもうアイツにすがって生きていくわけには行かない。
 だからこうやって鍛錬を欠かさずに、いつでも戦いの準備に入れるようにしている。

「おはよう、蒼二」

 シャワーを浴びて出てくると母さんが朝食を用意してくれていた。
 この家にで俺の他に唯一自堕落ではない人間、それが俺の母親千島遥その人。
 流石に俺ほどは早く起きられないみたいだが、主婦としては普通の時間であろう。

「おはよう」

 俺がこの家に帰ってきてから一週間、未だに俺は家族と打ち解けていない気がする。
 母親は何か楽しそうに俺が飯を食ってる姿を見ているが、その感情の正体が不明。
 なんていうか、俺だけ気まずいみたいな状況。

「蒼二、もう少しゆっくりとしてもいいんだよ?」

「・・・ん」

 母さんの気遣いを感じる。
 だが素直じゃない俺は、適当に返事をするとTVに目を向けた。
 ・・・・・・ああ、やっぱもう少し会話を続けてみようかな。

「これは、死罪六神の頃からやってたからもう習慣になってるんだよ」

「へぇ・・・」

 母さんの顔が曇る。
 そうだよな・・・息子が人殺しまがいのやってた頃の話など面白いはずが無い。 
 俺はついこの間まで死罪六神という組織に入って、世界のバランスを崩すような事をしていた。
 まぁ・・・それで色々あって今は敵だった家族とも和解してこうやって暮らしているのだが。
 どうにも、まだなじめない。

「親父も遥緋もいつも何時まで寝てるんだ?」

「蒼威君は・・・うーん・・・その日によって、遥緋は後五分ぐらいもすれば起きてくるわよ」

「へぇ・・・随分とのんびりした家だな」

「これが普通なのよ」

「そうなんだ」

 そこで会話がきれ、俺と母さんはTVを眺めた。
 お天気お姉さんが今日は傘を持ってけと言っている、余計なお世話だっての。
 そしてしばらくすると母さんが言った。

「遥緋遅いわねぇ・・・蒼二、起こしてきて」

「わかった」

 俺は返事をすると立ち上がって、階段を登る。
 階段を登り終えると、正面にある二つの部屋の右側の部屋の前に立つ。 
 ここが俺の双子の妹、千島遥緋の部屋だ。

「おい、コラ! 起きろ」

 ドア越しに話しかけても返事が無い。
 段々とイライラしてきた俺は、ドアを開けると遥緋の部屋へ入った。
 女の子特有の甘い匂いが鼻をつき、ベットで布団に包まっている遥緋を見た。

「ぅ・・・・・・・・ん」

 甘い声が部屋に響いた。
 大方、何か美味いものでも食ってる夢を見てるのであろう。幸せそうな奴め。
 そしてベットの台の上では粉々になった元目覚まし時計が在った。
 こいつの式神、輪廻転生の力によって破壊されたのであろう、相変わらず危ない力だ。

 式神ってのは俺にもよくわからん。
 どうやら自分の根源と自分をつないで、その根源を具象化したのが式神というのが一般論。
 んで、今寝てる妹の式神の名前は【輪廻転生】再生と死滅の現象を起こす式神だ。
 ちなみに、俺の式神は【修羅雪】氷の力を持った二刀の小型チェーンソーである。

「おい、遥緋・・・起きろ!」

「ん〜〜うるさい〜・・・」

 遥緋の手が空間を凪ぐ。
 俺はその腕を取り、間接を決めるとそれをグイと締め上げる。

「イタタタタタタタッ!! 痛いって!」

 一瞬で目を覚ます遥緋。フン、最初から素直に起きやがれってんだ。
 そして寝ぼけ眼で俺に言う。

「何でお兄ちゃんがいるの?」

「お前を起こせと頼まれたから」

「一応、思春期の女の子の部屋なんだけどなぁ・・・ほら、着替えとか見られたくないじゃん?」

「お前のその貧相な体に興味はない、せめて罪歌ぐらいになってからそういう事はほざけ」

「むー・・・」

 膨れっ面をする遥緋。
 コイツ・・・マジで性格が変わってきたな、昔は俺にビビりまくってたくせに。
 そして遥緋を先頭に、俺達は部屋の外へと出た。
 階段を下りて、一階へ行くと途中の廊下に親父の上半身が飛び出している。
 どうやら起きようとして力尽きたらしい、駄目人間め。

「あ、お父さんおはよー」

 駄目人間、もとい親父をまたいで遥緋は居間へと入って行った。
 この反応って事はどうやらこれは日常的な行動らしい、この家も母さんが居なくなったら終わりだな。
 俺はすやすやと廊下で寝てる親父を軽く蹴飛ばすと居間へと入った。

