空白-α
半年前、妻を亡くした。事故死だった。
その後、《私》は家の外へ出ることがなくなった。数ヶ月たち、妻との思い出から逃れようと、家から出た。しかし、そこは以前までとは別の世界だった。
色がなかった。
理由なんて分からない。泣き疲れ、色褪せて見えてしまっているのかもしれない。引きこもったせいで病気になったかもしれない。ただ、色がない。圧倒的な白の世界。
色のない世界を、《私》は歩いた。数ヶ月で何かがあったのか。人間は何処に消えたのか。
考えながら、白のなかを歩いた。どれだけの時がたったか分からない。空腹感や、眠気は無かった。それでも歩き疲れ、ガードレールに座った。そして…
《私》は死んでいた。
その時の記憶は無い。
圧倒的な白の中に浮かぶ異質な黒。それが最期の記憶。
その後、どうなったのかは分からない。気付くと、回りは闇だった。自分の手すら見えない、目が見えているのかすらわからない、闇。《私》は《そこ》に立っていた。
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