「序章」 選択
「序章」
この世界には多くの人間が存在している。
総数は実に70億。そのような膨大な人間がこの地球上に存在し、それぞれの生活を営んでいる。
そして、この日本でのみ見ると1億2800万の人間がいる。
この日本のみで考えるとすれば、1億2800万の人間がそれぞれ異なった時間に起床し、1億2800万の人間がそれぞれ異なった食事をし、同じく生活をしている。そんな膨大な数がひしめく国に我々は身をおいているわけである。
1日の人間の生活において数々の選択が存在している。それは朝食をパンにしようかご飯にしようかという些末なものからはじまり、罪を犯そうか犯すまいか、そして自らは生きるべきか死ぬべきか、といった岐路、すなわち選択の機会が生活の中で少なからず生じる事だろう。
そういった岐路の選択を常に行い続けることによって人は生きている。
この事から今、現在で生きている自分はそうしたいくつもの取捨択一を潜り抜けてきた自分なのだろう。
もし、そんな億兆の選択によって、今生きている自分を自分たらしめているのならば、
もし、ずっと以前の、どこかで―――――――
どこかで、かつてのその自分は『Aという選択をした』のに『Bという選択になって』いたのならば、それは今の自分になり得ているのだろうか。
自分のこれまでの取捨択一が過去で食い違っているのならば、
もしかすると、その食い違った存在の自分は今ここに生きている自分ではなく、食い違った異世界で生きている自分なのだろうか。
この物語は、過去にそれぞれ異なる選択をした、
同一人物2人の物語である。
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