「母さん、もう一回飯食いたい。俺のも作ってくれるか?」

 遥緋を起こしたら腹が減った。
 母さんは、それを聞くと嬉しそうに俺に言う。

「わかった、目玉焼きとパンでいい?」

「うん」

 俺は遥緋の正面のテーブルに着く、遥緋は熱心になってTVの占いを見ている。
 全く・・・高校生にもなって新聞すら読まずに占いとは嘆かわしい。
 すると、遥緋が俺の視線に気づいたらしい。

「ん? 何? 占いなら私達は今日最下位だよ?」

「いや・・・占いなんかよりも新聞読めよ、と思ったからな」

「新聞ねぇ・・・」

 フンと笑って遥緋は俺を見る。
 何だこのヤロウ、喧嘩売ってんのかコラ。
 新聞ナめんじゃねーよ、確かに最近の新聞はフィルターがかかりすぎてて情報メディアとは言い難いがな。
 
「最近の女子高生は新聞も読まないのか?」

「そうだねぇ・・・TVで十分かな」

「フン、TVなんて腐った情報メディアじゃねーか、しかも占いたぁくだらなすぎてかける言葉もない」

 その言葉に遥緋の顔がムッとした感じになる。
 どうやらお気に入りの番組だったらしいな、だが新聞を馬鹿にしたお前も同罪だ。
 そして遥緋はフッとまた笑いやがると言った。

「お兄ちゃんってさ、ニートだよね?」

「────ッ」

「働きもせず、学校にも行かずにご飯だけ食べるって羨ましいなぁ」

 くそ、このヤロウ。確信をつきやがった。
 俺は言い返す言葉も無く、黙ってしまう・・・マジで二年前なら考えられない事だ。
 遥緋の奴は勝者の笑みで、母さんが運んできた目玉焼きを食っている。クソが。
 
「ごちそーさま、お兄ちゃんもアルバイトぐらい探しなよ」

 フフンと笑って遥緋は居間から消えた。
 あのヤロウ、いつか殺す。

「よぉ、ニート息子。 お父さんは悲しいぞ」

 更に殺意を上昇させる声が後ろからかかる。
 後ろを向くと親父がパジャマ姿で、俺を見下ろし・・・いや見下していた。
 だがこの程度の生物の相手は造作もない。

「うるせえよ、おっさん。ウゼーからまだ寝てろっての」

「なっ!? お父さんに向かってそんな口を利くか!?」

「ここで質問がある」

「おう、何だ?」

「千島蒼威さんは、俺に父親らしい事を一つでもしてくれたかな?」

「はい、一個もしてません」

「マジ死ね、父さんなんて死んでも呼ぶか」

 俺の言葉にショックを受けた親父はさっきまで遥緋が座っていた席に着いた。
 すると母さんが来て朝だってのに酒とつまみを置いていく、一体どんな家庭だ、この家は。
 親父はプシュッとビールを開けると、一杯あおる。

「じゃあ蒼二、せめてもの罪滅ぼしにお父さんが一つだけ願いをかなえてやろう」

「ほほぉ・・・」

「それと、何か働きたくなったら八神の家に行って見ろ、何かしら仕事はあるはずだ」

 酒を飲んだ瞬間、まともな事を言い出したな。
 酔ってる時のほうがまともな人間って・・・マジこいつは本当に俺の親なのか?
 しかし、八神の家に行くのは悪くない。

「よし、時雨んとこ行ってくるわ」

「おう」











 俺は自室へ戻り、着替えると家を出た。
 そのまま電車へ乗り、一時間ほど揺られると八神家最寄の駅につく。
 そこからバスで十分、都市部を抜け、閑静な住宅地から歩いて二十分ほどの場所に八神家はある。
 何十年も経ってそうな年季のある家だ。

 正門から入ると、門の番をしてる奴が俺を見る、そして途端に顔が引きつった。
 そいつは複雑そうな顔で俺に告げる。

「な、何の用だ?」

「時雨と罪歌達に用事があんだよ、通るぜ?」

「う・・・許可しましょう」

 どうやら死罪六神だった事をまだ引きずっているようだ。
 あ・・・そういや今の門番、御崎家の戦いの時に斬った気がするな。
 まぁ・・・仕方ない。

「相変わらず、広い」

 そう呟く。
 久しぶりに着たが全く変わってない。というよりもここは変われないんだな。
 そして俺はダラダラと歩くと時雨の執務室兼自室へと向かった。
 案の定というか何と言うか、途中すれ違う八神の奴らは皆俺をジロジロと見てきやがる。
 これじゃあ罪歌達も相当苦労してんなあぁ・・・

