挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
水色桔梗ノ末裔  作者:げきお

本能寺への道

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

8/125

8話 暗雲

俺が源七たちを配下に加え、諸国から様々な情報収集に勤しみ、しばらくの月日が経っていた。
さすがに源七たちは優秀である。
諸国の些細な情報もつぶさに拾い、俺に伝えてくれている。
が、特に見るべきものはほとんどないに等しい。
日ノ本は小さいといえども、僅か5人で拾える情報である。
過度の期待はできない。
少し目ぼしいものと言えば、根来・雑賀の動きか……
どうも残党にスゴ腕の鉄砲放ちがいる……
武田の動きでは、家臣の出奔が多く、変わり者もいたらしい……
まあ、気に留めておくべきか。

その頃、光秀は一人憂鬱の中にいた。
先日安土に呼び出され、また信長から無理難題を突き付けられたらしい。
光秀も、50歳を過ぎたにしては、頑強であるが、
坂本に戻るや、一両日も寝込んでしまったほどだ。

ある日、俺はまた、床に就いている父、光秀に呼び出された。

「十五郎か?近う……」

「父上、ご無理をなされては……」

「かまわぬ。こうもして居れんでの……
また、おまえの考えを聞きたいと思うたのじゃ」

「如何なことでござりましょうや?」

「先日上様にお会いしての……困ったことになった。
わが織田家と長宗我部家が同盟関係にあるのを知っておろう?
上様は、四国切り取り次第を約定したにもかかわらず、土佐と阿波半国以外罷りならぬと・・」

「きたっ~~」………俺の知る歴史通りの事だ。

「わしは、石谷兵部を通じ、元親殿と繋ぎをつけておったが、あのように一方的に約定を反故にされては、説得する自信がないのよ……詮無い事ではあるがの。
おまえに愚痴を聞いてもらって、少し楽になろうと思うたまでじゃ」

「父上、某の浅はかな考えを、お聞きいただけますか?」

「なんじゃ……遠慮のう申してみよ」

「この期に及んで上様が翻意なされるとも思えず、また、元親殿も、己の器量にて切り取った領土をお捨てにはなりますまい。
当然、手切れとなりましょう。ですが肝要なのはその後でござります。
織田家は強大と言えども、四方を敵に囲まれておりまする。
駆逐した潜在的敵対勢力が、いつ反旗を翻すやもしれませぬ。
某が思いまするに、元親殿と、決定的な対立をすることなく、中立を志向させるような、手切れをされるがよろしいかと……」

「そのような上手い方法があるものかの?はっははっ……」

「それはわかりませぬ……ですが、毛利に対し有利な戦況であれば、元親殿も無理な戦は避けるものと……
幸い、東国は謙信遠行より、表立った動きはないものと」

「なるほど……お前の戦略眼は相変わらず大したものよの。
その含みは兵部に入れ知恵しておくが、上手くいけば良いがの」

「父上、お願いの儀が……
是非、某を兵部殿と共に岡豊に遣わして頂けませぬか?」

「何を言い出すかと思えば……おまえは嫡子だ。
万一があれば如何する?
軽々しく、そのような事を申すではないわ」

「いえ、某が明智の嫡子故に、参りたいのです。
それも某が岡豊に着く頃までは内密に……」

「如何なる事か?」

「某は織田家筆頭家老の嫡子です。父上も大名にござりまする。
元親殿も「土佐の出来人」と言われたお方。
浅からぬ縁の明智の嫡子を手にかけたりなど致しませぬ。
むしろ、父上が並々ならぬ決意だと悟り、和戦両様を志向なされるかと。
そして何より、これほど短期間に四国を平らげんとされている、
その戦略をこの肌で感じたいと思いまする。
また、内密にする所以は、羽柴殿などに、要らぬ勘繰りをされないためにございます。
下手をすれば、上様に告げ口され、痛くもない腹を探られかねませぬし……」

「はっはは……なるほど、おまえは本当に神童じゃの?
確かに、努々他人には悟られまいぞ」

「はい、岡豊行きの件、くれぐれも、どなたにも御内密に……
それに幸い、源七が土佐におりまする……心強い限りです」

「そうか……ならば安心じゃの?
怪我でもして湯治にでも出かけた……と偽装しておく。
じゃが、くれぐれも無理は禁物じゃ……頼んだぞ」

さて、どうしたものか……
父にあのように言ったものの、何ら方策がある訳ではない。
俺の勝負勘は、織田家筆頭家老の嫡子が使者である。
この点しか、強みはない。
兎に角、土佐の出来人に真っ向勝負しかないな……


+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