『舞い起これ、上昇気流』

 突然声が響き、大地から風が吹き上がる。
 そして俺の目の前ではスカートの裾をわざとらしく押さえた命が立っていた。
 何をしてるんだ、この馬鹿娘は。

「よぉ、今日も暑いな」

「蒼ちゃん・・・頼むからツッコんでよ・・・やった私が辛いじゃない」

「知るか」

「むー! てか蒼ちゃん、私に会いに来てくれたの?」

「違う」

「はぁ・・・嘘でもいいから君をさらいに来た! とか言ってよ・・・」

「TVの見すぎだ、マセガキ」

「むー! 子供じゃないもん!」

「そうかそうか、おめでとう」

 俺は心から拍手を送ってやる。
 命は不満そうに、俺を見ていたがやがてらちがあかないと思ったのだろう、話題をかえた。

「んで、何しに来たの?」

「あー・・・」

 ニートを脱出したいとは流石に言いにくい。
 俺がそう言ったら、命は確実に爆笑するだろう、それだけは避けたかった。
 
「時雨と少し話しに来たんだ」

「へー! じゃあ一緒に行こ、私も行くよー」

「・・・へ?」

 自分でも間抜けな声だったと思う。
 しかし、命はそれを気にした風もなく俺の手を引くと走り出した。
 ああ・・・何てタイミングが悪いんだろう・・・



 そして命は時雨の部屋の前に立つとノックをした。
 返事も聞かないうちにドアを開ける命、ノックの意味が全くない。
 するとメガネをかけてPCに向かっていた時雨が顔を上げる。

「やぁ、命ちゃんに・・・蒼二」

「おっす」

「蒼ちゃんね、時雨さんにお話したい事があるんだってー」

「ん、わかった。 まぁ座ってくれ」

 時雨に促されて俺と命は手前のソファーに座った。
 そしてPCを待機状態にして立ち上がると、近場の冷蔵庫を開けて氷とジュースを持ってきた。
 
「それで、何の話かな?」

「あー・・・いや、その・・・俺に仕事をもらえねーかな・・・と」

「仕事?」

「ああ・・・俺、高校も行ってないしやる事なくてさ」

「ふむ・・・」

 考え込む時雨。
 俺は恥ずかしくて、やっぱりそっぽを向いてしまう。
 
「ぶっちゃけ、八神の手は足りてるんだよね、今必要なのは経営とかに詳しい人間だし」

「そうか・・・」

「だから蒼二、君は学校に通え」

「・・・・・・ハァ?」

「ちょうど命ちゃんが学校に通いたいと言い出してね、ついでだ」

「おいおい、時雨・・・何で俺が中学校に通わなきゃいけないんだよ!」

「・・・!?」

 俺がそう言うと命が凄い顔で俺を睨んだ。
 うわ、怖ぇ・・・そして俺が一瞬怯むと、命は俺の体に触って一言。

『私が良いと言うまでお座り』

 体が勝手に動き、俺の体はソファーに叩き付けられる様にして座らされる。
 体を動かそうと思っても動かない、流石【言霊】敵に回すとここまで恐ろしいとは。
 そして時雨は苦笑いをしながら俺に言った。

「蒼二、命ちゃんはお前と同い年だぞ?」

 ・・・・・・・・・ハ?
 俺は目線を動かして命を見る。
 身長は150センチぐらいだろう、髪型はショートカット、今の服装はひらひらしたスカートにTシャツ。
 どうみても中学生にしか見えない。
 しかし、命と時雨の顔が真面目な点から見ても真実なのであろう。

「・・・・・・マジなのか?」

「ああ、マジさ・・・僕も最初聞いたときは眩暈がしたけどね」

『お座り』

 命の力によって時雨までもが椅子に叩き付けられる。
 すると、時雨はその体勢に苦しむ風も無く会話を続けた。

「そういうわけで、命ちゃんを遥緋と同じ高校を通わせようと思う、それでついでに蒼二も通えばいい」

 笑顔で言う時雨。
 しかしその笑顔に騙される俺じゃない、時雨が何のメリットも無く俺を行かせるとは思えないしな。

「・・・俺に榛名と棗の護衛しろってか」

「正解、流石蒼二だね。君と遥緋、更に命ちゃんまで居れば一つの家を滅ぼせるほどの戦力だ」

「フン・・・まぁいいや、あいつらを守ってやるぜ」

 俺は軽く笑うとそう言った。
 時雨も分かってたとばかりに笑う、そして命に懇願した。

「お願いだから、もう解いてくれないかな?」

 ・・・どうやらかなり苦しかったらしい。


 そして俺達は時雨の部屋を出た。
 後日ウチに来て本格的な話を母さん達と進めるらしい。
 とりあえず、俺はニート卒業、と。さらば我が愛しの一週間よー。
 
「ねぇ、蒼ちゃんは・・・もう帰っちゃうの?」

 命が寂しそうに俺に言う。
 そうだ・・・こいつにはもう帰る場所はないんだったな。
 桐生の家に幽閉されていた命は俺達が桐生家を皆殺しにした以来の仲である。
 
「おう」

「そう・・・ねぇ、蒼ちゃん・・・私、蒼ちゃんが大好きだよ?」

 突然の命の告白。
 俺は大して動じる事も無く、簡潔に応える。

「そうか」

「・・・蒼ちゃんは、私の事が好き?」

「・・・好きか嫌いかで言ったら好きの部類には入るな」

「私は、愛してる。 貴方の事だけをずっと見てきた」

 命の顔つきが変わった。
 子供ではない、女としての天美命の顔、それは中々に美しい。
 だけど俺には──

「朱音さんが一番でもいい、それでも私は貴方と共にいたい」

 ・・・こういうときはなんと言えばいいのだろう?
 今までこんな事がなかったから、何とも言えない。
 でも俺は誓ったんだよな、コイツを守るって。それに・・・俺が一線を越えなかったのもコイツのお陰だし。
 そして決意した俺は命に言った。

「命、ウチ来るか?」

「・・・行きたい、蒼ちゃんと一緒に暮らしたいけど・・・」

「けど、何だ?」

「私にはお金も何もない、戸籍すら危うい、蒼ちゃんの家にそんな事で住ませてもらえるのかな?」

 俯く命。
 しかし、ココであきらめては命はまた孤独へとなる。
 俺だって、孤独の苦しみは痛いほど知っている、中学の時はずっと孤独だったしな。
 まぁ・・・いくつか俺の思い違いもあったが。あ・・。そういえば・・・

「住ませてやるさ、やっぱり俺もお前と離れたくねーわ」

「蒼ちゃん・・・」
 
「俺に任せとけって! 守ってやるって約束したろ?」

「・・・うん!」

「んじゃ荷物とって来い、んで時雨にも伝えとけ・・・まぁ奴はお見通しっぽいけどな」

「わかった! 少し待ってて」

 駆けて行く命。
 俺はそれを見送ると胸中で朱音に話しかける。

(ごめん・・・これって浮気かな? でも・・・アイツもお前と同じくらい大切なんだよ)

 








「───ってわけで、今日からここに住む事になった天美命だ! よろしく!」

 俺は実家の居間で高らかに宣言した。
 遥緋は開いた口が塞がらないという感じで俺と命を見つめ、母さんは苦笑いを浮かべている。
 そして、親父は───

「駄目だ」

「死ね」
 
 修羅雪を首筋に突きつける。
 親父はさっきまでの威勢はどこへいったのか、急にしぼみだした。

「お、落ち着け・・・まぁ住む分には構わんのだが、部屋が無いぞ?」

「俺の部屋で共同生活」

「私達、もう契りは交わしましたから」

「なにぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!? 蒼二! お前はロリコンだったのかっ!?」

 命の冗談に親父が過剰反応する。
 俺は修羅雪の刃を回転させる事で、親父の発言を止めると改めて言い直す。 
 
「命はこう見えてもタメだ、だから住ませろ、後命の衣食住は全て親父、アンタが払え」

「な・・・何故、俺が!?」

「何でも願いを叶えてくれるんだろう?」

「グッ・・・」

 黙る親父、約束には妙に律儀な男で助かった。
 そして俺は命を小突くと、挨拶をさせる。

「天美命です、炊事洗濯何でもござれです。ちなみに蒼ちゃんのお嫁さんになるのが将来の夢です」

 そう、命は幽閉されていたくせに炊事洗濯がさりげなく出来た。
 死罪六神の炊事、食事当番は基本的に命であり、他のやつには出来なかった。
 剣菱もそれなりに出来たが、何より罪歌があそこまでやばかったとはなぁ・・・
 む、回想にふけっている暇はない、意見を聞いてみよう。

「母さんは、どう?」

「うーん・・・私はいいわよ、新しい娘になるんだからねー」

「そう、ありがとう」

 そして今度は遥緋のほうを向く。

「お前はどうだ? ちなみに否定的だった場合お前の高校のクラスメイトがどうなるかわかってるだろうな?」

「聞いてる意味ないじゃん・・・じゃあ、賛成」

「んじゃ、決まりだな」

「うん! 皆さんよろしくお願いします」

 命が挨拶をすると、早速母さんは命を連れて家の中を歩き回る。
 遥緋は軽くため息をつくと、俺の方を見た。

「何だ?」

「んー・・・? いや、お兄ちゃん笑ってるなぁって思ってさ」

 遥緋に言われて俺はガラスを見た。
 そこには久しぶりにニヤけた顔の俺が映っている。
 どうやら、俺も命と暮らせて嬉しいらしい、と言うよりも楽しみなのだろうか?
 これから始まっていく俺たちの新しい日々が───

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